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海運業業界基礎ガイド

【経済・海運業】海運業業界基礎ガイド

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目次
  1. 1. 業界概観
  2. 2. 業界内の主要セグメント
  3. 3. バリューチェーン
  4. 各段階の付加価値配分
  5. 4. 主要専門用語
  6. 5. 業界の歴史と構造変化
  7. 戦後復興〜貿易立国期(1945〜1985)
  8. プラザ合意と海運不況(1985〜2000)
  9. コンテナ運賃バブルと統合(2000〜2018)
  10. コロナ特需と紅海危機(2020〜現在)
  11. 6. 業界構造のポイント(投資視点)
  12. 参入障壁
  13. 収益ドライバー
  14. 主な逆風
  15. 7. サブ業態の詳細
  16. 8. 規制・産業政策
  17. 主要規制
  18. 政策的追い風 / 逆風
  19. 地政学リスク
  20. 9. 投資視点
  21. 注目銘柄候補
  22. 業界全体のリスク
  23. 10. 用語集・出典
  24. 出典
  25. 関連レポート
  26. 補足: 詳細分析(旧「海運・空運業界基礎ガイド_詳細版」を統合・2業界横断の旧統合ガイド)
  27. 1. 業界定義とスコープ
  28. 2. バリューチェーン
  29. 3. 主要プレイヤー
  30. 4. 専門用語集
  31. 5. 業界の歴史と構造変化
  32. 6. 業界の主要トレンド(4軸)
  33. 7. 規制・制度
  34. 関連

海運業業界基礎ガイド

作成日: 2026-05-16 | データ源: EDINET 有報(FY2023〜FY2025), 国土交通省「海事白書」, 日本船主協会


1. 業界概観

海運業は世界貿易量の約80%(トンベース)を担うグローバルインフラ。
日本のエネルギー輸入のほぼ全量(原油・LNG・石炭・鉄鉱石・穀物)が海運に依存し、国家安全保障とも直結する重要産業である。
TOPIX-17 分類では「運輸・物流」に属し、定期船(コンテナ)、不定期船(ドライバルク・タンカー・LNG・自動車船)の各セグメントで全く異なる市況・収益構造を持つ。

日本の上場海運大手は日本郵船・商船三井・川崎汽船の3社が中心。
コンテナ船事業は2018年に3社のコンテナ部門を統合した**ONE(Ocean Network Express)**にて運営(持分法適用、世界6位規模)。
3社の売上規模は日本郵船 約2.6兆円、商船三井 約1.8兆円、川崎汽船 約1.0兆円。
準大手として飯野海運(内航・タンカー)、NSユナイテッド海運(鉄鋼海運)など。

海運の収益はシンプルに「運賃 × 貨物量」で決まるが、運賃は市況に強く依存する。
コンテナ運賃指数(SCFI)、バルチック海運指数(BDI)、原油タンカー指数(BDTI)等が日次で変動し、業績ボラティリティが極めて大きい。
2021〜22年のコンテナ運賃バブル(SCFI 5,000pt超)でメガ利益を計上した後、2023年に運賃が正常化して減益、2024年以降は紅海危機による迂回でコンテナ運賃が再上昇するなど、サイクル変動が業績の主因。

業界は今、3つの構造変化に直面している。

  1. 脱炭素規制(IMO・EU ETS): 2050年ネットゼロ目標、燃料転換(LNG→メタノール→アンモニア)、EU ETS(2024年〜段階拡大、2026年100%)
  2. 地政学リスク: 紅海危機(2023年10月〜)、ホルムズ海峡、台湾海峡。スエズ運河通航量は通常比50%減
  3. 造船発注ラッシュ: 2028〜29年まで船台が埋まる新造船投資。供給過剰リスクと環境対応投資の両面

2. 業界内の主要セグメント

セグメント 主要貨物 代表指標 市場特性 日本3社の主要プレイヤー
定期船(コンテナ) 完成品・部品・消費財 SCFI、CCFI アライアンス寡占、市況ボラ大 ONE(日本郵船38% 商船三井31% 川崎汽船31%)
ドライバルク 鉄鉱石・石炭・穀物 BDI(バルチック指数) スポット市況、中国需要連動 日本郵船・商船三井・川崎汽船・NSU海運
タンカー(原油) 原油 BDTI、VLCC運賃 中東地政学直結、OPEC連動 日本郵船・商船三井・飯野海運
タンカー(製品) ガソリン・ナフサ BCTI 製油所稼働・季節需要 商船三井・飯野海運
LNG船 液化天然ガス 長期チャーター 長期契約主体、安定収益 商船三井(世界最大級船隊)・日本郵船
自動車船(PCTC) 完成車 1台運賃 日本3社+欧韓、EV輸送特需 日本郵船・商船三井・川崎汽船
内航 国内石油・鉄鋼 国内市場 安定長期契約 飯野海運・NSユナイテッド

出典: EDINET 有報 FY2025、各社統合報告書


3. バリューチェーン

graph LR
    A[荷主<br/>商社・メーカー] --> B[フォワーダー<br/>海貨・乙仲]
    B --> C[船社<br/>日本郵船・商船三井・川崎汽船]
    C --> D[港湾運送<br/>ターミナル・荷役]
    D --> E[陸上輸送<br/>トラック・鉄道]
    E --> F[最終消費者]
    C -.燃料.-> G[重油・LNG]
    C -.造船.-> H[今治造船・JMU・三菱重工]
    C -.保険.-> I[P&I・海上保険]

各段階の付加価値配分

段階 主要プレイヤー 利益率水準 参入障壁
荷主 商社、製造業 業界による 低〜中
フォワーダー 日通・近鉄エクスプレス・郵船ロジスティクス 営業利益率 3〜5% 中(顧客関係、システム)
船社(コンテナ) ONE、マースク、MSC、CMA CGM、ハパックロイド 営業利益率 -5〜30%(市況変動大) 極めて高(船腹、アライアンス)
船社(不定期) 日本郵船・商船三井・川崎汽船 営業利益率 5〜20% 高(船腹、長期契約)
造船・船舶機器 今治造船、JMU、川崎重工、三菱重工 営業利益率 5〜10% 高(造船所、技術)
港湾運送 上組、井本商運、東洋埠頭 営業利益率 4〜8% 高(港湾免許、立地)
燃料供給 出光・ENEOS・コスモ 営業利益率 2〜5%
海上保険 東京海上、損保ジャパン、日本興亜 営業利益率 5〜15% 高(再保険ネットワーク)

4. 主要専門用語

用語 読み 定義
コンテナ船 コンテナせん 20フィート(TEU)コンテナを積載する定期航路船。最大2.4万TEU超
TEU テイーイーユー Twenty-foot Equivalent Unit。20フィートコンテナ1個分の換算単位
ドライバルク ドライバルク 鉄鉱石・石炭・穀物などばら積み貨物を輸送するバルクキャリア
ケープサイズ ケープサイズ 18万DWT超のドライバルク。喜望峰経由(パナマ運河通航不可)
パナマックス パナマックス パナマ運河通航可能な最大船型。約6〜8万DWT
VLCC ブイエルシーシー Very Large Crude Carrier。20万DWT以上の原油タンカー
LNG船 エルエヌジーせん -162℃の液化天然ガス輸送船。建造単価200〜300億円、長期チャーター主体
PCTC ピーシーティーシー Pure Car & Truck Carrier。完成車専用船。1隻6,000〜7,000台積載
BDI ビーディーアイ Baltic Dry Index。鉄鉱石・石炭・穀物の運賃指標
SCFI エスシーエフアイ Shanghai Containerized Freight Index。上海発コンテナ運賃指数
BAF ビーエーエフ Bunker Adjustment Factor。燃油サーチャージ
タイムチャーター タイムチャーター 時間決め用船契約。月額固定運賃
ボヤージュチャーター ボヤージュチャーター 航海単位の用船契約。スポット運賃
ONE ワン Ocean Network Express。日本3社のコンテナ事業統合会社(2018年〜)
IMO アイエムオー International Maritime Organization。国際海事機関
EEXI イーイーエックスアイ 既存船エネルギー効率指数。2023年運用開始
CII シーアイアイ Carbon Intensity Indicator。船舶炭素強度をA〜E評価
SOX規制 ソックスきせい 硫黄酸化物規制。2020年から燃料硫黄分0.5%以下が必須

5. 業界の歴史と構造変化

戦後復興〜貿易立国期(1945〜1985)

戦後復興と高度経済成長を背景に、計画造船で日本船腹を再建。1972年には世界第1位の保有船腹量に到達。三光汽船・山下新日本汽船等の不定期船専業が台頭し、後の業界再編の母体となる。

プラザ合意と海運不況(1985〜2000)

円高(1ドル240円→120円)と1980年代後半の供給過剰で日本船社は苦境。
1990年代に山下新日本汽船とジャパンライン合併(→ナビックスライン)、ナビックスと大阪商船三井船舶合併(→商船三井)、日本郵船と昭和海運合併、川崎汽船はナビックスから自動車船等を承継など、業界再編が進行。

コンテナ運賃バブルと統合(2000〜2018)

2000年代に世界貿易急拡大でコンテナ船需要が拡大。
一方で2008年リーマンショックでBDIが11,793pt→663ptに暴落、2016年韓進海運破綻。
長期不況の中、2017年に日本3社のコンテナ事業統合機運が高まり、2018年7月**ONE(Ocean Network Express)**が業務開始。

コロナ特需と紅海危機(2020〜現在)

2020年前半のコロナで一旦SCFI急落、その後2021〜22年に港湾混雑+在庫補充需要+コンテナ不足の三重苦でSCFI 5,000pt超の歴史的バブル
日本3社は持分法経由でメガ利益を計上(純利益1〜2兆円規模)。
2023年に運賃正常化で減益、2023年10月のフーシ派紅海攻撃で再度運賃上昇。
2026年5月時点で SCFI 1,911pt(前年比+42.5%)、スエズ通航1日23隻(通常比53%減)と異常事態が継続。


6. 業界構造のポイント(投資視点)

参入障壁

収益ドライバー

主な逆風


7. サブ業態の詳細

詳細なサブ業態(コンテナ・ドライバルク・タンカー・LNG・自動車船・空運)の財務比較と歴史・規制・トレンドは詳細版を参照: 海運・空運業界基礎ガイド_詳細版

詳細版には以下を収録:


8. 規制・産業政策

主要規制

規制名 公布/施行 影響
SOX規制(船舶燃料硫黄分上限) 2020年1月施行 燃料硫黄分0.5%以下が必須、低硫黄燃料コスト上昇
EEXI / CII(IMO) 2023年1月運用開始 既存船のエネルギー効率規制、低評価船は是正計画提出義務
EU ETS(海運業適用) 2024年1月適用開始 域内航行のCO2排出量に炭素価格、2026年100%適用
IMO 2050年ネットゼロ 2023年改定 グローバル燃料規格、MEPC 84で審議継続、2026年後半正式採決見通し
非居住者船舶貸渡特別償却 継続 船舶投資の特別償却・税額控除

政策的追い風 / 逆風

地政学リスク


9. 投資視点

注目銘柄候補

銘柄 コード 勝ち筋 リスク
日本郵船 9101 売上トップ、ONE38%出資、自動車船・物流多角化 コンテナ市況下落リスク
商船三井 9104 LNG船隊世界最大級、エネルギー輸送の長期契約安定 環境投資負担、為替
川崎汽船 9107 海運依存度高(≒コンテナ・自動車船特化)、業績ボラ大 紅海正常化で運賃下落リスク
飯野海運 9119 内航・タンカー、安定長期契約 小型株でボラ大

業界全体のリスク


10. 用語集・出典

出典

一次情報(レベル1)

ベンダー情報(レベル2)


関連レポート


免責事項

本レポートは情報提供のみを目的としており、投資助言・推奨を構成するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。


補足: 詳細分析(旧「海運・空運業界基礎ガイド_詳細版」を統合・2業界横断の旧統合ガイド)

旧詳細版(海運業と隣接業界を横断する統合ガイド)を本編へ統合。隣接業界の記述も含むが、深掘り解説を保持するため収録。

1. 業界定義とスコープ

海運・空運業は、貨物および旅客の国際・国内輸送を担うインフラ産業。海運は世界貿易量の約80%(トンベース)を担い、空運は高付加価値貨物と旅客の高速移動を提供する。

海運業の内訳

セグメント 主要貨物 代表指標 市場特性
定期船(コンテナ) 完成品・部品・消費財 SCFI、CCFI 3アライアンス寡占、運賃ボラティリティ大
ドライバルク 鉄鉱石・石炭・穀物 BDI(バルチック海運指数) スポット市況主導、中国需要に左右
タンカー 原油・石油製品 BDTI、BCTI 中東地政学リスク直結、OPEC増減産で変動
LNG船 液化天然ガス BLNG(造船ベース指標) 長期チャーター主体、カーゴリンクド
自動車船(PCTC) 完成・完成車 1台当たり運賃 日本3社+韓欧、EV輸送需要増

空運業の内訳

セグメント 主要収益源 代表指標 市場特性
FSC(国際線) 旅客運賃・貨物 RPK、PLF(客席利用率) インバウンド特需、為替感応度高
FSC(国内線) 旅客運賃 ASK、RPK 新幹線と競合、LCCにシェア浸食
LCC 旅客運賃・オプション 座席キロ当たり収益 親会社(ANA/JAL)のLCC子会社が中心
航空貨物 貨物運賃・チャーター CTK(貨物トンキロ) 半導体・EC需要、 belly cargo + freighter

2. バリューチェーン

graph TB
    subgraph 海運バリューチェーン
        A[荷主<br/>メーカー・商社] --> B[フォワーダー<br/>海貨・乙仲]
        B --> C[船社<br/>日本郵船・商船三井・川崎汽船]
        C --> D[港湾運送<br/>タンカー・ターミナル]
        D --> E[陸上輸送<br/>トラック・鉄道]
        E --> F[荷受人<br/>最終消費者]
    end
    subgraph 空運バリューチェーン
        G[旅客・荷主] --> H[航空会社<br/>ANA・JAL・スカイマーク]
        H --> I[空港運営<br/>空港ビルディング]
        I --> J[グランドハンドリング<br/>旅客サービス・貨物処理]
        J --> K[旅客・荷受人]
    end
    subgraph 共通インフラ
        L[造船所・航空機メーカー<br/>新造投資]
        M[燃料供給<br/>重油・ジェット燃料]
        N[保険・金融<br/>P&I・船腹金融]
    end
    C -.-> L
    C -.-> M
    C -.-> N
    H -.-> M
    H -.-> N

海運の収益構造

船社の収益は「運賃(Freight Rate)× 貨物量(Volume)」で決まる。
定期船はアライアンス共同配船でスケールを確保し、不定期船はスポット市況と長期契約の組み合わせで収益を安定化させる。
燃油費(約30-40%のコスト構成比)は燃油サーチャージ(BAF)で顧客に転嫁する仕組み。

空運の収益構造

航空会社の収益は「旅客収益(旅客数 x 単価)+ 貨物収益 + その他」で構成。
国際線はインバウンド需要(訪日外国人客数)に大きく左右され、為替(円安)がインバウンド喚起と燃料費(ドル建て原油)の双方に影響する。
レベニューマネジメント(動的価格設定)が単価管理の中核。

3. 主要プレイヤー

海運大手3社 + 準大手

企業名 EDINET 証券コード 会計基準 強み・特徴 売上高
日本郵船 E04235 9101 JGAAP 定期船・自動車船・エネルギー・物流。ONE(Ocean Network Express)出資。売上最大手 2兆5,887億円
商船三井 E04236 9104 JGAAP エネルギー・ドライバルク・コンテナ。LNG船隊世界最大級。資産売却で財務改善進む 1兆7,755億円
川崎汽船 E04237 9107 JGAAP 製品物流・自動車船・ドライバルク。ONE出資。海運依存度高(売上9割超が海運) 1兆479億円
飯野海運 E04243 9119 JGAAP 内航・タンカー。国内石油輸送に特化。安定した長期契約主体 1,419億円

空運大手2社 + LCC

企業名 EDINET 証券コード 会計基準 強み・特徴 売上高
ANAホールディングス E04273 9202 JGAAP FSC最大手。LCC子会社(Peach・AirJapan)展開。貨物機ネットワーク拡充中 2兆2,619億円
日本航空 E04272 9201 IFRS FSC第2位。再建後の財務規律徹底。ZIPAIR(LCC)が好調 1兆8,441億円
スカイマーク E38082 9204 JGAAP 独立系LCC。羽田発着枠持つ。再生後成長軌道 1,089億円

4. 専門用語集

海運

用語 読み方 定義
コンテナ船 コンテナせん 20フィート(TEU)または40フィートの標準コンテナを積載する定期航路船。20万TEU超の超大型船も就航
ドライバルク ドライバルク 鉄鉱石・石炭・穀物などばら積み貨物を輸送するバルクキャリア。ケープサイズ(18万DWT超)からハンディサイズまで
LNG船 エルエヌジーせん 液化天然ガス(-162度C)を輸送する特殊船。建造単価200-300億円、長期チャーター契約が基本
VLCC ブイエルシーシー Very Large Crude Carrier。20万DWT以上の原油タンカー。中東-極東航路の主力
パナマックス パナマックス パナマ運河の船闸(ロック)通航可能な最大船型。約5万-8万DWT。新パナマックスはネオパナマックス
フィーダー フィーダー 大型ハブ港から地域港へコンテナを輸送する中小型船。1,000-3,000 TEU級
チャーター料 チャーターりょう 船舶を借り上げる賃船料。定期(タイムチャーター)と航海単位(ボヤージュチャーター)がある
BFI / BDI バルチック海運指数 Baltic Dry Index。鉄鉱石・石炭・穀物などのばら積み貨物運賃の国際指標。海運市況の景気感応指標
SCFI 上海コンテナ運賃指数 Shanghai Containerized Freight Index。上海発コンテナ運賃の指標。2026年5月時点で1,911ポイント(前年比+42.5%)
燃油サーチャージ ねんゆサーチャージ BAF(Bunker Adjustment Factor)。重油価格変動を運賃に転嫁する付加料金
TEU テイーイーユー Twenty-foot Equivalent Unit。20フィートコンテナ1個分の換算単位
DWT ディーダブリューティー Deadweight Tonnage。船舶の積載重量トン数(貨物+燃料+水+人員)

空運

用語 読み方 定義
FSC エフエスシー Full Service Carrier。 Full-serviceの航空会社。ANA・JALなど。機内食・預け荷物込み
LCC エルシーシー Low Cost Carrier。格安航空会社。スカイマーク・Peach・ZIPAIRなど。サービス簡素化で低運賃
インバウンド インバウンド Inbound。訪日外国人旅客。2024年年間約3,690万人(JNTA推計)、航空収益の主要ドライバー
RPK アールピーケー Revenue Passenger Kilometers。有料旅客輸送キロ数。航空需要の基本指標
ASK エーエスケー Available Seat Kilometers。供給座席キロ数。稼働率(PLF = RPK/ASK)の分母
座席キロ当たり収益 ざせきキロとうたりしゅうえき Yield(RASK/ASK)。旅客収益を供給座席キロで割った単価指標
PLF ピーエルエフ Passenger Load Factor。旅客搭乗率 = RPK / ASK。80%超が健全水準
CTK シーティーケー Cargo Tonne Kilometers。貨物トンキロ数。航空貨物需要の基本指標
燃料サーチャージ ねんりょうサーチャージ 航空運賃に上乗せする燃油特別運賃。ジェット燃料価格に連動
外為変動 がいたせへんどう 為替変動。円安はインバウンド喚起(訪日増)と燃料費増(ドル建原油)の二面効果

5. 業界の歴史と構造変化

海運業の転換点

時期 事件 影響
2008年 リーマンショック BDIが11,793pt(5月)→ 663pt(12月)に暴落。海運不況の始まり
2009-16年 長期海運不況 供給過剰が続く。2016年ハンジン破綻(韓国)。日本3社のコンテナ事業統合機運高まる
2017-18年 ONE設立準備 日本郵船・商船三井・川崎汽船のコンテナ船事業を統合、ONE(2018年7月発足)
2020年前半 コロナショック SCFIが900pt台に急落。世界貿易量急減、減船対応
2021-22年 コンテナ運賃バブル SCFIが5,000pt超(史上最高)。港湾混雑+在庫補充需要+コンテナ不足のトリプルパンチ
2023年前半 運賃正常化 SCFI 900-1,000ptに戻る。2021-22年の特需が一転、三大海運減収
2023年10月 紅海危機始まる フーシ派が紅海経由商船を攻撃開始。スエズ運河通航量約50%減
2024年 紅海迂回長期化 喜望峰回りで運賃再上昇。三大海運業績回復。EU ETS適用開始
2025年 二正面チョークポイント イラン紛争拡大でホルムズ海峡も機能不全に。フーシ派が正式参戦(2026年3月)
2026年5月 現在 SCFI 1,911pt(前年比+42.5%)。スエズ通航1日23隻(通常比53%減)。造船投資ラッシュ継続

空運業の転換点

時期 事件 影響
2010年 JAL企業再生完了 2012年再上場。財務規律文化が定着
2019年 LCC参入ラッシュ Peach・ジェットスター・バニラエア等が国内線シェア拡大
2020-21年 コロナで国際線壊滅 RPK 60%減。政府支援(航空再建支援スキーム)で乗り切る
2022-24年 インバウンド急回復 訪日客数急増。ANA・JAL共に過去最高益更新(FY2024)
2025年 インバウンド3,000万人超定着 LCC需要増。JALのZIPAIRが好調、ANA AirJapan拡充
2026年3月期 FY2025決算 JAL売上1兆8,441億円(+9.3%)、旅客数+5.6%。国際・国内とも単価・客数そろって増

6. 業界の主要トレンド(4軸)

トレンド1: 脱炭素化(LNG・メタノール・アンモニア燃料船への転換)

IMO(国際海事機関)は2050年ネットゼロ目標を掲げ、段階的な排出削減規制を導入している。
2023年にはEEXI(既存船舶エネルギー効率指数)とCII(炭素強度指標)が運用開始。
2026年4月のMEPC 84(海上環境保護委員会)では、グローバル燃料規格とライフサイクル排出算定の枠組みが審議された。
ただし米国が最大の政治的リスク要因となっており、2026年11月の中間選挙後の正式採決見通し。

三大海運はLNG燃料船を先行投資し、次世代燃料(メタノール・アンモニア)への転換に備えている。
商船三井はLNG船隊で世界最大級。
造船所の建造スロットは2028-29年まで埋まっており、新造船投資ラッシュが供給過剰リスクを孕む。

EU ETSは2024年から域内航海を対象に炭素価格を適用(2024年40%→2025年70%→2026年100%段階拡大)。
平均炭素価格は2024年約99ユーロ/トン、2026年約92ユーロ/トンで推移。

トレンド2: 紅海危機と地政学リスク

2023年10月に始まったフーシ派の紅海攻撃は、2026年5月時点でも継続中。
スエズ運河通航量は2023年の過去最高(26,434隻)から約50%減少し、2026年3月時点で1日わずか23隻(通常比53%減)まで落ち込んでいる。

さらに2026年3月、イラン紛争にフーシ派が正式参戦し、ホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡の「二正面チョークポイント」が同時に封鎖されるリスクが現実化した。
日本の原油輸入の約93.5%が中東依存であることを踏まえると、海運各社のタンカー事業にも重大な影響を及ぼす可能性がある。

主要海運会社(マースク、CMA CGM、ハパックロイド、MSC)はスエズ通航を停止し、喜望峰回りでの運航を継続。
これがコンテナ運賃の底上げ要因となり、SCFIは1,911pt(前年比+42.5%)の水準を維持している。

トレンド3: 航空インバウンド回復とLCC拡大

2024年の訪日外客数は約3,690万人(JNTA推計)で過去最高を更新。2025年以降も3,000万人超が定着し、航空各社の国際線旅客収入を牽引している。

JALのFY2025(2026年3月期)決算では、国際線旅客収入が前年比+9.1%増収、旅客数+5.6%と客数・単価ともに好調。
国内線もレベニューマネジメントが奏功し、旅客数+5.8%、旅客収入+6.6%増収。

LCCは需要増に乗って拡大。
JALのZIPAIRは長距離LCCとして独自路線を開拓し、機内WiFi(Starlink)を全機導入。
ANAのPeach・AirJapanも路線拡充。
独立系のスカイマークは羽田発着枠を活かして成長軌道に乗っている。

トレンド4: デジタル化・自律航行

海運分野では、AI・センサー・航法システムを活用した自律航行船舶(MASS: Marine Autonomous Surface Ship)の開発が進む。
航行の最適化、衝突回避、燃料消費削減を目的とし、2026-2032年にかけて段階的な商用化が見込まれる。
日本では2024年に「海運法」改正が行われ、デジタル化推進の法的基盤が整備された。

空運分野では、JALがIATA主催のプログラムに参画し、デジタルアイデンティティを活用した次世代型搭乗体験(顔認証での搭乗・乗り継ぎ)の実証実験を実施。
乗り継ぎの実証実験としては世界初の試み。
ZIPAIRはアジアのエアラインとして初めてStarlink機内インターネットを導入。

7. 規制・制度

IMO温室効果ガス削減戦略

EU ETS(域内航海の炭素価格適用)

環保規格

日本国内規制

造船・海運関連制度

関連


免責事項

本ナレッジベースは情報提供のみを目的としており、投資助言・推奨を構成するものではありません。
データはEDINET有価証券報告書および公開情報に基づきますが、正確性・完全性を保証するものではありません。