FP&Aの勘所_コンサル_詳細版
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目次
- 1. 収益ドライバー式
- コンサルティング型(戦略系・総合系)
- シンクタンク型(NRI / 三菱総研等)
- 業態別の違い
- KPI ツリー
- 空欄許容ルール
- 横断ナレッジへのリンク
- 2. コスト構造原型
- コンサルティング型
- シンクタンク型
- コスト構造の特徴
- 空欄許容ルール
- 横断ナレッジへのリンク
- 3. 運転資本論点
- コンサルティング型
- シンクタンク型
- 業界の典型値
- 空欄許容ルール
- 横断ナレッジへのリンク
- 4. 資本集約度
- コンサルティング型
- シンクタンク型
- のれん・無形資産
- 空欄許容ルール
- 横断ナレッジへのリンク
- 5. 適切な評価手法
- 第一指標
- 業界特有の論点
- 空欄許容ルール
- 横断ナレッジへのリンク
- 6. 経営の打ち手
- コンサルティング型に効くレバー
- シンクタンク型に効くレバー
- 共通の構造的課題
- 業界全体のリスク
- 空欄許容ルール
- 横断ナレッジへのリンク
- 7. 規制・産業政策
- 業界に効く制度
- 政策的追い風
- 規制強化の動向
- 業界の地政学リスク
- 空欄許容ルール
- 横断ナレッジへのリンク
- このカードの使い方
- 関連
コンサルティング・シンクタンク業界 FP&Aの勘所
共通スキーマ7項目に基づく FP&A 視点の業界カード。
コンサルは「人 × 単価 × 稼働率」の人月ビジネスだが、SIer と異なりナレッジ集約型・上流工程・高単価の構造を持つ。
関連: FP&Aカード共通スキーマ / コンサルティング業界基礎ガイド_詳細版
1. 収益ドライバー式
コンサルティング型(戦略系・総合系)
売上 = コンサルタント数 × 稼働率 × 平均人日単価 × 稼働日数
人日単価 = ランク別単価(パートナー・MD・マネージャー・シニア・アナリスト)
業態別の単価レンジ(参考値):
| ランク | 戦略系 | 総合系 | IT 系 |
|---|---|---|---|
| パートナー / MD | 80-150 万円/日 | 50-100 万円/日 | 30-60 万円/日 |
| マネージャー | 30-50 万円/日 | 20-35 万円/日 | 15-25 万円/日 |
| シニア | 15-25 万円/日 | 10-18 万円/日 | 8-13 万円/日 |
| アナリスト | 8-12 万円/日 | 6-10 万円/日 | 5-8 万円/日 |
シンクタンク型(NRI / 三菱総研等)
売上 = 受託調査・コンサル売上(プロジェクト型)
+ IT サービス売上(ストック型)
+ 政策調査売上(官公庁向け)
NRI 等はコンサル + IT サービスのハイブリッド型。IT 部門が売上の 60-70% を占める。
業態別の違い
| 業態 | 売上の主体 | 1人あたり売上 | ストック性 |
|---|---|---|---|
| 戦略系(マッキンゼー等) | プロジェクト型 | 5,000 万-1.5 億円 | 弱 |
| 総合系(アクセンチュア等) | プロジェクト + 運用 | 3,000 万-7,000 万円 | 中 |
| シンクタンク(NRI等) | プロジェクト + IT | 4,000 万-8,000 万円 | 中-強 |
| IT コンサル(独立系) | プロジェクト型 | 2,000 万-4,500 万円 | 弱-中 |
KPI ツリー
売上
├── コンサル人数
├── 稼働率(85-95% が目標、90%超は過剰稼働の兆候)
├── ランク別ミックス(高ランク比率 = 単価 mix)
└── プロジェクト平均期間 × プロジェクト数
空欄許容ルール
- ランク別人数構成が非開示の場合「(要調査: 開示は限定的、競合比較・採用数推計から類推)」
- 平均人日単価が非開示の場合「(推計: 売上÷コンサル数÷年間稼働日数)」
横断ナレッジへのリンク
- KPIツリー — コンサル業の売上分解
- FP&Aの勘所_SaaS_SIer_詳細版 — SIer との比較
2. コスト構造原型
コンサルティング型
- 固定費比率: 中(35-50%)。本社家賃・本部スタッフ・教育投資
- 変動費比率: 中(コンサル人件費 + ボーナス連動)
- 人件費 / 売上比: 50-65%(戦略系)、45-55%(総合系)
- 営業利益率: 15-25%(戦略系トップ層)、10-20%(総合系)、25-40%(NRI のシンクタンク型)
- 営業レバレッジ: 中。稼働率 5pt 改善で営業利益率 3-5pt 改善
シンクタンク型
- IT 部門の固定費型(システム保守・運用)が安定収益基盤
- コンサル部門の人月モデルがプロジェクト変動を吸収
- 全体で営業利益率 12-20%(NRI 18-22%)
コスト構造の特徴
- 教育投資: 売上の 3-7%(業界トップは 10% 超)
- 採用コスト: 売上の 1-3%(人材獲得競争激化)
- オフィス費: 1人あたり年 100-200 万円(都心一等地)
空欄許容ルール
- 教育投資・採用コストの細分化が不明な場合「(要調査: 販管費明細注記)」
横断ナレッジへのリンク
- 固定費構造とオペレーティングレバレッジ — 稼働率変動による DOL
- 配賦ロジック — 本部費・教育費の配賦
3. 運転資本論点
コンサルティング型
- DSO: 中-長(60-120 日)。大企業相手のため回収サイトが長い
- DIO: ゼロ(在庫なし)
- DPO: 短い(30-45 日)
- CCC: 中(30-90 日)
- 特徴: 人件費の月次支払い vs クライアント回収のラグが運転資本を圧迫
シンクタンク型
- IT 部門は SIer と同様(FP&Aの勘所_SaaS_SIer_詳細版 §3 を参照)
- コンサル部門は上記コンサル型と同様
業界の典型値
| 指標 | コンサル | シンクタンク | コメント |
|---|---|---|---|
| DSO | 60-120 日 | 60-90 日 | |
| CCC | 30-90 日 | 60-120 日 | IT 部門の影響 |
空欄許容ルール
- 契約資産・契約負債の細分化が不足する場合「(収益認識基準注記から推計)」
横断ナレッジへのリンク
- 運転資本・キャッシュコンバージョン — DSO/DIO/DPO/CCC の計算
4. 資本集約度
コンサルティング型
- 設備投資 / 売上比: 低(1-2%)。本社オフィス・PC・出張費
- 減価償却 / 売上比: 1-3%
- 固定資産回転率: 15-30 回転
- ROIC vs WACC: 大きなスプレッド(ROIC 20-40% vs WACC 5-7%)
- 自己資本比率: 50-70%(無借金経営が多い)
シンクタンク型
- IT 部門のサーバー・データセンター投資があるため設備投資 / 売上比 3-7%
- ROIC 12-18%(NRI 15%前後)
のれん・無形資産
- M&A 戦略型コンサル(アクセンチュア型)はのれん残高大きい、減損リスク監視
- 自己成長型(NRI 等)はのれん小さい
空欄許容ルール
- ROIC 計算用の投下資本が不明な場合「(簡易ROIC = NOPAT ÷ (純資産+有利子負債))」
横断ナレッジへのリンク
5. 適切な評価手法
第一指標
| 業態 | 第一指標 | 第二指標 | DCF 適合性 |
|---|---|---|---|
| 戦略系(非上場主流) | EV/EBITDA 12-20 倍 | PER | 中 |
| 総合系(アクセンチュア等) | PER 25-35 倍 | EV/EBITDA 15-25 倍 | 中-高 |
| シンクタンク(NRI等) | PER 18-28 倍 | EV/EBITDA 12-18 倍 | 高(IT 部門安定) |
| IT コンサル | PER 15-25 倍 | EV/EBITDA 8-15 倍 | 高 |
業界特有の論点
- PER が高水準: ナレッジ集約型・高 ROIC のため業界平均より PER が高め
- DCF 適合性: シンクタンク・IT コンサルは安定的キャッシュフロー → 高、戦略系は案件ロット性で中
- 人材流出リスク: パートナー・MD クラスの離職で売上減少リスク → DCF の永続成長率は保守的に
空欄許容ルール
- パートナー数・離職率の開示が薄い場合「(要調査: IR資料の確認)」
- 案件パイプラインが非開示の場合「(推計困難、四半期実績ベースで評価)」
横断ナレッジへのリンク
- 類似企業比較分析(CCA) — コンサルの代表的倍率
- 感応度・シナリオ分析 — 稼働率 × 単価のシナリオ
- バリュエーション乖離の解釈
6. 経営の打ち手
コンサルティング型に効くレバー
- シニア層の採用・育成: 高単価ランク比率の引き上げ
- 業界特化型部隊の設置: 金融・医薬・小売等の業界特化で単価向上
- DX・デジタル領域への進出: アクセンチュア型のデジタル変革(売上の 30% を DX に)
- M&A: 専門領域のブティック型コンサル買収
- 海外展開: アジア・北米・欧州への進出
シンクタンク型に効くレバー
- IT 部門のクラウド・SaaS シフト: ストック比率引き上げ
- 官公庁案件の選別: 利益率重視
- 政策・社会課題発信: ブランド価値向上による単価維持
共通の構造的課題
- 人材獲得競争: 戦略系は新卒年収 1,000 万円超、総合系は同 600-800 万円
- 離職率の高さ: 業界平均離職率 15-25%、戦略系は 20-30%
- 生成AI による下流業務の侵食: アナリスト・シニア層の業務代替リスク
- クライアント企業の内製化: 大手企業の DX 内製化トレンド
業界全体のリスク
- 景気減速時のプロジェクト凍結・縮小: 戦略系は特に景気感応度が高い
- 人材ポートフォリオの硬直化: シニア過多・ジュニア不足のミスマッチ
空欄許容ルール
- 中期経営計画の人員目標が不明な場合「(要調査: IR資料・決算説明会資料)」
横断ナレッジへのリンク
- KPIツリー — 経営レバーの分解
- 取引事例比較分析(CTA-PTA) — コンサル業界の M&A 事例
7. 規制・産業政策
業界に効く制度
- 金融商品取引法(M&A FA 業務): アドバイザリー業務の登録制
- 個人情報保護法: クライアント企業の機密情報取扱い
- 下請法: 大手元請からの下請けへの支払いサイト規制
- 官公庁入札制度: シンクタンクの政策調査受注ルール
- コンプライアンス体制: 利益相反開示・情報遮断壁(チャイニーズウォール)
政策的追い風
- DX 推進政策(経産省 DX レポート): コンサル需要の構造的拡大
- デジタル庁・GIGA スクール: シンクタンクの政策調査需要
- 地方創生・GX: 地方自治体・脱炭素関連コンサル需要
規制強化の動向
- アドバイザリー業務の透明性: M&A FA の利益相反開示強化
- AI 倫理ガイドライン: 生成AI 活用時の説明責任
業界の地政学リスク
- 戦略系大手はグローバル組織: 米中対立、為替変動の影響
- 国内独立系: 限定的だが、サプライチェーン分析等の案件で間接影響
空欄許容ルール
- 個別企業の規制対応コストが不明な場合「(定性評価のみ)」
横断ナレッジへのリンク
- FP&Aカード共通スキーマ §7 — 規制カテゴリ別の整理
このカードの使い方
- 個別銘柄レポート展開: 7項目を骨格として「FP&A カード」セクションを設置
- 業態判定: 戦略系 / 総合系 / シンクタンク / IT コンサルの財務特性の違いを判別
- 生成AI の影響評価: 各業態が生成AI 普及でどう変化するかをシナリオ分析で評価
- SIer との比較: 同じ「人月ビジネス」でも単価構造・ROIC が大きく異なる点を FP&Aの勘所_SaaS_SIer_詳細版 と対比
関連
- FP&Aカード共通スキーマ
- コンサルティング業界基礎ガイド_詳細版
- FP&Aの勘所_SaaS_SIer_詳細版 — SIer との対比
- KPIツリー / 固定費構造とオペレーティングレバレッジ / 配賦ロジック / 運転資本・キャッシュコンバージョン
- DCF分析 / WACC算出 / 類似企業比較分析(CCA) / 感応度・シナリオ分析