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概要

前提: Link-Uグループ株式会社(以下、Link-U)は、マンガサービスや制作などを手がける会社です。中期経営計画の達成度に応じて、評価期間の終了後に自社株を渡す報酬制度を設けています。
ひとことで言うと: Link-Uは営業赤字を計上するなか、子会社の役職員も連結営業利益に連動する株式報酬の対象にします。
注目したいのは、調整後営業利益は増えていても、報酬の指標には連結営業利益を選んだことです。どの利益を使い、誰の働きと結び付けるかを考える材料になります。
詳細
子会社の役職員も、グループの利益で評価する
Link-Uは取締役会で、業績連動型譲渡制限付株式報酬制度に基づく株式報酬の付与を決めました。業績に応じて受け取る株数が変わり、受け取った株も、原則として指定された役職を退くまで売却などが制限される仕組みです。
対象には親会社の取締役に加え、完全子会社の取締役、執行役員、一部従業員が入ります。評価に使うのは連結営業利益です。つまり、子会社の役職員にも、グループ全体の利益につながる報酬を設定しています。
交付株数は各年度の業績目標の達成度に加え、在任期間や役位も反映して決めます。正当な理由で退任・退職した場合には、調整した株式の交付に代えて金銭を支給する扱いもあります。株式の割当ては自己株式の処分による可能性もあり、払込期日は未定です。
赤字と調整後利益、その先の目標をどうつなぐか
では、報酬につなぐ利益は今、どんな状態なのでしょうか。決算短信によると、Link-Uはマーケティング事業の縮小に伴う減損損失などにより、営業損失を計上しました。一方、マンガサービス事業と制作事業は、いずれも通期で過去最高収益を更新したと説明しています。
Link-Uの2026年7月期の調整後営業利益は403百万円です。同社は、営業利益から減損損失やその他の収益・費用を調整して算出しています。調整後営業利益は前期を上回りましたが、今回の報酬は連結営業利益に連動します。
中期経営計画では、作品などの知的財産であるIPの展開地域と領域を広げる方針です。Link-Uが目指す規模は次のとおりです。
| 会社 | 期間 | 指標 | 計画 |
|---|---|---|---|
| Link-U | 2030年7月期 | 売上収益 | 80億円 |
| Link-U | 2030年7月期 | 営業利益 | 16億円 |
| Link-U | 2030年7月期 | 営業利益率 | 20% |
どのような影響が?
ここから読み取れること
株式報酬を見るときは、株を渡すこと自体に目が向きがちです。でも今回の設計では、子会社の役職員まで、連結営業利益という共通の物差しにつないでいます。自分の担当事業の成果とグループ全体の成果を、どう結び付けるかが読みどころです。
また、調整後営業利益の改善と、報酬に使う利益の改善は分けて見るとよさそうです。減損などの影響を除いた収益力が伸びても、それだけで報酬の達成度が決まる仕組みではありません。株式報酬の意味は、誰に渡すかと、どの利益で測るかを合わせて見ると分かりやすくなります。
ただし、各年度の利益と達成度を対応させる具体的な基準、報酬費用の見積額、親子会社間の費用負担は、公開されている情報からは分かりませんでした。対象となる子会社の名称・各社の規模、直近の株式数を踏まえた希薄化率も同様です。
自社に置き換えると
自社で似た制度を検討するなら、まず、事業の収益力を説明する利益と、報酬の判定に使う利益が同じかを確かめたいところです。違うなら、減損などが生じたときに報酬へどう響くのかを、対象者に説明できるでしょうか。
もうひとつは、子会社の役職員が動かせる範囲と、連結利益で評価する範囲の対応です。在任期間や役位による調整も含め、本人の貢献と評価のつながりを示せるかが、会議で確かめる問いになりそうです。
まとめ
- Link-Uは、完全子会社の役職員も含めて株式報酬を付与します。
- 調整後営業利益が増える一方、報酬の指標には連結営業利益を使います。
- 交付株数には業績達成度だけでなく、在任期間や役位も反映します。
- 自社では、対象者が動かせる範囲と評価指標のつながりを確かめたいところです。
出典
- 臨時報告書(Link-Uグループ株式会社、2026年10月28日)
- 2026年7月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(Link-Uグループ株式会社)