📚 業界ナレッジ

第1号 半導体は「どの工程」が一番儲かるのか — FP&A目線で読む半導体バリューチェーン

第1章半導体は「6つの層」でできている

まず全体像です。半導体産業は、ざっくり6つの層が「素材→道具→製造→設計→仕上げ→製品」とつながってできています。

料理にたとえると、材料メーカーは農家、装置メーカーは厨房機器メーカー、ファウンドリは食品工場、ファブレスはレシピ開発会社、OSATは梱包・配送センターです。
それぞれが分業し、1枚のチップを世界中で受け渡しながら作っています。

図2:半導体バリューチェーン6層マップ

なぜ今、こんなに注目されているのか

理由は一言でいうとAIです。2026年は「AI設備投資のスーパーサイクル」と呼ばれています。

つまり、最終製品(AIサーバー)の爆発的な需要が、設計→製造→装置→材料へと川を遡って投資を呼び込んでいる状態です。半導体の成長は、大きく3つのドライバーに整理できます。

ただし、市場ごとに「成長スピード」は大きく違います。次の図が、半導体の各市場の規模と成長率(CAGR=年平均成長率)の地図です。

図3:市場規模 × 成長率(CAGR) バブルチャート

成長率だけ見るとAI半導体(33%)やSiC(25%)が花形です。ですが――ここが今日のいちばん大事なポイントですが――「市場が伸びること」と「その会社が儲かること」は、まったくの別物です。

結論を先に:一番「儲かっている」のは後工程の装置

成長率の話はいったん脇に置いて、「実際にどれだけ儲かっているか」を営業利益率で並べてみます。日本の主要12社のFY2025実績がこちらです。

トップのレーザーテックとボトムのロームの差は57.7ポイント。
同じ業界とは思えない開きです。
そして上位を見ると、AIの花形であるはずの「製造(ファウンドリ)」や「設計」ではなく、検査・切断・テストといった後工程の装置メーカーが利益率の上位を独占していることに気づきます。

図4:工程別 営業利益率ランキング

ではなぜ、こんな逆転が起きるのか。
「市場が大きい・速い」ことと「儲かる」ことがズレるのはなぜか。
ここから先が、この記事の本題です。
利益が貯まる場所を決める「3つの条件」と、決算の読み方を、順に分解していきます。