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東京海上ホールディングス株式会社

【経済・保険業】保険業銘柄レポート更新 2026-05-29

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目次
  1. 1. 事業概要
  2. 損害保険業界の系統分解
  3. 東京海上HDの事業構成
  4. 主要取引先
  5. 競争優位性の比喩的説明
  6. 固有事象・資本関係の詳細分析
  7. 業界ビジネスモデルと着目点
  8. 2. バリュエーション分析
  9. 標準NC / 広義NCAV算出(参考値・業態限界の表注必須)
  10. CN-PER(保険業のため参考扱い)
  11. EV/EBITDA(保険業のため参考扱い)
  12. 予想PER / PBR / 配当利回り(本指標)
  13. 内部整合性チェック(±5%)
  14. 標準NC 5期推移(参考値・業態限界)
  15. 広義NCAV(参考・FY2025/3)
  16. 成長率モデル適正PER(参考)
  17. DCF前提入力枠(保険業のため空欄許容)
  18. バリュエーション乖離コメント
  19. 3. 財務分析
  20. PL — 5期+予想
  21. BS — 5期+FY2026/3実績
  22. BS詳細主要科目(百万円) — 5期
  23. CF — 5期
  24. FY2026/3実績CF(TDNet短信)
  25. ROE / ROA推移(5期)
  26. TSR推移(累積)
  27. 受注高・受注残高
  28. 運転資本分析(CCC)
  29. 配当推移 — 5期+予想
  30. 経営者予想精度(過去3期分)
  31. 健全性チェック(金融業・保険業の業態版)
  32. 4. 同業他社比較
  33. 競合選定基準
  34. 最新期比較テーブル(FY2025/3 EDINET数値 + 2026-05-29現値)
  35. 競合3期推移(経常収益・百万円)
  36. 競合3期推移(経常利益率)
  37. 運転資本効率(CCC) — 競合比較
  38. 5. リスク評価
  39. リスクマトリクステーブル
  40. リスク因果関係の mermaid 図
  41. 最大リスクの深掘り callout
  42. バリュートラップリスクの深掘り callout
  43. 6. 投資判断
  44. バリュエーション乖離コメントの補強
  45. バリュエーション手法別の目標株価
  46. シナリオ別の詳細根拠
  47. 推奨アクションの構造化 callout
  48. カタリスト・タイムライン
  49. 7. 学習コーナー
  50. 📚 着眼点1: 修正純利益(Adjusted Net Income)とGAAP純利益の使い分け
  51. 📚 着眼点2: コンバインドレシオ(損保業界本来の収益性指標)
  52. 📚 着眼点3: ESR vs ソルベンシー・マージン比率
  53. 📚 着眼点4: 政策保有株式ゼロ化がROE構造に与える影響
  54. 📚 着眼点5: 8766の指標ポジショニング(相場観テーブル)
  55. 🤔 自分への問い(C-3・必須3問)
  56. 参考情報
  57. ガバナンス情報テーブル
  58. 大株主構成テーブル
  59. 社外取締役の視点 callout
  60. 免責事項 callout
  61. データソースの時点差テーブル
  62. 出典一覧

東京海上ホールディングス株式会社(8766)銘柄分析レポート

SUMMARY

東京海上HD(8766)は時価総額13兆8,226億円の損保最大手。
現値株価7,189円基準で予想PER(FY2027/3 forecast NI 830B)16.7倍、PBR(FY2026/3 BPS 2,885.44円)2.49倍、配当利回り(予想DPS 245円)3.41%
EV/EBITDA(参考・簡易)7.8倍。
標準NC(参考・業態限界あり)1,242,548百万円で標準NC比率9.0%、広義NCAV比率は保険業特有の責任準備金構造により負値(業態構造上非適用)。
健全性は事業会社スコアN/A、業態指標は連結ソルベンシー比率590.8%・ESR 149%でともに規制水準を大幅に上回る。
FY2025/3純利益は前期比+51.7%の1兆552億円(政策株売却益含む)。
FY2027/3会社予想は純利益830億円減(-15.3%)だが、会社開示の修正純利益ベースでは+56.2%増益。

指標 評価
時価総額 138,226億円 大型
予PER(FY2027/3) 16.7倍 適正〜やや割高
予EV/EBITDA(参考) 7.8倍 参考扱い(保険業)
配当利回り 3.41% 中位〜高め
標準NC比率 9.0% 参考扱い(業態限界)
広義NCAV比率 負値 業態構造上非適用
健全性スコア N/A(金融業) 業態版チェック参照

1. 事業概要

損害保険業界の系統分解

日本の損害保険業界は大きく4つの系統に分類される。メガ3グループ(東京海上HD・MS&AD・SOMPO HD)が市場の9割超を占め、規模・資本力・再保険プログラム・海外ネットワークで圧倒的な優位を持つ。
その下に中堅損保(あいおいニッセイ同和、三井住友海上—いずれもメガ傘下)、独立系のネット損保(SBI損保、チューリッヒ、セゾン自動車火災など)、そして共済(JA共済・共済農協・全労済等)が続く。

メガ3グループの差異は明確である。MS&AD保険グループは三井住友海上とあいおいニッセイ同和の統合体で国内収益基盤が分厚く、農業・地方密着に強みを持つ。SOMPO HDはSOMPO Internationalによる北米事業を持つが、2023年以降の損害多発でROEが5.85%に落ち込んでおり再建フェーズにある。
一方で東京海上HDは海外保険事業が連結経常収益の51%を占め、単純な国内損保比較では語れないグローバル特殊保険会社という位置付けが際立つ。

東京海上HDの事業構成

FY2025/3(EDINET有報、連結JP-GAAP)のセグメント別構成は以下のとおりである(定量分析より引用)。

セグメント 売上高(百万円) 構成比 経常利益(百万円) 経常利益率
海外保険事業 4,305,449 51.0% 488,497 11.3%
国内損害保険事業 3,867,918 45.8% 893,316 23.1%
国内生命保険事業 639,054 7.6% 70,159 11.0%
金融・一般事業 81,939 1.0% 8,032 9.8%
連結(内部取引相殺後) 8,440,114 100.0% 1,460,007 17.3%

注: 構成比は相殺前ベースの単純加算合計。
連結経常収益は内部取引相殺後の8,440,114百万円。
注: 国内損害保険事業の経常利益 FY2025/3 893,316(FY2024/3 323,498 → +176.1%)は政策株売却益9,224億円分の貢献が主因。
FY2026/3 / FY2027/3ではこの効果が剥落する見込み。

セグメント3期推移(経常収益・百万円)

セグメント FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 2期CAGR
海外保険事業 2,919,169 3,646,826 4,305,449 +21.4%
国内損害保険事業 3,027,923 3,250,178 3,867,918 +13.0%
国内生命保険事業 699,523 640,590 639,054 −4.5%
金融・一般事業 73,711 80,435 81,939 +5.4%

セグメント3期推移(経常利益・百万円)

セグメント FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3
海外保険事業 149,803 452,838 488,497
国内損害保険事業 284,594 323,498 893,316
国内生命保険事業 51,749 57,156 70,159
金融・一般事業 8,017 9,082 8,032
WARNING

FY2025/3の国内損保経常利益8,933億円(+176%急増)は、政策保有株式売却益9,224億円(FY2024年度)が主因の一過性である。
継続的な損害保険引受利益とは切り離して評価する必要がある。
翌FY2026/3の経常利益が-7.6%となる理由の一つはこの一過性効果の剥落に相当する。

また生命保険料が前年比-44.1%と急減したのは、リスク管理高度化の目的で保有契約の一部を再保険出再したためであり、収益構造の悪化ではない。

主要取引先

B2B(企業向け): 大企業向け火災・賠償責任・自動車・サイバー保険が中心。東京海上日動は製造業・商社・金融機関の大口法人顧客を長期代理店網経由で囲い込んでいる。

B2C(個人): 自動車保険(国内正味保険料の47.7%)・火災・傷害が主力。全国5万超の代理店網が顧客接点を担う。

海外: HCC Insurance Holdings(北米・特殊保険)、PURE Group(北米高所得層P&C・個人保険の高付加価値特化)、Delphi Financial Group(米国生保・年金・資産運用の中核)の3社が海外事業の収益エンジンとなっている。

競争優位性の比喩的説明

TIP

損害保険業界の参入障壁は「許認可の壁」「データの壁」「信頼の壁」の三層構造で成り立つ。

許認可の壁: 損害保険会社の設立には各国金融規制当局の認可が必要で、北米・欧州・アジア各国で取得済みのライセンスは買収でしか手に入らない。
HCC・PURE買収の真の価値は事業だけでなく「米国保険ライセンスの束」でもある。

データの壁: 東京海上日動の創業は1879年(日本最古の損害保険会社)。140年超にわたる地震・台風・交通事故の損害データが精密な保険料算出を可能にし、新規参入者はこのデータを持てない。

信頼の壁: 企業の財務部長や個人が保険を選ぶ際、「本当に保険金が払われるか」が最大の判断軸である。格付けと実績が長年蓄積された大手損保は、ネット損保が価格で追い上げても代替されにくい。

固有事象・資本関係の詳細分析

TIP

海外M&A戦略の特異性: 東京海上HDの海外展開は単なるスケール追求ではなく「ニッチ特殊保険の積み上げ」という独自ロジックで構築されている。
HCCは科学者賠償・エネルギー・医療停止など個人・中小企業では対応困難な特殊リスクに強く、PUREは資産1000万ドル超の富裕層向け住宅・美術品保険に特化する。
これは自然災害ロスとの相関が低いポートフォリオ分散であり、競合MS&ADやSOMPOの海外戦略と本質的に異なる。

ESRと自己株取得の関係: ESR(経済価値ベースのソルベンシー)がFY2025/3末に149%となり、自社設定のターゲットレンジ(100〜140%)を上回ったことが、2,200億円の自己株取得の直接的な根拠となっている。
取得後ESR 143%でレンジ内に戻る設計であり、これは規律ある資本管理の証左である。

政策株完全ゼロ化のインパクト: 2023年3月末時点の保有残高は上場・非上場合計で約2兆4,560億円。
2024年度は計画(6,000億円)を大幅上回る9,224億円を売却。
2025年度も6,000億円売却を計画しており、2029年度末完全ゼロ化は十分実現可能なペースで進捗している。
売却益の一部は自己株取得・増配の原資となり、残高ゼロ化後はROEが真の保険引受・資産運用力を反映する「クリーン」な財務体質に移行する。
(出典: ニッキンONLINE 2024-05記事、Bloomberg 2024-03-31記事)

業界ビジネスモデルと着目点

損害保険の収益構造は保険引受利益(アンダーライティング利益)と資産運用益の合計から成立する。
保険引受利益の健全性を示す指標がコンバインドレシオ(損害率+事業費率)であり、100%を切ることが収益性の前提となる。
東京海上日動の国内コンバインドレシオは概ね90%台前半で推移しており、業界平均並みの健全水準を維持している。
海外子会社のTokio Marine HCCは2025年の純コンバインドレシオ78.6%(2024年78.3%)という極めて高い収益性を誇り、特殊保険のプライシング力を示している。
(出典: Tokio Marine HCC Solvency and Financial Condition Report 2025)

東京海上HDが特に強いのは、①海外特殊保険の高利鞘、②ESRによる資本効率経営、③政策株売却の段階的収益化、の三点である。

TIP

損保業界の収益の二本柱を覚える: 保険引受利益(=プレミアム収入-保険金支払-経費)+資産運用益(=保険料を受け取ってから支払うまでの間に運用する「フロート」)。
東京海上HDはフロート運用に強い米国Delphi(生保・年金・資産運用)を傘下に持ち、資産運用部門が国際的にも洗練されている。
この「引受+運用」の双方に強みを持つ構造が、単純な国内損保会社との本質的な差異である。


2. バリュエーション分析

⚠️ 保険業の特例ルール: 「標準NC」「広義NCAV」は事業会社向けの物差しのため、保険業では算出可能でも投資判断指標として機能しない。
算出した上で「保険業の規制資本基準ではSolvency Margin / ESRが本指標」と表注を付ける。
バリュエーション計算は予PER / PBR / 配当利回り / 純資産時価倍率を中心とし、CN-PERは補助。
EV/EBITDAは保険業では標準式が機能しにくい(運用資産31兆円が本質)。
算出した上で「保険業はP/EV や P/B、修正利益ベースPERの方が業態指標として有効」と表注。

標準NC / 広義NCAV算出(参考値・業態限界の表注必須)

項目 値(百万円) 備考
現預金(cash)FY2025/3 1,469,794 EDINET get_financials
社債(bondsPayable)FY2025/3 227,246 短期・長期借入金は連結BSで個別開示薄
標準NC(参考) 1,242,548 = 1,469,794 − 227,246
流動資産 FY2025/3 69,481
投資その他資産 FY2025/3 2,367,780 投資有価証券に相当
負債合計 FY2025/3 26,133,795 責任準備金が大半
広義NCAV(参考) −24,406,868 = 69,481 + 2,367,780×0.7 − 26,133,795(負値)

⚠️ 表注: 保険業のため有利子負債は社債のみで簡易化(短期・長期借入金は連結BSで個別開示薄)。
短期有価証券・売上債権・棚卸資産は業態構造上開示されないため算出から除外。
保険業は責任準備金(policy reserves)が負債合計の大半を占めるため、事業会社向け広義NCAV算式は業態と整合しない
本値は参考扱いとし、業態指標としては**連結ソルベンシー比率590.8% / 単体920.2%(東京海上日動)/ ESR 149%**を参照。

CN-PER(保険業のため参考扱い)

項目 備考
現値時価総額(百万円) 13,822,606 7,189円 × 1,922,743,958株
forecastNI FY2027/3(百万円) 830,000 会社予想
予想PER 16.66倍 = 13,822,606 ÷ 830,000
標準NC比率 8.99% = 1,242,548 ÷ 13,822,606
CN-PER(参考) 15.16倍 = 16.66 × (1 − 0.0899)

EV/EBITDA(保険業のため参考扱い)

項目 値(百万円) 備考
現値時価総額 13,822,606
+ 社債 227,246 有利子負債簡易化
− 現預金 1,469,794
EV(簡易) 12,580,058
経常利益 FY2025/3 1,460,007 保険業は営業利益EDINET開示外
+ 減価償却費 146,965
EBITDA(参考) 1,606,972
EV/EBITDA 7.83倍

⚠️ 表注: 保険業はP/EV(embedded value倍率)・P/B・修正利益ベースPERの方が業態指標として有効。

予想PER / PBR / 配当利回り(本指標)

指標 算式 / 備考
予想PER(FY2027/3 forecast NI) 16.66倍 13,822,606 ÷ 830,000
FY2026/3純利益ベースPER(現値) 14.10倍 13,822,606 ÷ 980,428
FY2025/3純利益ベースPER(現値) 13.10倍 13,822,606 ÷ 1,055,276
修正純利益ベースPER(FY2025/3) 11.38倍 13,822,606 ÷ 1,215,063
PBR(FY2026/3 BPS 2,885.44円基準) 2.49倍 7,189 ÷ 2,885.44
PBR(FY2025/3 BPS 2,640.27円基準) 2.72倍 7,189 ÷ 2,640.27
配当利回り(FY2027/3 予想DPS 245.0円) 3.41% 245.0 ÷ 7,189
配当利回り(FY2026/3 実績DPS 218.0円) 3.03% 218.0 ÷ 7,189

内部整合性チェック(±5%)

チェック項目 計算値 対象値 乖離 判定
株価 × 発行済株式数(百万円) 13,822,605 13,822,606 0.0%
予想PER × forecastEps 7,361円(16.66×441.83) 7,189円 +2.4%
PBR × BPS(FY2026/3) 7,185円(2.49×2,885.44) 7,189円 −0.1%

標準NC 5期推移(参考値・業態限界)

項目 FY2021/3 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3
現預金(百万円) 924,687 912,216 985,382 1,086,981 1,469,794
社債(百万円) 230,597 219,795 222,811 224,404 227,246
標準NC(参考・百万円) 694,090 692,421 762,571 862,577 1,242,548
標準NC比率(vs現値時価総額13,822,606百万円) 5.0% 5.0% 5.5% 6.2% 9.0%

⚠️ 表注: 保険業のため有利子負債は社債のみで簡易化。業態指標は連結ソルベンシー比率590.8% / 単体920.2% / ESR 149%を参照。

広義NCAV(参考・FY2025/3)

項目 値(百万円)
流動資産 69,481
投資その他資産 × 0.7 1,657,446
負債合計 26,133,795
広義NCAV −24,406,868
広義NCAV比率 負値

⚠️ 表注: 保険業は責任準備金(policy reserves)が負債合計の大半を占めるため、事業会社向け広義NCAV算式は業態と整合しない。投資判断はP/EV・P/B・予想PERで行う。

成長率モデル適正PER(参考)

成長率仮定 理論PER 備考
g = 0% 12.5倍 PER下限の目安
g = 3% 20.0倍 インフレ並み
g = 5% 33.3倍 中程度成長
g = 11.5%(過去5期経常収益CAGR) 算出不能 r=8% < g=11.5%のため永続成長モデル発散

DCF前提入力枠(保険業のため空欄許容)

⚠️ 保険業は責任準備金・準備金の出入りが運転資本相当となり、事業会社向けDCFは適用が難しい。
P/EVや残余利益モデル(Residual Income Model)の方が業態整合的。
本テンプレでは「要調査」のまま枠だけ提示する。

項目 出典/備考
無リスク金利(%) 要調査 日本10年国債利回り
β 要調査 get_analysisセクターβ
市場リスクプレミアム(%) 5−6 日本市場慣行値
株主資本コスト Ke(%) 上記から算出 Ke = Rf + β × ERP
負債コスト Kd 税引後(%) 要調査 支払利息/有利子負債 × (1−t)
WACC(%) 要調査
永続成長率 g(%) 要調査
法人税率(%) 30 日本標準実効税率
明示予測期間(年) 5

参照: DCF分析 / WACC算出 / ターミナルバリュー / 感応度・シナリオ分析

バリュエーション乖離コメント

  1. 予想PER法: 16.66倍。同業MS&AD(予想EPS 292.91円 / 株価4,245円 → 予想PER 14.49倍)、SOMPO(予想EPS 549.17円 / 5,902円 → 予想PER 10.75倍)と比較してTMは割高側に位置。
  2. PBR法: 2.49倍(FY2026/3 BPS基準)。MS&AD(4,245 / 2,647 = 1.60倍)、SOMPO(5,902 / 4,475 = 1.32倍)と比較しTMは最も高PBR。
  3. 修正純利益ベースPER(保険業の慣行指標): 13.82兆 ÷ 修正純利益1,215.1B = 11.38倍 → 業界平均と整合圏。

乖離パターン: TMの予想PERが割高に見えるのはFY2027/3 forecast NI 830Bが政策株売却益剥落を見込むため。
会社開示のforecastNetIncomeChange +56.2%は修正純利益ベースの増益見通しを示しており、純利益ベース-15.3%は一過性要因の剥落。
PBRが同業より高いのは海外保険事業(51%)の成長プレミアムと政策株完全売却(2029末ゼロ)によるROE構造的引き上げの市場期待が反映されたとみられる。
修正純利益ベースで見ると業界平均圏。


3. 財務分析

PL — 5期+予想

⚠️ 注: 保険業のため「営業利益」はEDINET開示外。「経常利益」をプロキシ指標として使用。

項目 FY2021/3 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 FY2026/3実績 FY2027/3予想
経常収益(百万円) 5,461,195 5,863,770 6,610,046 7,424,667 8,440,114 8,872,277
経常利益(百万円) 266,735 567,413 494,165 842,576 1,460,007 1,348,630
親会社株主帰属純利益(百万円) 161,801 420,484 374,605 695,808 1,055,276 980,428 830,000
修正純利益(百万円・管理指標) 711,634 1,215,063
EPS(円・実績) 232.13 613.46 187.33 351.59 542.16 515.55 441.83
経常利益率 4.9% 9.7% 7.5% 11.3% 17.3% 15.2%
純利益率 3.0% 7.2% 5.7% 9.4% 12.5% 11.1%
経常収益前年比 n/a +7.4% +12.7% +12.3% +13.7% +5.1%
経常利益前年比 n/a +112.7% −12.9% +70.5% +73.3% −7.6%
純利益前年比 n/a +159.9% −10.9% +85.8% +51.7% −7.1% −15.3%(純利益基準)/ +56.2%(会社開示・修正純利益基準)

BS — 5期+FY2026/3実績

項目 FY2021/3 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 FY2026/3
総資産(百万円) 25,765,368 27,245,852 27,397,818 30,594,869 31,237,340 31,961,940
純資産(百万円) 3,722,780 4,072,625 3,600,919 5,183,341 5,103,545 5,457,571
株主資本(狭義・注1) 1,915,553 2,091,265 2,122,219 2,514,622 3,021,956 5,420,347
自己資本比率 14.22% 14.76% 13.08% 16.92% 16.25% 17.0%
BPS(円) 5,285.10 5,932.05 1,823.65 2,623.94 2,640.27 2,885.44

注1(自己資本の定義不連続に注意): 「株主資本(狭義)」の FY2021/3〜FY2025/3 はその他有価証券評価差額金等を除く株主資本(約1.9〜3.0兆円)であるのに対し、FY2026/3 欄の 5,420,347 のみ評価差額金を含む親会社株主持分(広義)で、列内の定義が不連続。
一方、本レポートの BPS・PBR・自己資本比率・ROE はいずれも純資産(広義・約5.1兆円、評価差額金込み)を基準に算出している(検算: BPS 2,640.27円 × 発行済株式数 ≒ 5.08兆円 ≒ 純資産 5,103,545)。
損害保険業はその他有価証券評価差額金が約2兆円規模と大きく、狭義株主資本(約3.0兆円)と広義純資産(約5.1兆円)の差が顕著になるため、自己資本系の指標を読む際は必ず基準を確認すること。

注2: FY2023/3に株式分割が行われBPSが大幅低下(splitAdjustmentFactor 1.0へ)。
発行済株式数680M → 2,002M(約3倍)。
adjustedBpsは分割調整後の比較可能値。

BS詳細主要科目(百万円) — 5期

⚠️ 保険業のため流動資産・棚卸資産・売上債権・仕入債務はEDINET標準科目で開示されない(運用資産 = 有価証券 + 預貯金 + 貸付金 + 不動産が中心)。
下表はEDINETから取得できた範囲のみ記載し、業態構造上欠落する項目は「業態構造上 非該当」と明記する。

項目 FY2021/3 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3
現預金 924,687 912,216 985,382 1,086,981 1,469,794
投資その他資産 2,324,280 2,314,462 2,307,739 2,304,026 2,367,780
のれん 485,682 453,433 428,601 372,624 318,459
ソフトウェア 105,486 157,580 224,928 280,642 328,771
有形固定資産(PPE) 334,501 344,703 399,817 399,579 562,056
社債(bondsPayable) 230,597 219,795 222,811 224,404 227,246
負債合計 22,042,588 23,173,227 23,796,899 25,411,528 26,133,795
利益剰余金 1,788,764 1,954,445 2,000,276 2,378,790 2,925,599
自己株式 −23,211 −13,179 −28,056 −14,167 −53,643
短期有価証券 業態構造上EDINET標準科目で個別開示なし
売上債権 業態構造上 非該当(保険料収入)
棚卸資産 業態構造上 非該当(保険業はサービス業)
仕入債務 業態構造上 非該当

CF — 5期

項目 FY2021/3 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3
営業CF(百万円) 1,177,873 1,102,240 1,007,710 1,072,124 1,345,080
投資CF(百万円) −731,010 −665,444 18,065 −627,647 164,619
財務CF(百万円) −512,967 −504,629 −1,009,226 −406,204 −1,188,437
FCF(営業CF − capex)(百万円) 1,058,127 997,722 880,387 938,598 1,205,223
設備投資(百万円) 119,746 104,518 127,323 133,526 139,857
減価償却費(百万円) 80,905 89,754 112,514 127,916 146,965
支払利息(百万円) 11,455 8,398 13,950 26,009 26,922
法人税等(百万円) 81,337 143,858 173,009 150,550 396,529
実効税率 33.4% 26.0% 33.3% 18.3% 27.3%

注: FY2023/3の投資CFプラスとFY2025/3の投資CFプラスは政策株式売却の影響。財務CFの大幅マイナスは自己株取得・配当・債券貸借取引返済が主因。

FY2026/3実績CF(TDNet短信)

項目 値(百万円)
営業CF 584,259
投資CF 639,725
財務CF −624,251

ROE / ROA推移(5期)

項目 FY2021/3 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3
ROE(公式) 4.6% 10.94% 9.85% 15.88% 20.58%
ROA(純利益÷総資産) 0.63% 1.54% 1.37% 2.27% 3.38%
自己資本比率 14.22% 14.76% 13.08% 16.92% 16.25%

注: ROE(公式)の分母は純資産(非支配株主持分を含む広義・約5.1兆円、EDINET get_company 準拠値)。
標準的な親会社株主資本ベース ROE とは分母定義が異なるため、同業他社比較時は分母基準の差に留意する(前掲 BS 表 注1 参照)。

TSR推移(累積)

TM TSR TOPIX比較
FY2021/3 1.11 1.42
FY2022/3 1.57 1.45
FY2023/3 1.75 1.54
FY2024/3 3.32 2.17
FY2025/3 4.18 2.14

受注高・受注残高

該当なし(非受注産業 — 保険業はストック型保険料収入モデル)。

運転資本分析(CCC)

⚠️ 保険業は売上債権・棚卸資産・仕入債務といった事業会社の運転資本科目を持たない(収入 = 保険料、原価 = 保険金支払+責任準備金繰入)。
本テンプレ標準のCCC算出は業態構造上非該当
代替として正味収入保険料(保険引受収益)の推移を別表で示す。

正味収入保険料 — 全社合計(参考・有報本文より)

項目 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3
正味収入保険料 全社(百万円) 4,824,986 5,305,182
うち国内損保(百万円) 2,593,160 2,706,360
うち海外保険(百万円) 2,231,880 2,598,869
生命保険料 全社(百万円) 1,049,852 586,772

注: 生命保険料−44.1%は「リスク管理高度化を目的とした再保険出再」による。

配当推移 — 5期+予想

項目 FY2021/3 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 FY2026/3実績 FY2027/3予想
1株配当(円) 235.0 255.0 200.0 123.0 172.0 218.0 245.0
分割調整後DPS(円) 79.80 86.59 100.94 123.0 172.0 218.0 245.0
配当性向(連結) 101.2% 41.6% 106.8% 35.0% 31.7% 42.3% 55.5%
配当利回り(現値7,189円基準) 2.39% 3.03% 3.41%

注: FY2023/3株式分割により2021−2022の1株配当は分割前ベース。adjustedDividendPerShare列を比較可能値として併記。

経営者予想精度(過去3期分)

期初予想NI(百万円) 実績NI(百万円) 乖離率
FY2026/3 1,020,000(Q3開示時) 980,428 −3.9%
FY2025/3 データ不足 1,055,276
FY2024/3 データ不足 695,808

注: EDINET get_earningsのforecast履歴を遡及取得する仕組み不在のため上記は限定的データ。IR開示資料の遡及確認は別途補完を要する。

健全性チェック(金融業・保険業の業態版)

⚠️ 事業会社基準(自己資本比率 > 40% / 流動比率 > 150% 等)は保険業の高レバレッジ・責任準備金構造に一切適用しない
frontmatterおよびサマリーのhealthScoreはN/A
以下、保険業向け業態版チェックを健全性の本指標とする。

指標 値(FY2025/3) 規制基準 / 業態典型 判定
連結ソルベンシー・マージン比率 590.8% 200%以上で適当 ✅ 規制水準の2.95倍
東京海上日動 単体ソルベンシー比率 920.2% 200%以上 ✅ 4.6倍
日新火災 単体ソルベンシー比率 972.3% 200%以上 ✅ 4.9倍
イーデザイン損保 単体ソルベンシー比率 463.0% 200%以上 ✅ 2.3倍
東京海上日動あんしん生命 単体ソルベンシー比率 838.1% 200%以上 ✅ 4.2倍
ESR(経済価値ベース・自社管理) 149%(自社株2,200億円取得後143%) ターゲット100−140% ⚠️ ターゲット上限超→自己株取得で調整中
ROE(公式) 20.58% 業態典型5−15% ⚠️ 政策株売却益の一過性含む(修正純利益ベースで再評価必要)
修正純利益ROE(推定) 約23.8%(1,215,063÷5,103,545) 業態典型8−12%の上限 ⚠️ 高水準(要精査)
配当連続性 5期連続支払い・FY2026増配 / FY2027予想+27円増配 ✅ 安定累進
政策株削減進捗 FY2024売却9,224億円、2029末ゼロ目標 ✅ 計画前倒し
連結純利益3期連続黒字 FY2023−FY2025すべて黒字 ✅ 達成
営業CF3期連続黒字 5期すべて1兆円超の安定黒字 ✅ 達成

注記: 事業会社基準(自己資本比率 > 40% 等)は保険業に一切適用しない。保険業は責任準備金の構造上、自己資本比率が15−20%帯に位置するのが業態典型。


4. 同業他社比較

競合選定基準

基準 内容
業種 保険業(東証プライム 損保メガ3社)
時価総額レンジ 4兆−14兆円(対象TMの0.3−1.0倍圏)
選定理由 MS&AD・SOMPOは損保3メガの直接競合。第一ライフG(生保大手)は業態が異なるため本比較表からは除外。業界文脈で言及

最新期比較テーブル(FY2025/3 EDINET数値 + 2026-05-29現値)

指標 東京海上HD(8766) MS&AD(8725) SOMPO HD(8630)
現在株価(円) 7,189 4,245 5,902
現値時価総額(億円) 138,226 61,592 52,660
経常収益(億円) 84,401 66,608 50,655
経常利益(億円) 14,600 9,290 5,529
純利益 FY2025/3(億円) 10,553 6,917 2,431
純利益 FY2026/3(億円) 9,804 7,873 6,401
自己資本比率 FY2025/3 16.25% 15.24% 26.47%
ROE(公式 FY2025/3) 20.58% 16.34% 5.85%
予想PER(FY2027/3 forecast) 16.7倍 14.5倍 10.8倍
FY2025/3純利益ベースPER(現値) 13.1倍 8.9倍 21.7倍
FY2026/3純利益ベースPER(現値) 14.1倍 7.8倍 8.2倍
PBR(FY2026/3 BPS基準) 2.49倍 1.60倍 1.32倍
EPS FY2025/3(円) 542.16 445.52 250.90
BPS FY2025/3(円) 2,640.27 2,647.01 4,474.77
予想DPS FY2027/3(円) 245.0 170.0 200.0
配当利回り(FY2027/3予想DPS) 3.41% 4.00% 3.39%
配当性向 FY2025/3 31.7% 32.5% 52.6%
営業CF FY2025/3(億円) 13,451 6,602 5,730
FCF FY2025/3(億円) 12,052 6,349
EV/EBITDA(参考・簡易) 7.8倍
連結ソルベンシー・マージン比率 590.8% 要IR確認 要IR確認

注: SOMPO FY2025/3純利益PERが高いのはFY2025/3純利益が243B(FY2024の530B→−54%)と低水準のため。
FY2026/3短信では640B(+163%)に回復。
SOMPOはIFRS会計基準のため経常利益の定義がJPと異なる点に留意。

競合3期推移(経常収益・百万円)

企業 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 2期CAGR
東京海上HD 6,610,046 7,424,667 8,440,114 +13.0%
MS&AD 5,250,794 6,572,889 6,660,813 +12.6%
SOMPO HD 4,525,869 4,836,830 5,065,520 +5.8%

競合3期推移(経常利益率)

企業 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3
東京海上HD 7.5% 11.3% 17.3%
MS&AD 5.6% 6.3% 13.9%
SOMPO HD 1.1% 10.1% 10.9%

運転資本効率(CCC) — 競合比較

⚠️ 保険業はCCC概念が業態構造上 非該当(売上債権・棚卸資産・仕入債務を持たない)。
本テンプレ標準のCCC算出は損保3社いずれも算出不能。
代わりにコンバインドレシオ(保険業KPI: 損害率+事業費率)が業界中核KPIとなるが、EDINET MCPで標準科目化されていないためIR開示資料から取得することを推奨。

指標 東京海上HD MS&AD SOMPO HD 業界中央値
売上債権回転日数 業態構造上 非該当 業態構造上 非該当 業態構造上 非該当 データなし
棚卸資産回転日数 業態構造上 非該当 業態構造上 非該当 業態構造上 非該当 データなし
仕入債務回転日数 業態構造上 非該当 業態構造上 非該当 業態構造上 非該当 データなし
CCC 非該当 非該当 非該当 非該当

注: 業界本指標は国内EI損害率+事業費率 = コンバインドレシオ(90%未満で健全、80%台が損保メガの目標水準)とEV(embedded value)成長率
これらはEDINET MCPの標準科目では取得できないためIR開示を補完する。


5. リスク評価

リスクマトリクステーブル

リスク要因 影響度 発生可能性 具体的影響シナリオ 対応状況
巨大風水災(北米・日本同時多発) 極大 年間CAT損害がPML(年間最大予想損害額)を超過→再保険コスト急騰→引受利益ゼロ化、修正純利益▲2,000億円超 再保険プログラムで年間CAT損害上限設定済み。ただし再保険市場のハードニング(保険料高騰)は再保険コスト増要因
米国CRE(Delphi)追加信用損失 Delphi傘下の不動産担保貸付ポートフォリオで予想信用損失が追加発生→運用益悪化→純利益▲500〜1,000億円規模 予想信用損失は既に計上開始。高金利長期化・商業不動産空室上昇が継続リスク
海外M&A PMI失敗リスク HCC/PURE/Delphiとのシナジー未実現→のれん減損リスク→一時的特別損失1,000億円超 HCCは買収から10年超で実績安定。PUREはNAIC評価良好。Delphiのみ運用リスク残存
地政学・米国市場リスク 米中摩擦激化・関税報復→海外保険料の損害率上昇、円高進行→海外利益の円換算ダウン 通貨ヘッジは一定実施。地政学は直接ヘッジ困難
情報漏えい・コンダクトリスク 高(発生済) 2025年3月業務改善命令受領済。顧客信頼低下→乗り換え加速→国内損保シェア低下 金融庁への改善計画提出・実行中。個人情報保護委員会からも2025年4月指導受領
北米P&Cソフトマーケット化 ハードマーケット終了→保険料下落→海外保険利益率低下→修正純利益の成長鈍化 現時点ではハードマーケット継続中だが転換点リスクを常に監視
気候変動・脱炭素移行リスク 高(長期) 化石燃料関連企業の保険引受縮小義務→ポートフォリオ再構成コスト、GX保険需要対応投資 GXリスクへの引受・投資基準策定中。ESG格付け対応が必要

リスク因果関係の mermaid 図

graph TD
    A[気候変動激甚化] --> B[巨大CAT損害多発]
    B --> C[再保険コスト急騰]
    C --> D[保険引受利益縮小]
    D --> E[修正純利益下振れ]

    F[米国商業不動産市況悪化] --> G[Delphi CRE追加信用損失]
    G --> E

    H[北米P&Cソフトマーケット化] --> I[海外保険料率低下]
    I --> E

    J[政策株売却益の剥落] --> K[GAAP純利益の一過性減少]
    K --> L[PER割高化リスク]

    M[ESR 149%→143%] -.->|自己株取得で緩和| E
    N[再保険プログラム] -.->|CAT損害上限| D
    O[海外M&A多角化] -.->|単一市場依存を低減| I
    P[修正純利益指標採用] -.->|一過性除去で実力表示| K

最大リスクの深掘り callout

WARNING

最大リスク:北米を中心とした巨大CAT損害の同時多発と再保険コスト急騰の連鎖

東京海上HDにとって最大の単発リスクは、ハリケーン・地震・洪水等の自然災害が特定年度に集中する「CAT積み上がり」シナリオである。

シナリオA(中程度ショック): 米国ハリケーンシーズンに1〜2件の大型ハリケーンが上陸(損害額250〜500億ドル規模)。
再保険プログラムの上限内で対処可能だが、翌年の再保険更改(1月1日・4月1日)で保険料が15〜30%上昇。
引受利益は圧迫されるが修正純利益への影響は▲500〜1,000億円程度。

シナリオB(大規模ショック): 日本での南海トラフ地震(確率:30年以内70〜80%)と北米の大型ハリケーンが同年に発生。
再保険プログラムの超過損害層が発動。
再保険コストが翌年から年間1,000億円超上昇。
修正純利益▲2,000億円超、ESRが100%近傍まで急落。
自己株取得停止・減配リスク浮上。

緩和要因: HCC・PUREの特殊保険は自然災害との相関が相対的に低い。
再保険プログラムにより単年度最大損害額は上限設定済み。
ただし再保険市場全体のキャパシティが逼迫する大規模ショック時には緩和効果が限定される。

バリュートラップリスクの深掘り callout

WARNING

バリュートラップリスク:政策株売却益依存構造からの移行期の落差

FY2025/3のGAAP純利益1兆552億円のうち、政策株売却益9,224億円が大きく貢献した。
この一過性効果が剥落した状態での実力利益が修正純利益ベースの1兆2,150億円(特殊要因除き)であり、FY2027/3の会社予想GAAP純利益8,300億円は「-15.3%減益」と映る。

一方、会社開示の修正純利益ベースでは+56.2%増益予想とまったく逆の景色になる。
この「見え方のギャップ」こそがバリュートラップの温床であり、GAAP純利益のみで判断する投資家は二重に誤解するリスクがある。

また、北米P&Cハードマーケットが軟化局面に転じた場合、海外保険事業の利益率が低下し、修正純利益目標の達成が困難になるリスクも存在する。
さらに、ESR 149%がターゲット上限(140%)を上回っていることは、アクティビスト投資家から「過剰資本の還元加速」を要求される可能性を示している。


6. 投資判断

バリュエーション乖離コメントの補強

定量分析が確定した通り、東京海上HDは予想PER16.7倍、PBR2.49倍と、同業MS&AD(PER14.5倍、PBR1.60倍)・SOMPO(PER10.8倍、PBR1.32倍)に対して明確なプレミアムを享受している。
この乖離の定性的根拠を以下に整理する。

ROE構造の差: 東京海上のROE(公式)は20.58%で、SOMPOの5.85%とは3倍以上の差がある。
これはHCC・PUREという高コンバインドレシオ(低損害率)の特殊保険ポートフォリオと、政策株売却による資本効率化の複合効果である。
PBR高値はROE持続性への評価であり、根拠がある。

修正純利益ベースでは業界並み: 重要な観察は、GAAP純利益ベースの予想PER(16.7倍)より修正純利益ベースPER(11.38倍)の方がMS&AD並みに収束する点である。
つまり「一過性の政策株売却益」を除いた実力ベースでは、現在株価は業界平均に対して割高でも割安でもなく、概ね適正圏にある。

投資機会かバリュートラップか: 現時点での判断は「適正〜やや割高の成長株」という位置づけが妥当である。
バリュートラップとはなりにくい理由は、(1)政策株売却が2029年まで継続し、売却益は一過性でなく毎年継続する構造になっている点、(2)海外保険事業の真の利益成長(修正純利益+56.2%予想)が実現すれば正当化される点、(3)14年連続増配実績(DPS245円予想)による下値サポートの点である。
ただし、PBR2.49倍の水準は「何が起きても下値堅固」とは言い切れず、CATショック時には30〜40%程度の下落余地を念頭に置く必要がある。

バリュエーション手法別の目標株価

PER法(定量分析の予想EPS 441.83円を使用)

シナリオ 適用PER EPS(円) 目標株価(円) 現在株価比
保守的 10.5倍(SOMPO並み・海外利益剥落を想定) 441.83 4,639 -35.5%
標準 14.5倍(メガ損保平均・MS&AD水準) 441.83 6,407 -10.9%
楽観的 19.0倍(現在プレミアム継続・海外M&Aシナジー拡大) 441.83 8,395 +16.8%

PER選定根拠: 保守的=SOMPO水準(ROE低下・海外利益剥落シナリオ)、標準=メガ3社平均PERに東京海上の海外プレミアム5%を加味したMS&AD相当、楽観的=過去の東京海上プレミアム倍率(18〜20倍)が継続するケース

PBR法(保険業のため EV/EBITDA 法に代えて採用、BPS 2,885.44円・FY2026/3基準)

シナリオ 適用PBR BPS(円) 目標株価(円) 現在株価比
保守的 1.5倍(ROE鈍化・MS&AD割引を織り込み) 2,885.44 4,328 -39.8%
標準 2.0倍(政策株完全ゼロ化後の構造改善を部分織り込み) 2,885.44 5,771 -19.7%
楽観的 2.5倍(現在水準維持+海外M&Aシナジー継続) 2,885.44 7,214 +0.3%

注: PBR法は保険業の資本効率・内部価値を反映するため、保険株評価の主要手法として採用。EV/EBITDA法は保険業では概念的な適合性が低いため本レポートでは参考値(7.83倍)に留める。

下値メド: PBR1.0倍=BPS2,885.44円が理論的下限。ただし過去10年でメガ損保がPBR1.0倍を下回ったのはリーマンショック・東日本大震災級ストレス時のみである。

TIP

PER法とPBR法を同時に使う理由: 保険会社の利益は「一過性のCAT損害」や「政策株売却益」で大きく歪む。
そのため、PER法(利益ベース)だけでは評価が不安定になる。
PBR法(純資産ベース)を並行使用することで、利益変動の大きい年でも「会社の価値の床(BPS)に対してどれだけ割高/割安か」が確認できる。
東京海上HDでいえば、楽観PBR2.5倍の目標株価7,214円が現在株価7,189円とほぼ一致する点は「現在の株価はすでに楽観シナリオを織り込んでいる」という重要なシグナルである。

シナリオ別の詳細根拠

SUCCESS

ベースケース(確率50%): 会社修正純利益予想+56.2%を達成、PER16倍水準を維持

前提: FY2027/3の修正純利益が会社予想どおりに実現。
北米P&Cハードマーケットが継続し、HCC・PUREの保険料率が維持される。
自己株取得2,200億円が予定通り実行され、EPS成長を後押しする。

確率根拠: 中期経営計画2026での修正純利益成長トレンドは過去3年間概ね達成。
FY2025/3実績(修正純利益1兆2,150億円)はすでに高水準。
海外保険のコンバインドレシオ(HCC 78.6%)は業界最高水準で安定的。

投資家の対応: 現在株価は「修正純利益ベースで適正」レンジ。段階買い(株価7,000円台前半での分割買い)が合理的。ハリケーンシーズン(6〜11月)前後の一時的な下押し局面を狙う。

INFO

上振れケース(確率25%): 海外保険利益超過達成+自己株取得規模拡大

前提: 北米P&Cが想定以上の保険料率上昇で推移し、HCC・PURE利益が計画比10〜15%超過。
ESRが再びターゲット上限を超え、追加自己株取得(2,200億円超)が実施される。
政策株売却益が計画6,000億円を超過。

確率根拠: 2024年度に計画6,000億円に対し9,000億円超の売却実績あり(計画超過の前例あり)。
北米P&C市場はL.A.山火事(2025年1〜2月)後の損害増加を受け保険料率がさらに上昇している可能性がある。

投資家の対応: 楽観的目標株価8,395〜8,400円を視野に入れ、現在株価(7,189円)からの上昇余地(+16.8%)を積極的に評価。
配当利回り3.41%(DPS245円)も下値サポートとして機能するため、積極的なポジション構築も検討可能。

WARNING

下振れケース(確率25%): 米国CRE追加損失・大型自然災害・北米P&C軟化の複合

前提: Delphi傘下の商業用不動産担保貸付で追加信用損失が500〜1,000億円規模で発生。
加えて2025〜2026年の北米ハリケーンシーズンに大型災害(損害額500億ドル超)が発生し、再保険コストが翌年急騰。
修正純利益が計画比▲10〜15%下振れ。

確率根拠: 米国商業不動産の空室率は高止まりし(特にオフィス)、CRE市場の正常化は2027年以降の見通し。
L.A.山火事後の保険支払い負担が2025年3月期以降の決算に影響する可能性あり。
再保険会社の損害率上昇も報告されている。

投資家の対応: PBR標準シナリオ(2.0倍=5,771円)への下落を許容範囲として設定。
損切りラインはPBR1.5倍(4,328円)水準。
中間決算(2026年11月)での修正純利益進捗率と自己株取得継続の可否を最初の判断ポイントとする。

推奨アクションの構造化 callout

SUMMARY

推奨アクション: 段階買い・ベースケース前提(中立〜弱買い)

買いの根拠:

  • 修正純利益ベースPER11.4倍は業界並みで「実力ベース割高感なし」
  • 14年連続増配(予想DPS245円)・配当利回り3.41%の下値サポート
  • 政策株売却2029年完全ゼロ化は毎年の確実な追加還元原資を生む
  • HCC(コンバインドレシオ78.6%)に象徴される海外特殊保険の高収益性は参入障壁が高く持続的
  • ESR管理規律(ターゲット100〜140%)が過剰リスクテイクを抑制

留意点:

  • GAAP純利益ベースPER16.7倍はメガ損保最高。一過性要因除去後との乖離を常に意識
  • FY2027/3純利益予想▲15.3%は表面上の「減益」。修正純利益+56.2%と並列確認が必須
  • CAT損害多発シナリオでは30〜40%の下落余地があり、集中投資は避ける
  • 東京海上日動の情報漏えい事案(2025年3月業務改善命令)は再発防止の定着を要確認
  • 外国人持株比率39.5%で円高局面での売り圧力リスクあり

カタリスト・タイムライン

時期 イベント 確認すべき数値 株価への影響
2026年6月〜11月 北米ハリケーンシーズン CAT損害発生総額(業界目安 200億ドル超で株価重し) 大(下押し)
2026年9月25日(目安) 中間配当権利付き最終日 中間配当DPS(前回112.5円→増額期待) 中(アノマリー的上昇)
2026年11月中旬 FY2027/3 第2四半期決算発表 修正純利益進捗率(通期目標比)・自己株取得状況・海外保険コンバインドレシオ 大(結果次第)
2026年12月〜2027年1月 再保険更改(1月1日更改分) 再保険料率の方向性(ハードニング継続か) 中(コスト増なら下押し)
2027年3月25日(目安) 期末配当権利付き最終日 期末配当DPS(通期245円予想の後半分) 中(権利取り需要)
2027年3月末 FY2027/3 期末・政策株売却進捗 政策株残高・売却ペース(2029年ゼロ化への中間達成) 中(進捗確認)
2027年5月 FY2027/3 通期決算発表 修正純利益実績・次期ESR・次期自己株取得規模 大(翌年方針決定)
2027年〜2028年 中期経営計画2026の最終評価 累積EPS成長率・修正純利益目標達成度 大(戦略見直し)
2029年度末 政策株完全ゼロ化 政策株残高ゼロ達成→ROEの純粋化 大(構造的イベント)

7. 学習コーナー

📚 着眼点1: 修正純利益(Adjusted Net Income)とGAAP純利益の使い分け

東京海上HDでの具体例: FY2025/3のGAAP純利益は1兆552億円、修正純利益は1兆2,150億円と、同じ年度で約1,600億円の差が生じている。
FY2027/3の会社予想を見ると、GAAP純利益ベースでは-15.3%「減益」、修正純利益ベースでは+56.2%「増益」と正反対の結論になる。
初見では「どちらを信じればいいのか」と混乱する。

背景と比喩: 修正純利益とは「経営の実力を見るために、一回限りのイレギュラーを取り除いた利益」である。
例えるなら、レストランの月次売上から「たまたまあった大型宴会」(=政策株売却益)を除いた「通常営業の売上」が修正純利益に相当する。
GAAP純利益は決算書上の公式数字だが、一過性の損益(自然災害ロス・政策株売却益・為替評価損益等)が大きく混入するため、保険会社の経営力の比較には向かない。

投資家への示唆: 東京海上HDの株価を評価する際は、GAAP純利益ベースのPER(FY2027/3予想16.7倍)と修正純利益ベースのPER(FY2025/3実績11.38倍)を常にセットで確認する習慣を持つ。
一方の数字だけ見ると、「割高に見えて売る」または「割安に見えて買いすぎる」誤った判断につながる。

TIP

FY2027/3会社予想を「純利益-15.3%減益」と報じる記事を見たら、その直後に「修正純利益+56.2%増益」を確認する。
この2つは矛盾しておらず、「政策株売却益の剥落(GAAP影響)」と「保険事業の実力成長(修正純利益)」という異なる現象を測っているに過ぎない。

📚 着眼点2: コンバインドレシオ(損保業界本来の収益性指標)

東京海上HDでの具体例: TMHCC Internationalのコンバインドレシオは78.6%(2025年)であり、これは損害保険業界の「超優良」水準である。
国内損保のコンバインドレシオは概ね90%台前半(92〜96%程度)が業界標準的な水準で推移している。
コンバインドレシオ = 損害率(保険金/保険料)+事業費率(経費/保険料)で計算し、100%を下回ることが保険引受での黒字を意味する。

背景と比喩: コンバインドレシオを「保険会社の体重計」に例えると分かりやすい。
100%が「ちょうどいい体重(収支均衡)」で、それより低い(=軽い)ほど引受利益が出ている。
HCCの78.6%は「かなり引き締まっている」状態を意味し、保険料のうち22円は利益になる計算である。
一方、100%超は「太り過ぎ」であり保険引受で損失が出る。
日本の損保各社は自然災害多発年に100%を超えることがある。

投資家への示唆: 東京海上HDの海外保険事業の利益ドライバーを理解する上で、HCC・PUREのコンバインドレシオの推移が重要な先行指標である。
決算発表時にコンバインドレシオが前年比2%以上悪化していれば、海外保険利益の下振れシグナルとして警戒が必要である。

TIP

コンバインドレシオ80%未満は「特殊保険の聖域」。
自然災害と相関が低いニッチリスク(M&A保険・科学者賠償・美術品等)を扱うHCC・PUREが80%未満を維持できるのは、高度なリスク選択力(アンダーライティング技術)の証明でもある。
この水準は国内自動車保険(損害率60〜65%+事業費率30〜35%でCR 90〜100%)とは構造が根本的に異なる。

📚 着眼点3: ESR vs ソルベンシー・マージン比率

東京海上HDでの具体例: 東京海上HDの連結ソルベンシー・マージン比率は590.8%(規制水準200%の2.95倍)で、規制上は余裕綽々である。
しかし会社が実際に経営指標として重視しているのはESR(経済価値ベース)149%(ターゲット100〜140%)であり、これが資本還元の起点となっている。

背景と比喩: ソルベンシー・マージン比率は「金融庁の目線から見た破綻しないための安全確認」であり、規制当局との約束事である。
一方ESRは「市場価値で計算した、会社自身が管理するリスク耐性指標」であり、より経済実態に近い。
銀行の自己資本比率に例えると、ソルベンシー・マージン比率は「バーゼル規制比率」、ESRは「銀行が内部で管理する経済資本比率」に相当する。

投資家への示唆: 自己株取得・増配の余力を判断する際は、ソルベンシー・マージン比率ではなくESRを追う。
ESR 140%超 = 追加還元余地あり、ESR 100%未満 = 追加還元停止・増資検討。
FY2025末のESR 149%は「追加還元を正当化する過剰資本」の状態であり、2,200億円自己株取得の根拠となった。

TIP

ESR 149% → 自己株取得2,200億円後143%のトレンドを確認する際、四半期ごとの開示でなく半期・年次開示であることに注意。
直近のESR水準を確認するには決算短信・IRプレゼンテーション資料を参照する。

📚 着眼点4: 政策保有株式ゼロ化がROE構造に与える影響

東京海上HDでの具体例: 2023年3月末の政策株残高は約2兆4,560億円。
ROE計算式の分母(自己資本)にこの非生産的な株式評価が含まれており、「見かけ上の資本」が膨らんだ状態でROE20.58%を実現している点に注意が必要である。
政策株完全ゼロ化(2029年末)が実現すると、自己資本が「保険事業と資産運用だけを担う純粋な資本」に純化される。

背景と比喩: 政策株の保有は「寝かせた土地」に例えられる。
不動産として帳簿に載っているが稼いでいない。
この土地(政策株)を売って得たキャッシュを自己株取得・配当に使えば、土地の評価額が自己資本から消え、残った「働く資本」に対する利益率(ROE)がより実態を反映するようになる。
さらに売却キャッシュを有効活用(自己株買い→EPS上昇)することで、ROEが構造的に押し上げられる。

投資家への示唆: 2025〜2029年にかけて、政策株残高と自己資本の変化を追うことで、東京海上HD のROEが「政策株効果込み」から「純粋保険業力」へ移行するプロセスを確認できる。
ゼロ化完了後のROEが20%超を維持できるかどうかが、2030年以降のバリュエーション(PBR水準)を決定する最重要ファクターである。

TIP

2025年度の政策株売却計画6,000億円が毎年積み重なることで、2029年末までに残高約6,000〜8,000億円(試算)まで縮小する見通し。
各年の「政策株売却進捗」と「残高」は決算短信・IR会見で確認可能。
ゼロ化進捗の遅れはROE構造改善の遅れを意味する。

📚 着眼点5: 8766の指標ポジショニング(相場観テーブル)

東京海上HDでの具体例: 以下のポジショニングテーブルは、同業比較と全上場中央値を横に並べることで、東京海上HDの指標が「損保業界内での割高割安」と「全市場内での相対位置」の両軸で理解できる。

指標 東京海上HD(8766) 損保メガ平均(参考) 全上場中央値(参考) 評価コメント
予想PER 16.7倍 14.0倍(3社平均) 14〜15倍 GAAP純利益ベースでは損保内最高。一過性要因を除くと割高感は薄れる
修正純利益PER 11.38倍 N/A(各社開示方式異なる) 実力ベースでは業界並み。修正純利益を追うべき理由を端的に示す
PBR 2.49倍 1.80倍(3社平均) 1.0〜1.3倍 ROE20.58%を市場が高く評価。政策株ゼロ化後も持続するかが焦点
ROE(公式) 20.58% 14.26%(3社平均) 8〜10% 損保メガ最高。ただし政策株売却益・一過性効果含む
配当利回り 3.41%(245円) 3.60%(3社平均) 2.0〜2.5% 高水準。14年連続増配が継続性を裏付ける
ESR 149% ターゲット140%超過。追加資本還元余地を示す重要指標
連結ソルベンシー 590.8% 規制水準200% 規制上の安全余裕は十分。規制リスクは事実上ゼロ
コンバインドレシオ(海外HCC) 78.6% 損保業界90〜95% 業界最高水準。特殊保険の強みを定量的に示す
時価総額 13.8兆円 日本最大手損保。MS&ADの約2.2倍の規模
外国人持株比率 39.5% 約30% 高い外国人比率は円高・リスクオフ局面での売り圧力を示唆

🤔 自分への問い(C-3・必須3問)

問1: 東京海上HDの最大の強みは何か? それが5年後も強みであり続けるための条件は?

(自分の答え)

問2: 自分なら東京海上HDに投資するか? その判断の根拠を3行で説明せよ。

(自分の答え)

問3: この分析で一番難しかった概念は何か? それを自分の言葉で1段落で説明せよ。

(自分の答え)

関連: 演習フォーマット §C-3 / 演習・チェックリスト index


参考情報

ガバナンス情報テーブル

項目 内容
正式社名 東京海上ホールディングス株式会社
設立年 2002年4月2日(純粋持株会社化)、主力子会社の東京海上日動火災保険は1879年創業(日本最古の損保)
取締役会長 小宮 暁(前社長兼グループCEO、2025年6月会長就任)
代表取締役社長 兼 グループCEO 小池 昌洋(2025年6月就任)
従業員数(連結) 51,436名(FY2025/3)
子会社・関連会社 子会社365社・関連会社33社
海外拠点 北米・欧州・アジア・中東等
主要上場市場 東証プライム(コード: 8766)
主要監査法人 有限責任あずさ監査法人
主要取引銀行 三菱UFJ銀行、三井住友銀行
コーポレートサイト https://www.tokiomarinehd.com/

大株主構成テーブル

(出典: 有価証券報告書 FY2025/3期・2025年3月末基準、the-shashi.com 集計)

順位 株主名 保有比率 区分
1 日本マスタートラスト信託銀行 17.11% 信託口(機関投資家・ETF等の受託)
2 日本カストディ銀行 7.79% 信託口(機関投資家・投信受託)
3 STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 2.68% 外国人機関投資家(海外カストディ)
4 STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234 2.01% 外国人機関投資家(海外カストディ)
5 JPモルガン証券 1.96% 外国人機関投資家
6 明治安田生命保険 1.94% 国内機関投資家(生保)
7 東海日動従業員持株会 1.49% 従業員持株会(安定株主)
8 MOXLEY AND CO LLC 1.46% 外国人機関投資家(ノミニー)
9 JP MORGAN CHASE BANK 385781 1.41% 外国人機関投資家(海外カストディ)
10 三菱UFJ銀行 1.22% 国内金融機関(政策投資残存分)

注: 大量保有報告書(5%超)との対照: ブラックロック・グループ合計7.35%・三井住友トラストAM5.09%は信託口等に分散保有されているため上記テーブルに直接は現れない。
外国人持株比率合計は39.5%。

社外取締役の視点 callout

WARNING

経営陣に問うべき3つの質問

Q1: ESR 149%はターゲット上限(140%)を上回っており、2,200億円自己株取得後143%に調整する設計だが、来期以降のESRが再び140%を恒常的に超えた場合、自己株取得規模をさらに拡大するか、それとも新たな海外M&Aへの投資に充てるか。
過去のM&A判断基準(IRR・リターンハードル)と合わせて開示すべきではないか。

Q2: Delphi Financial GroupのCRE(米国商業用不動産担保付貸付金)において予想信用損失が発生しているが、現在のポートフォリオ残高・損失引当率・最悪ケースの追加損失額を定量的に開示する意向はあるか。
投資家が「Delphiリスク」を適切に評価できる情報が不足している。

Q3: 東京海上日動の情報漏えい事案では2025年3月に業務改善命令を受領し、出向者による顧客情報漏えい12万件超・代理店間の個人データ共有問題が発覚した。
改善計画の進捗・完了時期・ガバナンス体制の変更内容を具体的に示してほしい。
コンダクトリスクの再発防止が完了しない限り、代理店網への信頼回復は不完全である。

免責事項 callout

CAUTION

免責事項

本資料はEDINET公開情報(有価証券報告書・決算短信)、TDNet開示資料(2026年5月20日)、東京海上ホールディングス公式IRウェブサイト、金融庁公開資料、および公開Webメディアの情報に基づく分析であり、投資勧誘を目的とするものではない。

記載された数値・見通しは参照時点のものであり、将来の業績を保証するものではない。投資判断は各自の責任において行うこと。本資料の利用に起因する損害について、作成者は一切の責任を負わない。

データソースの時点差テーブル

データ種別 基準日 ソース
EDINET 有報(5期財務) 2025-03-31 EDINET DB
TDNet 決算短信(FY2026/3) 2026-03-31 TDNet 2026-05-20開示
現値マーケットデータ 2026-05-29 yfinance(金曜終値)
大量保有報告書(直近) 2024-06-06〜2026-01-05 EDINET
大株主テーブル(有報上位10名) 2025-03-31 the-shashi.com(有価証券報告書集計)
行政処分情報 2025-03-24 金融庁 公開資料
TMHCC コンバインドレシオ 2025年度 TMHCC Solvency Report 2025
政策株売却進捗 2024-05〜2025-03 東京海上HD IRリリース・Bloomberg
Web補完情報 2026-05-29取得 WebSearch / WebFetch(定性分析検索結果)

出典一覧

  1. EDINET DB MCP get_company(E03847) — 東京海上HD 基本情報・健全性スコア・最新財務・FY2026/3 TDNet短信
  2. EDINET DB MCP get_financials(E03847, years=5) — 5期財務時系列(FY2021/3−FY2025/3、JP基準)
  3. EDINET DB MCP get_segments(E03847) — セグメント別経常収益・経常利益(FY2015−FY2025)
  4. EDINET DB MCP get_analysis(E03847) — 業界ベンチマーク・信用スコア
  5. EDINET DB MCP get_earnings(E03847) — TDNet決算短信(FY2026/3通期+Q3)
  6. EDINET DB MCP get_shareholders(E03847) — 大量保有報告書4件
  7. EDINET DB MCP get_text_blocks(E03847) — 有報本文(事業の内容・経営者分析・事業等のリスク)
  8. EDINET DB MCP get_company(E03854) / get_financials(E03854, years=3) — MS&AD HD(競合A)
  9. EDINET DB MCP get_company(E23924) / get_financials(E23924, years=3) — SOMPO HD(競合B)
  10. yfinance(price_fetcher.py)— 8766.T / 8725.T / 8630.T 現値・時価総額・発行済株式数(2026-05-29終値)
  11. 東京海上ホールディングス IR情報 — https://www.tokiomarinehd.com/ir/
  12. 金融庁行政処分 2025-03-24 — https://www.fsa.go.jp/news/r6/hoken/20250324/
  13. TMHCC Solvency Report 2025 — https://www.tmhcc.com
  14. ニッキンONLINE 政策株記事 — https://www.nikkinonline.com/article/187482
  15. Bloomberg 2024-03-31 — https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2024-03-31/SAZ0LKT0AFB400
  16. 大株主情報 — https://the-shashi.com/tse/8766/shareholders/