📚 業界ノート

山九株式会社

【経済・陸運業】陸運業企業バリュエーション分析更新 2026-11-01

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目次
  1. 1. 事業構造 — 物流と機工を束ねる現場力
  2. FY2026/3 セグメント別業績(百万円)
  3. 顧客・競争優位の手がかり
  4. 2. 財務の実力 — 5期推移と最新決算
  5. 5期の損益・財政状態・キャッシュフロー
  6. 財務指標・最新セグメント実績
  7. 流動性・借入・運転資本
  8. FY2027/3 Q2 — 営業増益と純利益増の中身
  9. 経営計画と資本配分
  10. 4. 同業比較と業界環境
  11. 5. リスクと観察項目
  12. 6. バリュエーション統合 — 価格が織り込むもの
  13. 乖離の構造分析
  14. 条件分岐シナリオ
  15. 監視ポイント
  16. M&A・出資を買い手として検討する論点
  17. 7. 学びのポイント
  18. 📚 着眼点1: 利益の伸びは営業段階と特別要因に分ける
  19. 📚 着眼点2: 倍率差を事業構成・財務と合わせて読む
  20. 相場観テーブル(2026年10月時点)
  21. 参考情報
  22. 株主・ガバナンス
  23. 出典資料

山九株式会社(9065)銘柄分析レポート

SUMMARY

何で稼ぐ会社か: 物流・工場構内作業とプラント工事・保全を組み合わせ、製造現場の複数工程を請け負う。
財務の要点: FY2026/3は増収・小幅営業減益、FY2027/3 Q2は減収・営業増益で、FY2027/3 Q2末ネット負債は縮小した。
分析の最大論点: Q2純利益の伸びに特別利益が含まれるなか、機工受注残の減少とFY2027/3下期の増益計画を達成できるか。

1. 事業構造 — 物流と機工を束ねる現場力

山九は1918年創業。
港湾・構内物流から、倉庫・輸送・国際物流、プラント建設・保全、重量物輸送までを提供する。
物流と機工が売上のほぼ半分ずつを占め、ほかに情報システム、人材派遣、機材賃貸、土木・建築等を持つ。
FY2026/3有報では連結子会社74社、持分法適用会社13社。
4月始まりの3月決算、日本基準。
業界構造は陸運業業界基礎ガイドを参照。

物流は港湾・輸送・倉庫・構内作業、機工は設備工事・保全・定修を担う。利益は作業量・単価・人件費・燃料費、設備投資時期・案件採算で動く。重ね受注ができる一方、費用転嫁や工期ずれがリスク。

FY2026/3機工は売上の48.7%でセグメント利益の約71.6%を生む。 全社売上だけでなく、機工の受注残・採算と物流の料金収受・稼働を分けて見る。物流は売上の46.8%を占める。

FY2026/3 セグメント別業績(百万円)

セグメント 外部売上高 売上構成比 セグメント営業利益 営業利益率
物流 295,256 46.8% 9,826 3.33%
機工 307,458 48.7% 30,960 10.07%
その他 28,858 4.6% 2,472 8.57%
各セグメント表示行の単純合計 631,572 100.0% 43,258 —
有報表示の報告セグメント利益合計 — — 43,259 —
調整額 — — △19 —
連結 631,573 — 43,240 6.85%

各セグメント行の表示値を足すと外部売上631,572百万円・利益43,258百万円となるが、有報表示の報告セグメント利益合計は43,259百万円である。
いずれも表示単位の丸めによる1百万円差があり、有報表示合計に調整額△19百万円を加えると連結営業利益43,240百万円となる。

顧客・競争優位の手がかり

FY2026/3の有報注記における最大顧客は日本製鉄で、売上高86,856百万円、連結売上高の約13.8%。
鉄鋼・化学など大規模工場を持つ顧客との取引は、工場構内物流、設備保全、定修の組み合わせにつながる一方、顧客の設備投資や生産動向の影響も受ける。
顧客別の契約更新率や売上の継続性は確認できず、長期契約が強固な参入障壁になっているとまでは断定しない。

物流網とプラント工事・保全技能を組み合わせ現場の複数工程を支援する。安全認定・設備知識は切替負担になりうるが、稼働率・継続率・顧客別粗利は未開示が多く、利益率・受注で確認する。

2. 財務の実力 — 5期推移と最新決算

5期の損益・財政状態・キャッシュフロー

指標 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 FY2026/3
売上高(百万円) 553,831 579,226 563,547 606,791 631,573
営業利益(百万円) 34,465 38,169 35,216 43,945 43,240
経常利益(百万円) 35,432 39,631 36,631 44,679 43,385
親会社株主帰属利益(百万円) 22,636 24,959 24,379 30,747 31,505
営業利益率 6.22% 6.59% 6.25% 7.24% 6.85%
調整EPS(円) 76.50 85.34 85.72 114.20 122.81
調整BPS(円) 840.92 920.71 1,016.67 1,116.12 1,209.60
調整後年間配当(円) 22.0 30.0 34.8 46.4 49.2
配当性向 28.8% 35.2% 40.6% 40.6% 40.1%
総資産(百万円) 462,467 481,661 505,045 545,189 559,746
流動資産(百万円) 238,542 250,629 261,766 280,256 269,255
流動負債(百万円) 140,797 116,861 107,337 139,070 150,764
負債合計(百万円) 213,742 209,129 219,612 248,126 252,758
自己資本比率 53.2% 55.9% 55.8% 53.8% 54.2%
現金同等物(百万円) 42,479 50,801 46,847 41,384 42,529
短期有価証券(百万円) 876 1,548 1,414 1,057 995
投資有価証券(百万円) 25,019 27,014 36,579 32,541 43,676
標準ネットキャッシュ(百万円) 7,669 3,123 △24,335 △38,788 △58,491
営業CF(百万円) 43,692 33,277 21,731 43,532 51,993
投資CF(百万円) △14,938 △16,533 △18,434 △26,472 △19,188
営業CF+投資CF(百万円) 28,754 16,744 3,297 17,060 32,805
減価償却費(百万円) 18,172 18,953 19,567 19,604 20,501

注: 5期年次表はEDINET最新有報FY2026/3(2026-03-31)まで。
最新Q2(2026-09-30終了)は10月30日短信の別記。
EPS・BPS・DPSは2026-10-01の5対1株式分割後に換算。

財務指標・最新セグメント実績

指標 最新値・推移 目安・比較 読み方
ROE FY2026/3 10.6% 陸運業加重平均8.3%、全上場表示中央値9.5% いずれも集計方式・時点が異なるため参考値
営業利益率 FY2026/3 6.85% 選定peer2社平均4.37% 機工の利益寄与が高い事業構成を含む
自己資本比率 FY2026/3 54.2% スクリーニング目安40%超 Q2末は55.8%
流動比率 FY2026/3 178.6%、FY2027/3 Q2 188.7% スクリーニング目安150%超 Q2末の流動資産262,080÷流動負債138,886
総資産回転率 FY2026/3 1.13回 業態差が大きく一律目安なし 売上631,573÷期末総資産559,746で算出
CCC FY2025/3 98.8日→FY2026/3 90.8日 同一定義のpeer比較値なし 期末残高による簡便計算
FY2027/3中間期 物流 売上152,790・利益6,018百万円 FY2026/3中間期比 +4.2%・+29.3% 単価改定・新規作業・海外コスト削減が寄与
FY2027/3中間期 機工 売上142,420・利益14,351百万円 FY2026/3中間期比 △7.8%・△2.2% 国内大型定修が設備建設等の減少を一部補う

参考値は異なる母集団・集計方式を含み、同一の業界中央値ではない。

FY2022/3〜FY2026/3の年平均成長率は売上3.3%、営業利益5.8%、親会社利益8.6%。
FY2024/3に減収減益。
営業利益率はFY2025/3の7.24%からFY2026/3の6.85%へ低下し、増収4.1%でも営業減益1.6%。
調整EPSは7.5%増、配当性向40.1%。

FY2026/3営業CF51,993−投資CF19,188=FCF32,805百万円。
5期黒字だがFY2024/3は3,297百万円。
固定資産取得19,038、減価償却20,501百万円。
投資CFには有価証券・子会社取得等も含み、FCF全額を還元余力とはみなさない。

FY2026/3期初予想(2025-05-12: 売上618,000、営業・経常利益各41,000、純利益29,500百万円)は10月31日に624,500、42,000、41,000、30,000百万円へ上方修正、2026-01-30も据置。
実績は期初比+2.2/+5.5/+5.8/+6.8%、直近比+1.1/+3.0/+5.8/+5.0%。
同条件で5期比較できず、1期の上振れを長期精度とはみなさない。

流動性・借入・運転資本

FY2027/3 Q2末流動比率188.7%、自己資本比率55.8%、利益剰余金244,070百万円。
有利子負債・CPは短期借入15,921、長期25,649、社債15,000、CP25,000、計81,570百万円。
現金等控除後ネット負債35,041百万円(FY2026/3末58,491から縮小)。
借換・金利も確認する。

売上債権はFY2025/3末218,581からFY2026/3末209,427百万円。
売上債権日数=期末債権÷年商×365で131.5→121.0日、棚卸日数=(未成作業支出金+その他棚卸資産)÷売上原価×365で3.0→2.4日、仕入債務日数=期末買掛金等÷売上原価×365で35.7→32.7日。
CCC=債権日数+棚卸日数−債務日数は98.8→90.8日。
期末値による簡便計算で季節性を含む。

健全性スコア93/100はEDINET分析APIのルールベース評価で、信用格付ではない。判定項目は次の通り。負債確認の1項目は不合格だが、残る8項目は基準を満たす。

財務健全性チェック 実績・基準 判定
自己資本比率 54.2%(基準40%超) ✅
流動比率 FY2027/3 Q2 188.7%(基準150%超) ✅
利益剰余金 FY2026/3 232,979百万円、正値 ✅
営業CF FY2024/3〜FY2026/3の3期連続黒字 ✅
配当継続 FY2022/3〜FY2026/3で継続 ✅
調整EPS FY2026/3 122.81円、FY2025/3比+7.5% ✅
ROE FY2026/3 10.6%(基準8%超) ✅
営業利益率 6.85%、選定peer2社平均4.37%超 ✅
有利子負債<現金 FY2026/3末有利子負債・CP102,015百万円、現金同等物42,529百万円 ❌

スコアや合格数だけで流動性を判断せず、借換え・投資・還元の実行額とネット負債の推移を合わせて見る。

FY2027/3 Q2 — 営業増益と純利益増の中身

FY2027/3中間期の売上308,729百万円(FY2026/3中間期比△2.2%)、営業利益21,363(+3.9%)、経常利益21,685(+6.7%)、親会社株主利益17,507百万円(+29.6%)。
売上総利益は36,708→38,133百万円、営業利益率は6.51→6.92%。営業増益の一方、純利益の増加は営業改善幅より大きい。

FY2027/3中間期(6か月累計)の営業CFは32,829百万円、投資CFは△10,855百万円、単純FCF(営業CF+投資CF)は21,974百万円、減価償却費は10,482百万円。
物流・機工の売上と利益の比較は上表に整理した。

FY2027/3中間期は有価証券売却益3,219、子会社清算益1,348、助成金371百万円、特別利益計4,939百万円(FY2026/3中間期339百万円)。
一時利益を含むため純利益+29.6%を継続成長とはみなさない。

連結通期予想は売上638,500、営業利益47,000、経常利益45,500、親会社利益33,000百万円、分割後EPS131.66円で据え置き。
中間期進捗は売上48.4%、営業利益45.5%、純利益53.0%。
計画達成に必要な下期営業利益25,637百万円はFY2026/3下期22,681百万円比約13%増。
なお、同日の単体予想は売上446,500→441,200、経常利益37,500→35,800、純利益28,500→27,700百万円に下方修正されたが、連結予想は据え置き。

経営計画と資本配分

中計2026はROE10%水準、機工技術者育成、物流改革・適正料金を掲げる。
FY2027/3まで営業CF等1,070億円・資産売却等380億円を成長投資800億円、株主還元650億円へ配分する計画。
CFOは自己株取得200億円方針に言及。
実行額と負債を確認する。

FY2026/3配当は分割前246円、FY2027/3予想は分割後52.8円(年264円相当)。
5対1分割は2026-10-01効力発生。
中間129円は分割前株式、期末予想27円は分割後で単純加算しない。
配当性向40%程度が方針。
利回り3.20%は予想維持を前提とする。

4. 同業比較と業界環境

陸運・物流では輸送力不足、賃金・燃料・外注費の転嫁、荷待ち削減・倉庫効率化が課題。
物流効率化法の2026年4月措置で一定規模の荷主・事業者等に中長期計画や定期報告が始まった。
効率化促進と実務負荷の両面がある。
山九が特定事業者と指定された事実は確認できず、会社固有の義務とは扱わない。

比較先は幹線・トラック輸送のセイノーHD(9076)と、物流・3PL等のセンコーGHD(9069)。
山九の機工を含む構成と異なる。
比較はFY2026/3実績、10月30日終値、FY2027会社予想を用い、peer2社単純平均は業界全体の統計ではない。

指標 山九 セイノーHD センコーGHD peer2社平均
時価総額(億円) 4,142 4,272 4,073 4,173
FY2026/3売上(億円) 6,316 8,130 8,996 —
営業利益率 6.85% 4.63% 4.11% 4.37%
ROE 10.6% 5.6% 8.7% 7.15%
自己資本比率 54.2% 56.1% 27.6% 41.9%
予想PER 12.55倍 15.54倍 17.38倍 16.46倍
PBR* 1.37倍 0.96倍 1.79倍 1.38倍
予想配当利回り 3.20% 3.96% 2.31% 3.14%
標準NC比率 △8.5%(Q2末) — — —
EV/EBITDA* 7.42倍 6.78倍 9.36倍 8.07倍

山九は利益率・ROEがpeer平均を上回る一方、予想PER・EV/EBITDAは低く、PBR・利回りは同水準。事業・財務差は未調整。市場基準・全上場中央値は同業比較と分けて第7章に示す。

5. リスクと観察項目

# リスク要因 影響度 発生可能性 シナリオ 対応状況・確認点
1 日本製鉄への顧客集中(FY2026/3売上の13.8%) 高 中 鉄鋼生産・設備投資の弱まりが構内物流と機工の双方へ波及 顧客需要、構内業務、定修案件を分けて追う
2 機工の受注残減少・案件採算・安全品質 高 中〜高 FY2026/3末総受注残83,249百万円、うち機工81,520百万円(FY2025/3末比△12.7%、△13.2%)。FY2026/3受注高619,459百万円はほぼ横ばい。期ずれや追加原価で利益・CFが下振れ 新規受注、受注残、完成工事の採算・遅延・事故を確認
3 物流費用の転嫁と人材確保 中〜高 高 賃金・外注費・燃料費が単価改定を上回り、FY2026/3営業利益率3.33%の物流を圧迫 契約更改、単価改定、稼働率、要員不足を確認
4 海外景気・制度・災害・IT障害 中〜高 中 中国の需要低迷や規制変更、事故・災害・システム停止が現場運営を妨げる Q2で開示された中国動向、法令対応、安全・BCPを追う
5 ネット負債・特別利益・資本配分 中 中 金利・借換え費用や投資負担が増える一方、政策株売却益が純利益の伸びを押し上げる 営業利益・営業CFと売却益、投資・配当・自己株取得を区別

**低PERは機工受注残・顧客集中・案件採算の振れを映している可能性がある。
**中間期純利益は特別利益4,939百万円を含み、通期計画には下期営業利益の約13%増が必要。
営業利益・CF・受注残・ネット負債の整合を確かめる。

6. バリュエーション統合 — 価格が織り込むもの

乖離の構造分析

山九の予想PER12.55倍・FY2026/3末負債基準EV/EBITDA7.42倍はpeer平均を下回る一方、営業利益率6.85%・ROE10.6%はpeer平均を上回る。 PBR1.37倍はpeer平均1.38倍と同水準。
差には機工受注残の減少、顧客集中、案件利益の振れ、投資採算への評価が重なった可能性がある。
peer2社を全上場の標準倍率とはみなさない。

会社予想PER12.55倍、標準NC調整PER13.61倍、広義NCAV調整PER10.87倍は別指標。
DCFのEV480.5十億円はWACC6.5〜8.5%・g0〜1.5%で378.8〜614.9十億円。
Q2特別利益を継続営業力と混同しない。

条件分岐シナリオ

上向きの条件

物流の単価改定・新規作業と海外拠点の構造改革が続き、機工が大型定修・設備更新案件で受注残を補い、採算と安全品質を保つ。
営業利益・営業CF・受注残が伴って改善すれば、peer平均との倍率差が縮まる評価軸が議論されうる。

基本条件

物流の増益が続く一方、機工では案件の谷と定修が混在する。
売上が会社予想に近づいても純利益は株式売却等で振れうるため、評価倍率は低めのpeer比較帯にとどまり、セグメント利益・受注残・ネット負債の進捗が主な判断材料となる。

下向きの条件

機工受注残の減少や工期遅延が続き、物流で人件費・外注費の転嫁が遅れる。
大型顧客の設備計画や中国事業も弱まれば、営業利益率・営業CFの低下とネット負債の再拡大が重なり、peerに対するディスカウントが維持または拡大する評価軸が残る。

監視ポイント

時期・確度 イベント・確認情報 開示で見る点
2027-01-27(会社IR掲載) FY2027/3 Q3決算 通期営業利益計画、機工受注残・採算、物流単価改定
2027-03-31(決算期末) FY2027/3の会計年度末 通期実績、CF、受注残、投資と株主還元の着地
2027-05-14(未公表、過年度日程からの想定) FY2027/3決算・FY2028/3計画 利益計画、中計2026総括、次期投資配分
2027-06-25(未公表、過年度日程からの想定) 定時株主総会 取締役構成、資本政策、議案とガバナンス
2027-07-30(未公表、過年度日程からの想定) FY2028/3 Q1決算 新年度の受注、値上げ、人件費の反映
2027-09-28(権利付最終日の計算値) 中間配当の権利取得に必要な最終売買日 9月30日基準日をT+2決済で逆算。会社公表日ではない
2027-09-30(会社FAQ記載) 中間配当基準日・FY2028/3 Q2末 分割後配当、Q2末ネット負債・自己資本
2027-10-29(未公表、過年度日程からの想定) FY2028/3 Q2決算 物流・機工利益率、受注残、通期見通し
2028-01-28(未公表、過年度日程からの想定) FY2028/3 Q3決算 年度見通しの確度、次年度への受注繰越

会社IRは2027年1月27日のQ3決算を掲載。ほかの未公表日は過年度傾向による確認目安であり、確定日ではない。

M&A・出資を買い手として検討する論点

買収は機工の専門工種・技術者や物流網・倉庫・国際輸送を補い、既存顧客へ横展開できる対象が戦略と合う。現場・顧客窓口・安全管理を共有できる一方、案件採算やクロスセルは未確認。

許容EVは対象の持続的FCFと検証可能な税引後シナジーから統合費用・追加投資・実行リスクを控除して考える。
peer倍率を機械的に移植せず、投資・配当・返済も含む資金計画が必要。
営業CF52.0十億円、Q2末現金44.9十億円に対しネット負債35.0十億円、自己株取得方針200億円があり、現金全額を買収余力とみなさない。

DDでは受注粗利・追加工事・違約金、技術者定着・労災、顧客契約・単価、維持投資・環境債務、海外子会社の品質・税務を確認する。安全・要員・採算・価格規律がシナジーを左右する。具体的な公表案件ではない。

7. 学びのポイント

📚 着眼点1: 利益の伸びは営業段階と特別要因に分ける

FY2027/3中間期の親会社利益は特別利益4,939百万円を含み29.6%増。営業利益は3.9%増で、機工減益・物流増益。純利益だけを外挿せず、セグメント利益・受注残・営業CFを確認する。

📚 着眼点2: 倍率差を事業構成・財務と合わせて読む

利益率・ROEはpeer超、倍率は低く、Q2末ネット負債を持つ。機工利益寄与・受注残・顧客集中・投資還元が重なるため、倍率差を単一要因に帰さない。

比較表の中央値と平均は別の統計量

peer2社平均は小標本の単純平均、全上場ROE中央値、東証業種別PER等の加重平均は、母集団・計算方式が異なる。

相場観テーブル(2026年10月時点)

指標 山九 全上場中央値 業種・市場の参考値 評価
時価総額 414,196百万円 未取得 — 10月30日終値×FY2027/3 Q2末自己株控除後株数
FY2026/3売上高 631,573百万円 未取得 — 規模より事業構成・利益率を確認
FY2026/3営業利益率 6.85% 未取得 — 物流・機工の利益率を分けて追う
FY2026/3 ROE 10.6% 9.5%* 陸運業8.3%、プライム全体8.7%** 集計母集団・算式の異なる参考値
FY2027/3予想PER 12.55倍 未取得 陸運業13.0倍、プライム全体20.6倍** 業種・市場値は実績利益の加重平均
PBR(FY2026/3末BPS) 1.37倍 未取得 陸運業1.1倍、プライム全体1.8倍** 業種・市場値は加重平均
FY2027/3予想配当利回り 3.20% 未取得 — 通期配当予想52.8円の維持が前提
EV/EBITDA(FY2026/3末負債) 7.42倍 未取得 — Q2末負債基準では7.05倍
FY2026/3自己資本比率 54.2% 未取得 — 社内スクリーニング目安40%超
FY2027/3 Q2流動比率 188.7% 未取得 — 社内スクリーニング目安150%超
FY2027/3 Q2標準NC比率 △8.5% 未取得 — ネット負債。現預金等−有利子負債・CP

参考情報

株主・ガバナンス

FY2026/3有価証券報告書では有限責任監査法人トーマツが会計監査人。2026年9月30日時点の上位株主。株式分割前表示の比率を掲載。信託口・カストディ名義から最終受益者や投資方針は判断できない。

大株主(2026-09-30) 所有比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 14.37%
日本カストディ銀行(信託口) 6.64%
State Street Bank and Trust Company 505001 4.91%
日本製鉄 4.11%
公益財団法人ニビキ育英会 3.91%

上位10社合計は45.96%。
日本製鉄は顧客かつ4.11%株主だが、継続取引や安定保有を保証しない。
需要と議決権方針は独立に確認する。
参照した有報・IR資料では単独の「主要取引銀行」を確認できず、特定銀行を推定して記載しない。

出典資料