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セコム株式会社

【経済・サービス業】サービス業企業バリュエーション分析更新 2026-11-06

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目次
  1. 1. 事業構造
  2. 警備契約が中核の収益基盤
  3. セグメント構成と四半期の動き
  4. 成長の方向と事業化の確認点
  5. 2. 財務
  6. 5期の業績と資金創出
  7. ネットキャッシュと資産余力
  8. 業績予想精度と最新見通し
  9. 運転資本と1株指標
  10. 3. バリュエーション
  11. 期末スナップショットの倍率
  12. 4. 同業比較
  13. 5. リスクとガバナンス
  14. 事業リスクと価値の罠
  15. 人財基盤
  16. 資本配分とガバナンス
  17. 買収者・財務責任者の確認軸
  18. 上位株主
  19. 6. バリュエーション統合
  20. 評価を動かす条件
  21. 現時点で固定できないこと
  22. 7. 学びと監視指標
  23. 企業理解に役立つ3つの見方
  24. 監視日程
  25. 情報の基準日

セコム株式会社(9735)銘柄レポート

レポート日:2026-11-06

3点要約
  • セコムは機械警備の契約料を基盤に、常駐警備、防災、医療、保険、BPO・ICT等を束ねて安心を提供する。
  • FY2026/3は売上高1,256,896百万円、営業利益160,333百万円、営業CF203,566百万円で、営業利益率の回復と財務余力が確認できる。
  • 最大論点は、人手不足・賃金上昇と事業別の利益差を、料金改定、技術投資、資本配分がどこまで補えるかである。
市場データの時点

財務はFY2026/3期末、最新四半期開示はFY2027/3 Q1(2026-06-30期末)、価格資料はFY2026/3期末スナップショット。
2026-11-06の株価は未取得。
6,048円はFY2026/3期末のEDINET時価総額を発行済株式数で割った参考値であり、報告日現値ではない。

1. 事業構造

警備契約が中核の収益基盤

セコムの中核は、家庭・事業所に設置したセンサー等から異常信号を受け、管制センターの監視と現場対応を組み合わせる機械警備である。

機器の販売・設置に加え、契約料、保守、緊急対応が連動する。

継続契約が長く維持されれば、機器・管制・現場網への初期投資を契約期間中に回収し、安定した収入を積み上げられる。

一方、契約継続率、契約単価、解約率は取得した開示資料で確認できず、収益の継続性を直接測る数値は不足する。

常駐警備、現金護送、入退室管理、映像監視、火災報知・消火、安否確認、医療機器、保険、BPO、測量・地理空間データが周辺サービスを構成する。

法人顧客が複数の安全課題を一社に委ねられることは接点を広げるが、必要な人員、設備投資、規制、季節性は事業ごとに異なる。

セグメント構成と四半期の動き

FY2026/3のセグメント売上・営業利益は有価証券報告書、FY2027/3 Q1の前年同期比較は2026-08-07公表の決算短信による。FY2026/3有価証券報告書・FY2027/3 Q1決算短信

事業 FY2026/3売上(百万円) FY2026/3営業利益(百万円) セグメント営業利益率 FY2027/3 Q1売上増減 FY2027/3 Q1営業利益増減
セキュリティサービス 660,602 123,826 18.7% +2.1% +2.6%
防災 186,884 24,748 13.2% +13.9% +411.0%*
BPO・ICT 129,901 8,988 6.9% -1.6% +21.1%
メディカル 92,086 6,239 6.8% +5.4% +5.8%
保険 65,401 5,970 9.1% +8.2% -24.3%
その他 61,375 9,290 15.1% -2.1% +9.8%
地理空間情報 60,645 5,395 8.9% +6.8% 赤字幅が縮小

* 防災のQ1利益は比較対象が小さく、伸び率だけでは規模を表しにくい。

地理空間情報はFY2027/3 Q1に約1,500百万円の営業損失で、FY2026/3 Q1の約1,700百万円の損失から赤字幅が縮小した。

セキュリティサービスは売上の52.6%を占め、セグメント利益率も高い。

安定成長を支える一方で、警備員・現場対応を伴う業務では人員確保が限界利益に影響する。

FY2026/3のセグメント営業利益合計184,456百万円は、連結営業利益160,333百万円を上回る。

差額24,123百万円には消去・全社調整等が含まれるため、セグメントごとの利益率を連結利益率と混同しない。

FY2027/3 Q1は売上高298,453百万円(+3.6%)、営業利益33,466百万円(+3.9%)で、売上高はQ1として過去最高だった。

防災・セキュリティの増益に対して保険が減益となり、経常利益は39,075百万円(+0.7%)、純利益は24,096百万円(-3.4%)。

成長の方向と事業化の確認点

セコムグループの2040年ビジョンは、人と技術を組み合わせて不安の予兆を捉え、事故・災害発生後の対応に加えて予防・事前対応へ広げる方向を示す。

Road Map 2027ではセキュリティ、海外、BPO・ICT、生産性、人財・ステークホルダーを重点に置く。2040年ビジョン・Road Map 2027

2026-10-08に公表されたTOKYO ATLAS実証は、AI解析、通信、警備ロボット「cocobo」等を組み合わせ、イベント会場の警備を検証する取り組みである。

期間は2026-12-20まで。商用化、導入料金、必要人員、運用事故、顧客契約への転換は報告日現在確認できない。実証の公表資料

2025-07-25に米国AVTELを完全子会社化し、海外企業向け統合セキュリティを強化した。

買収後の利益寄与と投下資本利益率は個別非開示。会社IR

業界背景はサービス業業界基礎ガイドを参照。本稿はセコム固有の構造を扱う。

海外18の国・地域で事業を展開し、連結子会社148社、持分法適用会社17社を有する。

2. 財務

5期の業績と資金創出

FY2022/3〜FY2026/3の売上高CAGRは4.6%、営業利益CAGRは2.8%。

営業利益率はFY2025/3の12.03%からFY2026/3に12.76%へ上昇した。FY2026/3決算資料

指標 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 FY2026/3
売上高(百万円) 1,049,859 1,101,307 1,154,740 1,199,942 1,256,896
営業利益(百万円) 143,499 136,700 140,658 144,297 160,333
経常利益(百万円) 153,186 156,124 166,859 175,123 182,160
純利益(百万円) 94,273 96,085 101,951 108,109 112,662
営業利益率 13.67% 12.41% 12.18% 12.03% 12.76%
公式ROE 8.6% 8.4% 8.5% 8.7% 8.7%
公式自己資本比率 58.8% 58.5% 58.8% 59.2% 58.9%
営業CF(百万円) 164,911 146,426 165,760 167,842 203,566
投資CF(百万円) -55,351 -70,446 -162,269 -100,798 -88,607
FCF(営業CF+投資CF) 109,560 75,980 3,491 67,044 114,959
減価償却費(百万円) 61,799 62,514 65,210 70,601 73,909
調整後EPS(円) 215.63 222.51 241.02 259.97 276.17
調整後BPS(円) 2,573.65 2,713.82 2,908.37 3,056.12 3,250.15
調整後年間配当(円) 90.0 92.5 95.0 97.5 100.0

FY2026/3の売上高はFY2025/3比4.75%増、営業利益は11.11%増、純利益は4.21%増だった。

売上以上に営業利益が伸び、利益率は0.73ポイント改善した。営業利益の増加が純利益へ同率で反映されておらず、非営業損益、税金、非支配株主持分等を含む利益段階の違いを意識したい。

営業CFは5期連続黒字。

FCFはFY2024/3に3,491百万円、FY2026/3に114,959百万円と変動した。
FY2026/3設備投資97,207百万円は減価償却73,909百万円を上回る。
投資CFにはM&A・有価証券等が含まれ、取得資料では設備投資の維持分・成長分の内訳を確認できない。

ネットキャッシュと資産余力

標準NCは現金同等物+短期有価証券−有利子負債で計算。

有利子負債は短期借入金、1年内返済・償還分、長期借入金、社債とし、リース債務は含めない。広義NCAVは流動資産+投資有価証券×70%−負債合計とする。

指標(百万円) FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 FY2026/3
現金同等物 513,902 513,592 424,173 408,404 406,675
短期有価証券 27,020 26,325 19,652 34,862 46,333
有利子負債 47,707 44,922 40,915 44,397 40,800
標準NC 493,215 494,995 402,910 398,869 412,208
EDINET時価総額(発行済株式ベース) 2,072,658 1,899,963 2,552,839 2,377,518 2,822,053
標準NC / EDINET時価総額 23.8% 26.1% 15.8% 16.8% 14.6%
流動資産 986,202 1,007,547 937,580 968,815 981,653
投資有価証券 276,230 298,364 425,696 435,635 480,821
負債合計 651,719 673,015 690,092 697,840 730,445
広義NCAV 527,844 543,388 545,475 576,920 587,783
広義NCAV / EDINET時価総額 25.5% 28.6% 21.4% 24.3% 20.8%

FY2026/3の流動比率は2.42倍、利益剰余金は1,302,182百万円。

現金同等物と短期有価証券の合計は453,008百万円で、有利子負債40,800百万円を大きく上回る。

年次NC/NCAV比率はEDINETの発行済株式数ベース時価総額で統一。第3章のFY2026/3標準時価総額は自己株式控除後株数で計算するため、時系列比率と直接混ぜない。

現金護送業務用資金や事業継続に必要な流動性は、自由に還元できる余剰現金とは限らない。

預り金、短期運転資金、政策保有株式の換金性を調整せず、資産余力だけで事業価値を評価すると過大になり得る。

業績予想精度と最新見通し

次表は各年度の第3四半期決算短信に記載された最新の通期予想と実績を比較したもの。

誤差は「実績÷予想−1」。予想時点の資料はFY2024/3 Q3、FY2025/3 Q3、FY2026/3 Q3。

年度 売上高 予想→実績 営業利益 予想→実績 純利益 予想→実績
FY2024/3 1,147,500→1,154,740(+0.63%) 136,800→140,658(+2.82%) 94,100→101,951(+8.34%)
FY2025/3 1,192,400→1,199,942(+0.63%) 140,800→144,297(+2.48%) 104,600→108,109(+3.35%)
FY2026/3 1,251,000→1,256,896(+0.47%) 150,000→160,333(+6.89%) 103,400→112,662(+8.96%)

3期すべてで売上・営業利益・純利益がQ3予想を上回り、平均絶対誤差はそれぞれ0.58%、4.06%、6.88%。

少数標本であり、将来の予想精度は保証しない。株式分割の影響を避け、金額ベースで比較した。

FY2027/3 Q1時点の会社通期予想は売上高1,313,500百万円(+4.5%)、営業利益165,500百万円(+3.2%)、経常利益176,000百万円(-3.4%)、純利益105,800百万円(-6.1%)、EPS263.57円、配当120円。

2026-05-12公表値から変更はない。

会社はQ1の経常利益伸び悩みについて投資事業組合運用益の減少を説明した。

通期利益は年率換算せず、2026-11-11予定の中間決算で予想と利益段階別の進捗を確認する。IRカレンダー

運転資本と1株指標

FY2026/3の営業債権回転日数は52.54日、棚卸資産回転日数は23.59日、仕入債務回転日数は20.78日で、CCCは55.35日。

FY2025/3はそれぞれ51.69日、19.96日、18.11日、CCC53.53日だった。期末残高ベースで、営業債権÷売上高×365、棚卸資産・仕入債務÷売上原価×365としている。

2024-10-01に1:2株式分割を実施。表中のEPS、BPS、配当は分割後基準にそろえた。

3. バリュエーション

期末スナップショットの倍率

2026-11-06の株価を取得できなかったため、倍率はFY2026/3期末の参考値である。

EDINETのFY2026/3時価総額2,822,052,957,983円を発行済株式466,599,796株で割った価格参考値は6,048.123円。
自己株式62,138,647株を控除した株数404,461,149株を掛けた標準時価総額は2,446,231百万円となる。

指標 FY2026/3期末参考値 計算・留保
価格参考値 6,048.12円 EDINET時価総額÷発行済株式数。2026-11-06現値ではない
EDINET時価総額 2,822,053百万円 自己株式控除前の発行済株式数ベース
自己株式控除後時価総額 2,446,231百万円 価格参考値×404,461,149株
実績PER 21.90倍 価格参考値÷調整後EPS276.17円
予想PER 22.95倍 価格参考値÷FY2027/3予想EPS263.57円
PBR 1.86倍 価格参考値÷調整後BPS3,250.15円
FY2027/3配当利回り 1.98% 配当予想120円÷価格参考値
標準NC / 標準時価総額 16.85% 412,208÷2,446,231百万円
広義NCAV / 標準時価総額 24.03% 587,783÷2,446,231百万円
EV / EBITDA 8.68倍 (標準時価総額−標準NC)÷(営業利益+減価償却費)

実績PER21.90倍×調整後EPS276.17円は価格参考値6,048円と整合し、PBR1.8609倍×BPS3,250.15円も6,048円に一致する。

FY2027/3予想PER22.95倍×予想EPS263.57円も6,048円となる。
標準時価総額÷予想純利益による23.12倍との差は1%未満で、自己株式控除前後の株数とEPSの期中平均分母の違いによる。

標準EVは2,034,023百万円、FY2026/3 EBITDAは234,242百万円。

標準NC控除後の利益倍率は18.05倍、広義NCAV控除後は16.49倍となる。いずれも期末価格参考値を使用する。

DCFは、WACC、永久成長率、5期の将来FCFを裏付ける開示ベースの前提が不足しているため掲載しない。

投資CFには設備投資以外も含まれ、5年のFCF変動も大きいため、少数の仮定で評価値を固定しない。

4. 同業比較

警備サービスの直接比較先としてALSOKとセントラル警備保障(CSP)を選定した。

社名と証券コードを照合し、最新通期の連結数値を比較する。ALSOKはFY2026/3、CSPはFY2026/2で、CSPは2026-02-28期末。セコム・ALSOK・CSP

指標 セコム FY2026/3 ALSOK FY2026/3 CSP FY2026/2
売上高(百万円) 1,256,896 597,026 78,745
営業利益(百万円) 160,333 46,919 4,500
営業利益率 12.76% 7.86% 5.71%
公式自己資本比率 58.9% 56.8% 57.6%
公式ROE 8.7% 9.2% 6.2%
標準NC(百万円) 412,208 14,978 11,998*

* CSPは短期有価証券の別掲を確認できないため、標準NCは開示された現金から有利子負債を引いた値。

短期有価証券をゼロとは置いていない。

セコムは比較3社で売上規模と営業利益率が最大。

ALSOKはROEが上回る一方、利益率は低い。事業構成や資産回転の違いがあるため、利益率だけで効率の優劣は決められない。報告日現値がそろわず市場倍率は省いた。

5. リスクとガバナンス

事業リスクと価値の罠

人財基盤

FY2026/3連結従業員は65,094人、平均臨時雇用者は9,421人、単体従業員は15,991人。
単体の平均年齢44.5歳、平均勤続18.0年、管理職女性比率9.4%。FY2026/3有価証券報告書

人員規模はサービス品質と人件費の両方を左右する。個社の欠員率・離職率は未開示で、給与・在籍数だけから採用余力や現場の充足度は判断できない。

最大リスクと価値の罠

期末参考PERは21.9倍、標準NCは自己株控除後時価総額の16.9%。
安定収入と資産余力は支えだが、現値は未取得で報告日価格の評価には使えない。
人件費や保険損害が収益を押し下げ、投資成果も見えない場合、資産の厚さだけで低評価と結論づけることは価値の罠になり得る。

資本配分とガバナンス

2026-05-21、ロンシャン・SICAVの資本コスト・株価に関する株主提案に取締役会は反対を決議。

会社は株主資本コストを5〜7%と認識し、Road Map 2027、事業ポートフォリオ、成長・継続投資と株主還元の方針を説明した。取締役会意見

FY2026/3公式ROEは8.7%で、会社認識の株主資本コスト5〜7%を上回る範囲。
ただし資本コストは推定レンジである。
FY2028/3 ROE10%は株主提案文書の言及で、取締役会回答が確定目標として示した数字とは区別する。

FY2026/3末の政策保有株式は上場111銘柄・帳簿価額133,693百万円、非上場51銘柄・138,075百万円。
会社は事業提携、顧客・サービス基盤、開発等を保有目的に挙げ、取締役会が便益・リスクと資本コストを年次で確認し、縮減を含め見直すとしている。
具体的な売却予定や投資先は推測しない。

2026-07-01現在、取締役会11名中社外5名、監査役会5名中社外3名。
社外過半数の指名・報酬委員会を経て候補を取締役会で決定する。
制度と監督の実効性は別であり、資本配分と買収後検証を追う。ガバナンス開示

2026-05-12決議の自己株取得は最大23,000,000株または100,000百万円、期間は2026-05-13〜2027-02-25。
取得分全株を2027-03-31に消却予定。
2026-10-31までの累計取得は12,057,300株・78,184百万円。
10月取得は2,295,700株・14,905百万円。取得状況・取得・消却決議

FY2027/3配当予想は1株120円(中間60円、期末60円)。
Road Map 2027の残り期間では、配当性向45%前後を目安に検討すると会社が説明している。
自己株取得の実行、消却後の株式数、成長投資とのバランスを合わせて評価する。配当方針

買収者・財務責任者の確認軸

買収者は顧客契約の更新性、警備員・技術者の定着、事故・行政処分・サイバー履歴、現場網との互換性、統合費用、クロスセル、のれんを確認する。

財務責任者は現金を人財、設備、海外展開、M&A、株主還元へ配分した後、契約数・利益率・ROIC・顧客維持を検証する。
防災・地理空間情報では受注、採算、検収、契約資産、債権、前受金を分けて見る。

上位株主

上位株主は2026-03-31時点。比率の分母は自己株式控除後株式数である。株主情報

順位 株主 保有株数 比率
1 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 85,785千株 21.20%
2 日本カストディ銀行(信託口) 35,876千株 8.87%
3 JP MORGAN CHASE BANK 380055(みずほ銀行名義人) 18,577千株 4.59%
4 日本マスタートラスト信託銀行(リテール信託820079272) 13,481千株 3.33%
5 セコム科学技術振興財団 8,050千株 1.99%

信託銀行・名義人の口座は実質保有者を一意に示さない。口座名義から受益者や議決権の集中度を推測しない。

6. バリュエーション統合

評価を動かす条件

FY2026/3期末スナップショットではPER21.9倍、PBR1.86倍、標準NC比率16.9%。
利益の安定性と現金余力を反映する余地がある一方、人手、契約単価、事業別利益、資本配分の進捗が評価の持続性を左右する。
2026-11-06現値がないため、以下は価格や確率を付した評価値ではなく、企業価値を変える条件の整理である。

基準条件:既存契約と料金改定が利益を支える

FY2027/3会社予想どおり営業利益165,500百万円へ伸び、賃金上昇を料金改定と運営効率が吸収する場合、セキュリティの高い利益率と事業分散が評価の支えになる。
中間決算で通期予想が保たれ、自己株取得・配当と成長投資の両立が確認できるかが条件となる。

下振れ条件:コストと保険損害が料金改定を上回る

人件費・採用費の上昇、保険損害、BPO・地理空間情報の採算低下が重なり、営業利益が会社予想を下回る場合、契約収入の安定性だけでは利益成長を支えにくい。
現金・有価証券は緩衝材だが、事業上必要な資金や政策保有株式をすべて還元可能な資産とはみなせない。

上振れ条件:技術投資が有料サービスと生産性へ結び付く

AI、データ連携、ロボット、海外SIが追加契約・単価上昇・人時生産性の改善として表れ、買収後の利益率と資本効率が改善する場合、継続収益の成長性と再投資余力を評価しやすくなる。
実証案件の商用化、契約継続、投資回収、株主資本コストを上回る収益の継続が確認条件となる。

現時点で固定できないこと

FY2026/3期末の参考倍率は2026-11-06現値評価に使えない。
自己株式、現金護送用資金、有価証券の換金性で倍率は変わる。
FY2027/3予想は純利益がFY2026/3実績を下回り、売上・営業利益・配当は増加するため、非営業損益、保険損害、買収費用、消却後株数も見る。

7. 学びと監視指標

企業理解に役立つ3つの見方

学習の中心:継続収入と人員コスト

セキュリティ事業のFY2026/3営業利益率は18.7%。契約単価・解約率は未開示で、料金改定が人手不足を吸収するかを確認する。

2. 多角化は利益率と季節性を分けて見る。 防災・地理空間情報は期末偏重、保険は災害損害で変動する。BPO・ICTのFY2026/3営業利益率は6.9%。

3. 技術投資は顧客価値と回収で測る。 TOKYO ATLASや2040年ビジョンの進展は、商用契約、料金、運用費用、品質、投下資本利益率で確かめる。

学習論点 観測指標 FY2026/3・最新開示の基準
継続契約と収益性 セキュリティ売上・利益率、契約単価、解約率 売上660,602百万円、利益率18.7%。単価・解約率は未開示
労務費とサービス品質 給与、採用難、離職、稼働品質 単体平均給与6,729,386円、+2.7%。業界調査の約86%が人手不足
防災・地理空間の季節性 四半期売上・営業損益、受注と納品 FY2027/3 Q1地理空間は約1,500百万円の営業損失
BPO・ICTの採算 営業利益率、データセンター稼働、BPO利益 FY2026/3営業利益率6.9%
保険損害 引受損益、自然災害損害、利益変動 FY2027/3 Q1営業利益はFY2026/3 Q1比24.3%減
技術の商用化 契約数、料金、必要人員、事故、更新率 TOKYO ATLAS実証は2026-12-20まで。商用化は未確認
現金創出と投資 CFO、設備投資、FCF、買収後利益 FY2026/3 CFO203,566、設備投資97,207、FCF114,959百万円
M&Aの資産価値 のれん、減損、統合費、買収後利益率 FY2026/3末のれん56,051百万円
株主還元と資本効率 配当、取得、消却、ROE、株主資本コスト FY2027/3配当予想120円、取得上限100,000百万円、資本コスト認識5〜7%
政策保有株式 銘柄数、帳簿価額、縮減・保有目的 上場111銘柄133,693、非上場51銘柄138,075百万円

監視日程

公式公表済みの日程と、過去の月次開示パターンから置いた確認目安、計算上の権利日を分けて記載する。月次開示の目安は会社の公表日程ではない。

日付 状態 監視項目 確認内容
2026-11-11 会社公表予定 FY2027/3 Q2決算 売上・営業利益・純利益の進捗、通期予想・配当の変更
2026-12-01 月次公表の目安・未公表 11月自己株取得状況 取得株数・金額、上限進捗。公表日は会社未発表
2026-12-20 実証期間の終了日 TOKYO ATLAS 結果、商用化、料金、運用人員、顧客契約
2027-01-05 月次公表の目安・未公表 12月自己株取得状況 年末を挟むための参考日。実際の公表日未発表
2027-02-01 月次公表の目安・未公表 1月自己株取得状況 取得上限までの進捗、平均取得価額
2027-02-25 会社決議の期限 自己株式取得期間の終了 最大23百万株・100,000百万円に対する取得実績
2027-03-01 月次公表の目安・未公表 2月自己株取得状況 取得期間最終月の実績、公表状況
2027-03-29 T+2前提の計算参考日 FY2027/3期末配当の権利付き最終日 3月31日基準日から逆算。取引所カレンダーで再確認
2027-03-31 会社決議・期末日 FY2027/3期末、配当基準日、取得株式消却予定日 消却実行、自己株控除後株式数、利益・資本効率

情報の基準日

情報 対象日・公表日 制約
年次財務・事業・人員 FY2026/3期末、報告書2026-06-24提出 連結年次値、単位は百万円へ換算
最新四半期 FY2027/3 Q1、2026-08-07公表・2026-06-30期末 会社予想は2026-05-12から据置
通期予想精度 FY2024/3〜FY2026/3の各Q3時点 実績との比較は売上・営業利益・純利益
価格参考値 2026-03-31 期末スナップショット。2026-11-06現値ではない
上位株主 2026-03-31 信託名義から受益者を推測しない
自己株取得 2026-10-31実績、2026-11-02公表 累計取得株数・金額
競合比較 ALSOK FY2026/3、CSP FY2026/2 市場倍率は現値がそろわず比較対象外