📚 業界ナレッジ

建設

横断ナレッジ03_業界別KPIカタログ

目次
  1. 1. 定義と本質
  2. 2. 計算式・データソース
  3. 主要 KPI
  4. 受注高の質
  5. 3. 業界別の典型レンジ・落とし穴
  6. 業態別の特徴
  7. 落とし穴
  8. 4. 実例(既存業界レポートとリンク)
  9. 5. 自分への問い(理解度確認 3問)
  10. 関連

建設

1. 定義と本質

建設業は、土木・建築の請負工事を行う業界。受注産業であり、受注高・受注残高が将来売上のリードインジケーター。

業態の三分:

FP&A視点の本質: 「受注高・受注残高」「進行基準(IFRS 15)」「完成工事原価率」「立替工事高」が決定要因。受注時の利益率が確定するため、原価管理の精度が利益に直結。


2. 計算式・データソース

主要 KPI

KPI 計算式 典型レンジ
受注高 期中受注総額 開示
受注残高 受注高 − 売上計上額 売上の1-2倍
Book-to-Bill 受注高 / 売上 0.9-1.2
完成工事粗利率 完成工事総利益 / 完成工事高 5-12%
完成工事高 売上計上額 開示
未成工事支出金 仕掛中の工事原価 BS 流動資産
立替工事高 売上債権 − 前受金 運転資本の塊
自己資本比率 自己資本 / 総資産 30-50%

受注高の質

受注高 = 公共工事 + 民間建築 + 民間土木 + 海外

公共工事比率が高い企業は景気変動に強い、民間比率が高い企業は変動が大きい。


3. 業界別の典型レンジ・落とし穴

業態別の特徴

業態 PER EV/EBITDA ROE 完成工事粗利率
スーパーゼネコン 8-15倍 5-8倍 8-12% 8-12%
準大手ゼネコン 7-12倍 4-7倍 6-10% 6-10%
中堅ゼネコン 6-10倍 3-6倍 5-8% 5-8%
専門工事 8-15倍 5-8倍 6-12% 8-15%
設備工事 10-18倍 6-10倍 8-15% 10-18%

落とし穴

  1. 会計利益の遅行: 進行基準で利益計上 → 受注時の利益見積もりが甘いと数年後に損失
  2. 不採算工事の損失処理: 大型工事の損失は数十億〜数百億 → 一発で利益吹き飛ぶ
  3. 資材高騰の影響: 受注時固定価格の場合、資材高騰で利益が圧迫
  4. 下請構造の労務リスク: 専門工事会社の倒産で工期遅延・追加費用
  5. 公共/民間の比率変動: 公共工事削減期は中堅ゼネコンが苦戦
  6. 立替工事高の運転資本圧迫: 大型工事は立替金が膨らむ → 短期借入依存
  7. 建設業法の規制: 主任技術者・監理技術者の人数制限が成長制約
  8. 2024年問題: 残業規制で工期延長リスク

4. 実例(既存業界レポートとリンク)


5. 自分への問い(理解度確認 3問)

  1. 受注高 / 売上 = 1.2(Book-to-Bill)を「強い」と評価できる条件は? 業態・サイクル位置を考慮して。
  2. 大型工事で 100 億円の損失計上が発表された場合、投資家として最初に確認すべきは? 単発か構造的かの判定基準は?
  3. 完成工事粗利率が 10% から 8% に低下した場合、原因として考えられるドライバーを 5 つ挙げよ

関連