第2号 日本のワインは本当に縮んでいるのか — FP&A目線で『数量・金額・人』を分解する
第2章視点4:担い手 — 受験者と製造場は別の指標
日本ソムリエ協会の公式「資格保有者・合格率一覧」(2026年1月1日現在、1ページ)にある受験者数は次のとおりです。資格保有者の累計や合格者数とは区別します。
| 資格 | 2021年受験者 | 2025年受験者 | 同じ表の両年比較 |
|---|---|---|---|
| ソムリエ | 4,517人 | 2,866人 | 約36.6%減 |
| ワインエキスパート | 3,490人 | 3,577人 | 約2.5%増 |
旧版の2016年起点の「ほぼ半減」は、今回確認した表で追える2021〜2025年へ限定しました。
受験者の動きは関心や資格取得需要を考える材料ですが、就業者の増減そのものではありません。
受験要件、既資格者の蓄積、再受験なども影響します。
「受験者減=飲食・流通の人手減」と直結させないことが必要です。
国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和6年アンケート)」の表38(PDF41ページ、見出し「都道府県別のワイナリー数」)では、ワイナリー全国計493場を確認できます。
同資料PDF40ページは、ワイナリーを2023年中にワインの生産又は出荷実績がある製造場と定義しています。
旧版の2015年との倍増比較は外し、この時点の製造場数を使います。国税庁の原表
事業判断では、製造場数だけでなく、製成数量の分布、直接販売比率、稼働率を分けます。
造り手が多いことは多様性を示す一方、一場当たりの売上や利益を保証しません。
資格の学習需要と生産能力を別々に追うと、教育、流通、生産のどこに課題があるかを考えやすくなります。
視点5:飲用場面 — 年齢を購買動機の代わりにしない
旧版の世代別・性別の割合は、調査年、質問文、標本、複数回答の有無を結びつけられなかったため削除しました。「若者は見映え、高齢層は味」という一般化も採用しません。
代わりに、飲用場面を調査の軸に置きます。
自宅の普段の食事、外食、贈答、記念日では、同じ人でも予算と重視点が変わります。
顧客調査では「誰が」だけでなく、「いつ、誰と、何のために、どの価格帯を選んだか」を聞きます。
分析の手順は、まず買い手とまだ買っていない層を分け、次に購買頻度と一回当たり支出を分けることです。
好意的な回答が多くても、購買頻度が低ければ売上への影響は限られます。
年齢層別に比較する際は、標本数と飲用経験の条件を揃えます。
施策も仮説として検証します。
たとえば食事提案、少容量、産地を学ぶ試飲などを選択肢にし、購買率、リピート率、粗利で比較します。
これは特定世代への効果が実証済みという主張ではなく、属性のイメージから離れて需要を測るための方法です。