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運転資本・キャッシュコンバージョン

横断ナレッジ02_管理会計・FP&A

目次
  1. 1. 定義と本質
  2. 2. 計算式
  3. DSO(Days Sales Outstanding: 売上債権回転日数)
  4. DIO(Days Inventory Outstanding: 棚卸資産回転日数)
  5. DPO(Days Payable Outstanding: 仕入債務回転日数)
  6. CCC(Cash Conversion Cycle)
  7. 運転資本回転期間
  8. データソース
  9. 3. 業界別レンジ
  10. DSO / DIO / DPO / CCCの典型レンジ
  11. CCCがマイナスの企業
  12. 4. 実例
  13. 既存レポートへの適用状況
  14. 簡易計算例(架空)
  15. 5. 自分への問い
  16. 関連

運転資本・キャッシュコンバージョン

1. 定義と本質

運転資本(Working Capital: WC)は、企業の日常的な事業活動に必要な短期資金であり、流動資産から流動負債を控除した額である。
ただし、FP&Aではより狭義に「営業運転資本」を重視する。

営業運転資本 = 売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務

キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)は、企業が現金を支出してから現金として回収するまでの日数である。

CCC = DSO + DIO − DPO

本質: 「1円の売上を生み出すために、何日分の現金を寝かせているか」。CCCが短い企業ほど、少ない運転資本で多くの売上を回せる=資本効率が良い。

FP&A視点での重要性:


2. 計算式

DSO(Days Sales Outstanding: 売上債権回転日数)

DSO = 売上債権 ÷ 売上高 × 365

DIO(Days Inventory Outstanding: 棚卸資産回転日数)

DIO = 棚卸資産 ÷ 売上原価 × 365

DPO(Days Payable Outstanding: 仕入債務回転日数)

DPO = 仕入債務 ÷ 売上原価 × 365

CCC(Cash Conversion Cycle)

CCC = DSO + DIO − DPO

運転資本回転期間

運転資本回転期間 = DSO + DIO − DPO (= CCCと同値)
運転資本回転率 = 売上高 ÷ 営業運転資本

データソース

データ EDINET DB項目 備考
売上債権 get_financials (tradeReceivables) 受取手形+売掛金
棚卸資産 get_financials (inventories)
仕入債務 get_financials (tradePayables) 支払手形+買掛金
売上高 get_financials (revenue)
売上原価 get_financials (costOfSales)

3. 業界別レンジ

DSO / DIO / DPO / CCCの典型レンジ

業界 DSO DIO DPO CCC 特徴
SaaS 30-60日 0日 30-60日 0-30日 在庫なし、CCC極短
小売 5-15日 30-60日 30-45日 0-30日 現金商売、在庫回転速い
製造業(一般) 60-90日 60-90日 45-60日 60-120日 在庫・債権とも長い
建設 90-150日 極長 45-90日 極長 完成検査後回収、在建工事
商社 30-60日 30-60日 30-45日 15-75日 回転重視
不動産(分譲) 長期 極長 30-60日 数年 開発中不動産の滞留

CCCがマイナスの企業

CCCがマイナス = DPO > DSO + DIO。つまり「仕入先への支払いより、顧客からの回収が早い」。 これは強力な競争優位性の指標であり、Amazon、通販大手などに見られる。


4. 実例

既存レポートへの適用状況

銘柄レポートの「財務分析 > 運転資本分析」セクションでDSO/DIO/DPOを計算・記載している。 以下の点に注目:

簡易計算例(架空)

企業E(精密部品メーカー):
売上高: 200億円
売上原価: 150億円
売上債権: 45億円
棚卸資産: 35億円
仕入債務: 30億円

DSO = 45 ÷ 200 × 365 = 82.1日
DIO = 35 ÷ 150 × 365 = 85.2日
DPO = 30 ÷ 150 × 365 = 73.0日
CCC = 82.1 + 85.2 − 73.0 = 94.3日

営業運転資本 = 45 + 35 − 30 = 50億円
運転資本回転率 = 200 ÷ 50 = 4.0回

分析:
- CCC 94日は製造業として標準的
- DSO 82日はやや長い → 与信管理の改善余地
- DIO 85日は受注生産のため仕掛品滞留が主因
- 売上10%増 → 運転資本5億円増の追加資金が必要

5. 自分への問い

  1. CCCが年々長くなっている企業は、何を疑うべきか? 成長の健全な結果か、回収悪化のシグナルか?
  2. DPOを意図的に長くする(支払いサイトの延長)ことのメリットとデメリットは? サプライヤーとの関係にどう影響するか?
  3. 「利益は出ているのに営業CFが悪い」という状況で、まずどの運転資本項目を確認するか? その項目が増加している理由として何が考えられるか?

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