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取引事例比較分析(CTA-PTA)

横断ナレッジ01_ファイナンス理論

目次
  1. 1. 定義と本質
  2. 2. 計算式・データソース
  3. 基本フロー
  4. データソース(日本市場)
  5. コントロールプレミアム
  6. 3. 業界別の典型レンジ・落とし穴
  7. 業界別 EV/EBITDA 取引倍率(日本、2020-2025)
  8. 落とし穴
  9. 4. 実例(既存業界レポートとリンク)
  10. 5. 自分への問い(理解度確認 3問)
  11. 関連

取引事例比較分析(CTA / PTA)

1. 定義と本質

**取引事例比較分析(CTA: Comparable Transaction Analysis)**は、過去のM&A取引で支払われた買収価格倍率(EV/EBITDA・EV/Sales等)を、対象企業の財務指標に適用して買収価値を算定する手法である。先例取引分析(PTA: Precedent Transaction Analysis) とほぼ同義で使われる(実務では PTA の方が頻出)。

本質: 「実際に支払われた金額」をベンチマークにする点が CCA(類似企業比較分析(CCA))との決定的な違い。

FP&A視点での重要性:


2. 計算式・データソース

基本フロー

  1. 取引選定: 過去3-5年の同業M&A取引を抽出(業種・規模・地理的範囲が類似)
  2. 倍率計算: 各取引の EV / EBITDAEV / SalesEV / EBIT を算出
  3. 中央値・四分位適用: 対象企業のEBITDA等に倍率レンジを掛ける
  4. コントロールプレミアム調整: 必要に応じて20-40%上乗せ

データソース(日本市場)

ソース 内容 入手方法
EDINET 大型M&A後のIR資料(買収価格・取得割合) 公式サイト or MCP
MARR Online M&A専門誌(有料) 法人購読
レコフM&Aデータベース 取引一覧(有料) 法人購読
公表IRリリース 買収側企業の適時開示 EDGAR / 各社IR
Bloomberg / S&P Capital IQ グローバル取引DB(有料) 法人購読

コントロールプレミアム

コントロールプレミアム = (買収価格 − 公表前30日平均株価) / 公表前30日平均株価

日本市場の典型値: 20-40%(米国は 30-50%)


3. 業界別の典型レンジ・落とし穴

業界別 EV/EBITDA 取引倍率(日本、2020-2025)

業界 中央値 四分位範囲 特徴
SaaS / クラウド 18-25倍 12-35倍 ARR成長率次第で大幅に変動
半導体・電子部品 8-12倍 6-15倍 サイクル位置で変動大
製造業(一般) 6-9倍 5-11倍 安定
商社・卸 5-7倍 4-9倍 低倍率が常態
医薬(先発) 12-18倍 10-25倍 パイプライン価値で変動
不動産 10-15倍(NAV基準) 8-18倍 EV/EBITDA より NAV が主流
建設 5-8倍 4-10倍 受注残高で評価
小売 7-10倍 6-13倍 業態差大(CVS高/百貨店低)

落とし穴

  1. 取引のシナジー込み価格が混在: 戦略買収はシナジーで上乗せされた価格 → そのまま中央値に入れると過大
  2. 時期の偏り: 金融緩和期(2020-2021)の取引は倍率が高い → 直近2-3年で絞る
  3. 取引規模の差: 小型 deal は流動性ディスカウントで低め → 規模を揃える
  4. 完全買収 vs マイノリティ: 持分割合(51% vs 100%)でプレミアムが異なる
  5. 公表ベース vs 推定: 非公開取引は EV が推定値 → 出典を明記

4. 実例(既存業界レポートとリンク)


5. 自分への問い(理解度確認 3問)

  1. CCA と CTA/PTA の違いを 3行で説明せよ。なぜ同じ EV/EBITDA でも倍率が違うのか?
  2. 公表IRから1件のM&A取引を選び、EV/EBITDA倍率を実際に計算せよ。コントロールプレミアムが何%だったかも算出。
  3. 金融緩和期の取引を CTA に入れることのリスクは何か? 自社で M&A を検討するなら、データ期間をどう絞るべきか?

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