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概要

前提: キャリアコンサルタントの養成と、資格取得後の知識・技能の維持を支える講習の見直しです。現行の更新講習は、知識を学ぶ講習と、経験に応じて必要な科目を選ぶ技能講習に分かれています。
ひとことで言うと、厚生労働省が掲載した報告書素案は、更新時に学ぶ技能科目の一部を必修にし、講習自体にも更新審査を設けるよう提案しています。編集部が注目するのは、個人の学び直しだけでなく、教える側の質も継続的に確かめる構想である点です。資格者を雇う企業にも、研修の委託先を選ぶ企業にも関係します。
詳細
個人への相談から、組織への働きかけへ
素案は、キャリアコンサルタントに期待する役割を、相談者の課題解決だけにとどめていません。キャリアプランの見直しや学び直しへの伴走に加え、個人への支援では解決できない課題について、組織や環境に働きかける役割も挙げています。
そのために追加・強化する能力として、職業や労働市場の情報、組織への提案、専門家などとの連携、AI等のデジタルツールを使う技能を挙げています。ツールを自分で使うだけでなく、相談者が適切に使えるよう支援する技能も含む説明です。
こうした方向に合わせて、更新講習の一定の技能科目は受講を必須にするのが適当だと提案しています。一方で、活動領域ごとの専門性に合わせ、多様な内容を柔軟に学べる講習区分も設ける考え方です。
講習を認めた後も、内容と運営を確かめる
もうひとつの変更案は、講習の認定・指定に有効期間を設けることです。素案によると、現行制度には有効期間がなく、講習の内容や運営状況を定期的に確認する仕組みになっていません。
そこで、講習実施機関が有効期間の延長を希望する場合には、更新審査を必須とするよう提案しています。審査で問題があった場合は改善計画を提出させるなど、運営の振り返りを改善につなげる構想です。
厚生労働省の素案に載る講習の規模は、次のとおりです。講習数と実施機関数は別の数字です。
| 主体・時点 | 指標 | 講習数 | 機関数 |
|---|---|---|---|
| 厚生労働省(令和8年10月時点) | 養成講習 | 23講習 | 21機関 |
| 厚生労働省(令和8年10月時点) | 更新講習の技能講習 | 665講習 | 105機関 |
どのような影響が?
直接関係するのは、資格を持つ人、これから受講する人、講習を実施する機関です。資格者を配置する企業や、キャリア支援を外部委託する企業にも、受講計画と委託先の確認という形で関係してきそうです。
いまは報告書の素案段階です。受講者の更新と、講習実施機関による認定・指定の更新は別の手続きなので、準備も分けて考えると分かりやすくなります。
企業で確認しておきたいのは、次の点です。
- 人事部門と、資格者の受講計画や勤務時間の調整方法を確認する。
- 研修委託先に、講習内容の見直しと認定・指定の更新への対応方針を聞く。
- 相談から組織への提案につなぐ場合、誰が提案を受け止めて判断するかを考える。
適用開始日や経過措置、有効期間の具体的な長さ、実際に適用される人数、受講料や企業負担の増減は、公開されている情報からは分かりませんでした。ここで挙げた講習・機関の数が、そのまま変更対象の数になるわけでもありません。
受講の管理と、教える側の質の確認を組み合わせることが、この案を自社の人材育成に引き付けて読むポイントになりそうです。
まとめ
- 報告書素案は、更新講習の一定の技能科目を必修にするよう提案しています。
- 講習の認定・指定にも有効期間と更新審査を設ける構想です。
- 企業は受講計画と研修委託先の両方を確認し、確定後の対応につなげたいところです。
出典
- 第33回キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会(会議資料)(厚生労働省、2026年10月23日)
- 資料5 キャリアコンサルタント講習の見直しに関する報告書(素案)(厚生労働省)