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感応度・シナリオ分析

横断ナレッジ01_ファイナンス理論

目次
  1. 1. 定義と本質
  2. 2. 計算式・データソース
  3. 一変数感応度
  4. 二変数感応度
  5. シナリオ分析
  6. 3. 業界別の典型レンジ・落とし穴
  7. 業界別の感応度の高い変数
  8. 落とし穴
  9. 4. 実例(既存業界レポートとリンク)
  10. 5. 自分への問い(理解度確認 3問)
  11. 関連

感応度・シナリオ分析

1. 定義と本質

**感応度分析(Sensitivity Analysis)**は、特定の前提値(WACC・g・売上成長率等)を変化させたときの企業価値の変動を測定する手法。
**シナリオ分析(Scenario Analysis)**は、複数の前提を組み合わせた整合的なケース(ベース/上振れ/下振れ)を構築する手法。

本質: 単一の DCF 価値(point estimate)は 疑似精度(spurious accuracy) に陥りがち。「価値はレンジで考える」ことが投資判断の前提。

FP&A視点での重要性:


2. 計算式・データソース

一変数感応度

主要変数を 1 つだけ動かして価値変動を測定。棒グラフ(Tornado Chart) で可視化。

例: WACC ±1% 時の DCF 価値変動

WACC DCF 価値 ベースとの差
6% 1,200億 +20%
7% (ベース) 1,000億 0%
8% 850億 −15%

二変数感応度

2 変数の組み合わせで マトリクステーブル を作成。

例: WACC × g の DCF 価値(億円)

g \ WACC 6% 7% 8%
1% 1,150 980 850
2% 1,250 1,050 900
3% 1,400 1,150 970

シナリオ分析

整合的な前提セットを 3-5 ケース構築。

ケース 売上成長率 営業利益率 WACC 確率 DCF 価値
強気 8% 12% 6% 25% 1,500億
ベース 5% 10% 7% 50% 1,000億
弱気 2% 8% 8% 25% 600億
期待値 1,025億

各ケースの確率には データ根拠(IMF予測、業界統計、消費者信頼感指数等)を必須化する。


3. 業界別の典型レンジ・落とし穴

業界別の感応度の高い変数

業界 最も価値感応度が高い変数
SaaS NRR / Churn / ARR 成長率
半導体 設備投資 / 在庫評価 / サイクル位置
製造業 売上成長率 / 為替
商社 資源価格 / 配当政策
医薬(先発) パイプライン成功確率 / 特許切れ日
不動産 キャップレート / 賃料下落率
建設 受注高成長率 / 利益率
小売 既存店売上 / 出店ペース

落とし穴

  1. シナリオ間で前提が矛盾: 強気で売上+10% かつ WACC -1% は内部矛盾(成長期待は資本コストを上げる)
  2. 確率の根拠が「えいや」: 50/30/20 を慣習で決めると説得力ゼロ → IMF予測等の出典必須
  3. テールリスク無視: 99% シナリオに収まらない極端ケース(金融危機・パンデミック)が落ちる
  4. 複利効果の見落とし: 売上成長率 -2% を 10 年継続すると利益への影響は予想以上に大きい
  5. モンテカルロの過信: 数千試行でも前提の正規分布仮定が誤っていれば結果は無意味

4. 実例(既存業界レポートとリンク)


5. 自分への問い(理解度確認 3問)

  1. 感応度分析とシナリオ分析の違いを 3行で説明せよ。なぜ両方必要なのか?
  2. 自分が分析した銘柄について、最も価値感応度の高い変数を 1 つ特定し、±20% 動かした時の影響を試算せよ
  3. 3シナリオの確率を 30/50/20 に設定する場合、その根拠はどこから引いてくるべきか? 具体的な指標名を 3 つ挙げよ。

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