📚 業界ナレッジ

市場ニュース 2026-07-29

市場2026-07-29

【市場・株式】韓国米国中国【市場・ボラティリティ】【政治・金融政策】

#市場ニュース#AI半導体#循環取引#韓国KOSPI#日経平均#エヌビディア#中国半導体#FOMC#原油

目次
  1. 今日の地合い
  2. Snapshot
  3. 今日の主題
  4. アジア発のAI・半導体クラッシュ——「循環取引」と中国勢への警戒
  5. 米国は決算と原油安で耐性、FOMCは「ライブ」な会合に
  6. Watchlist
  7. 出典

今日の地合い

Snapshot

項目 水準・前日比 投資上の意味
日本株(日経225) 62,364.92(‑3.95%/‑2,566円) 2カ月ぶり安値。一時3,000円超安、キオクシアはストップ安
韓国株(KOSPI) 6,023.66(‑10.8%) 今日の震源。1カ月前の天井から約34%安、サーキットブレーカー発動
米国株(S&P500/ナスダック) 7,428.78(+0.21%)/24,876.91(‑0.22%) ダウ+1.03%と分化。好決算と原油安でアジアの暴落に耐性
ドル円 163.87円(+約0.2%) 40年ぶり高値圏、164円が視野。株安でも円買いは限定的
米10年金利 4.62%(‑約2bp) 原油安が金利低下要因。ただしFOMC前で利上げ観測が下値を支える
原油(WTI/Brent) 79.26ドル(‑4.1%)/84.09ドル(‑4.8%) US-Iran停戦持続で続落、3日で約16%安。インフレ懸念を緩める

今日の主題

アジア発のAI・半導体クラッシュ——「循環取引」と中国勢への警戒

火曜のアジア市場でAI・半導体株が総崩れになった。
韓国KOSPIは ‑10.8%(6,023.66)と3月のUS-Iran緊張以来の急落で、サムスン電子は約20年ぶりの下落率 ‑13.4%、SKハイニックスは ‑14.7%。
両社でKOSPIの約半分を占めるため指数全体が引きずられ、韓国取引所はサイドカー(売り一時停止)を発動した。
日経平均も ‑2,566.27円(‑3.95%)の 62,364.92円まで下げてキオクシアがストップ安、下げ幅は一時3,000円を超えた(日本経済新聞・株探)。

きっかけは二つの不安が重なったことだ。
ひとつは「循環取引(circular financing)」への疑念で、エヌビディアがOpenAIのデータセンターに約2,500億ドルの資金枠を用意し、さらにOpenAIが自社チップを買う原資も別途手当てすると報じられた。
エヌビディアが自社製品の買い手に資金を出せば、AI経済の需要が自作自演で膨らんでいるだけではないか——この疑いが強まると、メモリやGPUの需要前提そのものが崩れる。
もうひとつは中国の攻勢で、長江存儲(CXMT)が上海上場初日に +466%と急騰して今年アジア最大のIPOとなり、国産のDUV製造装置を量産するとの報道も加わって、メモリの供給過剰・価格競争が意識された。
強制的な持ち高整理と流動性の蒸発が下げを加速させた(Reuters・ZeroHedge)。

波及は資産クラスをまたいだ。
半導体比率の高いアジア株が最も打たれ、日本ではキオクシアなどメモリ・装置株が指数の重しになった。
一方で米ナスダックは ‑0.22%にとどまり、震源のアジアほど崩れていない。
テーマの中心が「AIの収益性はどこまで本物か」に移ったことで、値がさのハイテクほど値動きが荒くなっている。

米国は決算と原油安で耐性、FOMCは「ライブ」な会合に

同じ日、米国株は逆行して底堅かった。
ダウは +537.24ドル(+1.03%)の 52,747.32、S&P500も +0.21%と小幅高で、シャーウィン・ウィリアムズが好決算で +8%、コカ・コーラが増益・通期上方修正で約 +5%と指数を押し上げた(TheStreet・Yahoo Finance)。
US-Iran停戦の持続でBrentが 84.09ドル(‑4.8%)まで続落し、米10年金利も 4.62%へ低下。
原油安によるインフレ懸念の後退が、半導体安の重しを相殺した格好だ。

もっとも、今夜のFOMC(7/29、日本時間30日未明)は結果が読みにくい。
政策金利は3.50〜3.75%での据え置きが本命(確率約64%)だが、利上げ(3.75〜4.00%)確率が以前の 16%から約 38%へ上昇しており、両側に振れる「ライブ」な会合になった(Investing.com)。
5月に就任したウォーシュ新議長の下での会合で、今回は経済見通し(ドットチャート)の公表もない。
新たな輸入関税や根強いインフレが利上げ観測を押し上げてきた一方、足元の原油急落は逆にインフレ圧力を和らげる。
利上げなら金利敏感な成長株(=すでに脆いAI関連)に追い打ち、ハト派的な据え置きなら安心感につながる。
Microsoft・Metaの決算も控え、次の材料が続く。

Watchlist

期間 確認項目 注目水準・イベント 見方が変わる条件
短期(当日) FOMC結果 7/29 2pm ET(日本時間30日3時) 利上げ→金利敏感な成長株に追い打ち/ハト派据え置き→安心感
短期(数日) AI・半導体の反発力 KOSPI・日経、サムスン/SKハイニックス/キオクシア 反発鈍い→AIバブル調整の長期化を示唆
短期(数日) ビッグテック決算 Microsoft・Meta(7/29引け後) AI投資に見合う収益不足→循環取引懸念が再燃
短期(数日) 原油(Brent) 84ドル前後 80ドル割れ→株の支え/90ドル回復→インフレ・金利再燃
中期(3-4週) 中国半導体の攻勢 CXMT上場後の動き、DUV装置量産観測 増産・値下げ観測の拡大→メモリ市況悪化で連れ安
中期(3-4週) ドル円 164円 突破→介入警戒・日銀の追加利上げ観測が強まる
📘 今日の学習(クリックで展開/全員必読ではありません)

「循環取引(circular financing)」——なぜAIバブル警戒につながるのか

今日の下げの震源になった言葉が「循環取引」だ。エヌビディアがOpenAIに巨額の資金を出し、そのOpenAIがエヌビディアのチップを買う——売り手が買い手に資金を回している構図を指す。

なぜ問題か。
通常、売上は「外部の顧客が自腹で払う」から需要の強さを映す。
ところが売り手自身が買い手に資金を出していると、その売上は自作自演で水増しされている可能性がある。
AI投資の巨大な数字が「本物の需要」なのか「資金を回しているだけ」なのか、市場は見分けにくくなる。
だから、この構図が意識された瞬間に需要の前提そのものが疑われ、メモリやGPUの業績見通しが一気に巻き戻された。

見分けるコツは、**「その売上は、資金を出した当事者以外の第三者が買っているか」**を問うこと。
設備投資ブームでは、関連会社間でお金が循環していないかを確認すると、数字の熱狂と実需を切り分けやすくなる。
今回サムスンやSKハイニックスが 2割近く下げたのは、AI需要という前提に最も乗っていた銘柄だったからだ。

出典