株式会社マツキヨココカラ&カンパニー
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- まず見る銘柄レポート|2026-09-30
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目次
- 銘柄レポート|2026-09-30
- 1. 事業構造
- 店舗網と調剤を基盤にした「美と健康」の小売
- 売上は客数・購買額・店舗数・調剤の組合せで決まる
- セグメントの利益差と統合後の構造
- 市場規模と競争
- 2. 財務分析
- 5期の推移
- 現金創出・運転資本・投資
- 現金、借入金、純資産価値
- FY2027/3計画と経営者予想の精度
- 財務健全性チェック
- 3. バリュエーション
- 現値ベースの計算
- 同業との評価差
- 適用倍率の感応度
- 4. 同業他社比較
- 5. リスクと論点
- 最大の論点は客数と粗利の両立
- バリュートラップの見方
- 6. バリュエーション統合
- 利益率プレミアムと成長の検証
- 条件分岐シナリオ
- 監視ポイント
- M&A・出資の取得側の視点
- 7. 学びのポイント
- 客数と客単価の分解が売上成長の質を示す
- 利益率と運転資本は一緒に読む
- 利益率プレミアムが資本効率につながるか
- 参考情報
- ガバナンス
- 大株主(FY2026/3末)
- データ時点と出典
株式会社マツキヨココカラ&カンパニー(3088)
銘柄レポート|2026-09-30
店舗と調剤薬局を軸に、化粧品・OTC医薬品・日用品・食品・PBを販売する小売グループである。
FY2026/3は売上高1兆1,174億円、営業利益849億円、営業利益率7.60%。
現金・借入金の差額は1,175億円。
最大の論点は、FY2027/3 4〜8月の既存店売上が+1.6%でも客数−2.1%となり、単価上昇に支えられている点である。
| 指標 | 数値 | 基準 |
|---|---|---|
| 現値時価総額 | 9,581億円 | 2026-09-30、株価2,436円 |
| FY2027/3会社予想PER | 16.24倍 | 計画純利益590億円 |
| EV/EBITDA | 8.25倍 | FY2026/3実績ベース |
| FY2027/3予想配当利回り | 2.30% | 年間配当56円 |
| 標準NC比率 | 12.26% | FY2026/3残高÷現値時価総額 |
| 広義NCAV比率 | 21.92% | FY2026/3残高÷現値時価総額 |
| EDINET健全性スコア | 93/100 | 参考スコア。信用格付けではない |
| 財務データ | FY2026/3末 | 2026-06-18提出の有価証券報告書 |
| 最新決算開示 | 2026-08-10 | FY2027/3第1四半期 |
| 株価・時価総額 | 2026-09-30 | 終値・現値市場データ |
1. 事業構造
店舗網と調剤を基盤にした「美と健康」の小売
同社はドラッグストアと調剤薬局を中心に、医薬品、化粧品、日用品、食品、PB商品を店舗・ECで販売する。
マツモトキヨシとココカラファインのブランド、調剤薬局のネットワーク、アプリや会員施策を組み合わせ、顧客の買物と健康相談の接点を広げる事業モデルである。
FY2026/3末の国内店舗は3,618店、うち調剤薬局は1,112店。
連結子会社は23社で、マレーシアでの事業も始めている。
会社概要とグループ各社の説明は会社概要およびAnd Company グループ紹介に掲載されている。
顧客は一般消費者と調剤利用者が中心である。主要顧客・大口仕入先の個社別構成は確認した開示資料に記載がなく、取引先の集中度や個別の仕入条件は評価できない。
店頭での化粧品・PB提案とOTC医薬品・調剤・日用品の一体展開が価値提案である。
店舗網と専門人材は地域での認知・利便性を支えるが、店舗数自体は利益を保証しない。
個店の粗利、人件費、賃料、在庫回転、薬剤師配置を含めた採算が参入障壁の持続性を左右する。
売上は客数・購買額・店舗数・調剤の組合せで決まる
既存店売上は来店客数、平均購買額、商品構成で決まり、全店売上には店舗数も影響する。調剤部門は処方箋数、薬価・調剤報酬、人員確保が収益を左右する。
会社の月次開示によると、FY2027/3 4〜8月累計の既存店売上はFY2026/3の同じ5か月比+1.6%だった一方、客数は-2.1%、客単価は+3.8%。
**既存店売上のプラスを単価の上昇が支える構図が最大の論点である。
**これは値上げや商品ミックスだけでなく、来店頻度、買上点数、販促後の需要が続くかを分けて見る必要があることを示す。
客数の弱さが長引けば、化粧品・PBの高単価化で補える範囲を超え、店舗の固定費吸収力が下がりうる。月次販売状況では、既存店売上・客数・客単価・店舗数の推移を確認できる。
セグメントの利益差と統合後の構造
| セグメント | FY2026/3外部売上(百万円) | 構成比 | FY2026/3営業利益(百万円) | 報告利益率 |
|---|---|---|---|---|
| マツモトキヨシグループ | 711,030 | 63.63% | 60,818 | 8.55% |
| ココカラファイングループ | 389,926 | 34.89% | 23,456 | 6.02% |
| And Company | 12,947 | 1.16% | 200 | 1.54% |
| 管理サポート事業 | 3,534 | 0.32% | 17,137 | — |
| 連結 | 1,117,440 | 100.00% | 84,935 | 7.60% |
出典はFY2026/3有報。
管理サポート事業は内部売上680,050百万円のため利益率を他セグメントと比較できず、セグメント利益合計にも連結調整がある。
外部売上64%のマツモトキヨシ側は利益率も高く、主力の粗利維持と他業態の改善が連結採算を左右する。
市場規模と競争
日本チェーンドラッグストア協会は、会員企業の2024年度売上高が10兆円目標を1年前倒しで達成し、2030年に13兆円を目指すとしている。
これは業界団体の会員集計・目標であり、同社の成長率を直接示す数値ではない。協会概要
競争相手にはスーパー、ディスカウント店、EC、化粧品専門店も含まれる。
処方箋対応・薬剤師相談は地域接点になりうる一方、薬価・調剤報酬改定や人員不足が採算を左右する。
化粧品・PBのブランド力は価格競争を和らげるが、商圏重複は出店余地を狭め、改装・閉店費用を生む。
2. 財務分析
5期の推移
| 指標 | FY2022/3 | FY2023/3 | FY2024/3 | FY2025/3 | FY2026/3 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 729,969 | 951,247 | 1,022,531 | 1,061,626 | 1,117,440 |
| 売上高前年比 | — | 30.3% | 7.5% | 3.8% | 5.3% |
| 営業利益(百万円) | 41,091 | 62,276 | 75,705 | 82,082 | 84,935 |
| 営業利益前年比 | — | 51.6% | 21.6% | 8.4% | 3.5% |
| 営業利益率 | 5.63% | 6.55% | 7.40% | 7.73% | 7.60% |
| 経常利益(百万円) | 44,565 | 66,721 | 80,499 | 86,271 | 89,855 |
| 親会社株主帰属利益(百万円) | 34,377 | 40,545 | 52,347 | 54,675 | 55,776 |
| EPS(円、調整値) | 94.38 | 96.02 | 125.31 | 133.85 | 139.94 |
| BPS(円、調整値) | 1,095.00 | 1,153.58 | 1,233.84 | 1,290.38 | 1,365.78 |
| 総資産(百万円) | 652,524 | 688,132 | 724,747 | 712,780 | 755,831 |
| 流動資産(百万円) | 298,215 | 329,808 | 370,798 | 364,316 | 401,128 |
| 固定資産(百万円) | 354,308 | 358,323 | 353,949 | 348,463 | 354,703 |
| 流動負債(百万円) | 142,449 | 153,270 | 179,428 | 162,640 | 181,696 |
| 負債合計(百万円) | 192,394 | 205,414 | 209,571 | 191,281 | 211,380 |
| 純資産合計(百万円) | 460,130 | 482,718 | 515,176 | 521,499 | 544,451 |
| 自己資本比率(公表値) | 70.5% | 70.1% | 71.0% | 73.1% | 71.9% |
| ROE(公表値) | 9.7% | 8.6% | 10.5% | 10.6% | 10.5% |
| 売上債権(百万円) | 51,852 | 55,470 | 61,747 | 64,469 | 74,520 |
| 棚卸資産(百万円) | 131,787 | 136,480 | 139,352 | 145,218 | 160,907 |
| 仕入債務(百万円) | 92,501 | 102,442 | 106,082 | 108,176 | 119,691 |
| 投資有価証券(百万円) | 22,528 | 27,476 | 24,340 | 27,786 | 28,974 |
| 営業CF(百万円) | 39,812 | 64,061 | 63,506 | 81,472 | 73,201 |
| FCF(営業CF+投資CF、百万円) | 24,327 | 44,392 | 40,746 | 60,680 | 38,978 |
| 減価償却費(百万円) | 11,052 | 14,265 | 15,783 | 16,121 | 16,985 |
| 設備投資(百万円) | 17,601 | 24,555 | 28,690 | 19,030 | 24,478 |
| DPS(円、株式変更調整値) | 23.33 | 28.33 | 36.67 | 44.00 | 50.00 |
出典: FY2022/3〜FY2026/3有価証券報告書。
FY2022/3・FY2023/3の1株値は3:1株式数変更調整値、FY2024/3は調整DPS、FY2025/3以降は掲載値。
FY2023/3の増収にはココカラファイン統合効果の通年反映を含む。
FY2026/3は増収率5.3%に対し営業利益成長3.5%、営業利益率はFY2025/3の7.73%から7.60%へ低下した。
FY2026/3は売上総利益393,784百万円(率35.2%)、販管費308,849百万円(率27.6%)。
人件費112,616百万円と地代家賃79,337百万円が大きく、賃金・賃料・物流・光熱費の上昇が利益率を左右する。
FY2026/3には、のれん償却費6,675百万円と減損損失1,682百万円も発生した。買収後の事業が利益を生むかだけでなく、取得時に計上したのれんの費用化・回収可能性も連結収益を左右する。
現金創出・運転資本・投資
営業CFはFY2022/3〜FY2026/3の各期で黒字。
FY2026/3 FCF(営業CF+投資CF)は38,978百万円で、投資CFには子会社取得10,261百万円を含むため、設備投資控除後CFとは異なる。
設備投資24,478百万円は減価償却16,985百万円を上回った。営業CFの黒字と在庫・投資の増加を併せて読む必要がある。
CCC = 売上債権÷売上高×365 + 棚卸資産÷売上原価×365 − 仕入債務÷売上原価×365。
FY2025/3の41.78日からFY2026/3は45.13日へ伸長(FY2026/3の各日数は債権24.34、棚卸81.16、仕入債務60.37日)。
棚卸日数の増加が主因である。
期末残高を年間フローで割る簡便法で、期中平均残高による指標とは異なる。
現金、借入金、純資産価値
標準NC = 現金及び現金同等物+独立表示の短期有価証券−短期借入金−1年内返済予定長期借入金−長期借入金−社債。
FY2026/3は現金同等物119,670、短期借入1,880、1年内返済予定長期借入307百万円、長期借入・社債・短期有価証券の独立表示なし。
リース債務は除外し、標準NCは117,483百万円。
将来CFやリース負担は含まない。
広義NCAV = 流動資産+投資有価証券×0.7−負債合計。流動資産中の在庫・債権を額面で置く比較用指標で、回収価値を保証しない。
| 指標(百万円) | FY2022/3 | FY2023/3 | FY2024/3 | FY2025/3 | FY2026/3 |
|---|---|---|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 74,519 | 95,224 | 117,720 | 111,750 | 119,670 |
| 独立表示の短期有価証券 | — | — | — | — | — |
| 短期借入金 | 884 | 995 | 970 | 1,187 | 1,880 |
| 1年内返済予定長期借入金 | — | — | 18,400 | — | 307 |
| 長期借入金 | 18,400 | 18,400 | — | — | — |
| 有利子借入金合計 | 19,284 | 19,395 | 19,370 | 1,187 | 2,187 |
| 標準NC | 55,235 | 75,829 | 98,350 | 110,563 | 117,483 |
| 標準NC比率(現値時価総額比) | 5.77% | 7.92% | 10.27% | 11.54% | 12.26% |
| 流動資産 | 298,215 | 329,808 | 370,798 | 364,316 | 401,128 |
| 投資有価証券×0.7 | 15,770 | 19,233 | 17,038 | 19,450 | 20,282 |
| 負債合計 | 192,394 | 205,414 | 209,571 | 191,281 | 211,380 |
| 広義NCAV | 121,591 | 143,627 | 178,265 | 192,485 | 210,030 |
| 広義NCAV比率(現値時価総額比) | 12.69% | 15.00% | 18.61% | 20.09% | 21.92% |
各年度のNC比率は2026-09-30時価総額を共通分母とした。
短期有価証券は独立表示なし、借入金・社債の別掲がない年度は残高なし。
FY2026/3の現金同等物119,670百万円は、貸借対照表の現金及び預金119,746百万円と定義が異なる。
リース債務・投資有価証券は標準NCに含めない。
FY2027/3計画と経営者予想の精度
2026-08-10開示のFY2027/3計画は売上1,155,000、営業利益87,500、経常利益91,500、純利益59,000百万円、EPS149.18円、DPS56円。
FY2027/3第1四半期はFY2026/3第1四半期比で売上+5.7%、営業利益+8.5%、純利益+14.9%、通期計画進捗は各25.1%、24.6%、25.2%。
季節性を調整していない。決算短信一覧とIRイベントカレンダーには次回FY2027/3第2四半期決算発表予定日2026-11-13も掲載。
経営者予想の精度は、各年度の第3四半期時点の通期見通しと年度実績を比較した。乖離率は「実績−予想」÷予想。
| FY | 売上高: 予想→実績(乖離) | 営業利益: 予想→実績(乖離) | 純利益: 予想→実績(乖離) |
|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 1,030,000→1,022,531(-0.72%) | 75,500→75,705(+0.27%) | 49,500→52,347(+5.75%) |
| FY2025/3 | 1,050,000→1,061,626(+1.11%) | 77,500→82,082(+5.91%) | 52,500→54,675(+4.14%) |
| FY2026/3 | 1,100,000→1,117,440(+1.59%) | 85,500→84,935(-0.66%) | 56,500→55,776(-1.28%) |
3期の売上実績は各年度の最終会社見通しから1.6%以内。FY2025/3営業利益は予想を5.91%上回った一方、FY2026/3営業利益は0.66%、純利益は1.28%下回った。
財務健全性チェック
| 確認事項 | FY2026/3の数値・基準 | 判定 |
|---|---|---|
| 自己資本比率40%超 | 公表値71.9% | ✅ |
| 有利子借入金が現金未満 | 2,187百万円 < 119,670百万円 | ✅ |
| 流動比率150%超 | 401,128÷181,696=220.7% | ✅ |
| 利益剰余金が正 | 374,508百万円 | ✅ |
| 営業CF3期連続黒字 | FY2024/3〜FY2026/3で黒字 | ✅ |
| 配当3期連続 | 調整DPS36.67→44→50円 | ✅ |
| EPS前年比プラス | 139.94円、FY2025/3比+4.55% | ✅ |
| ROE8%超 | 公表値10.5% | ✅ |
| 営業利益率が業界平均超 | 比較可能な業界中央値なし | — |
EDINET DBの健全性スコア93/100は過去最大6期程度の財務情報を用いたルールベース指標であり、信用格付けではない。業界中央値が確認できないため、営業利益率の業界平均との差は判定を保留する。
3. バリュエーション
現値倍率はpeerを上回り、利益率優位の持続性が焦点。
現値ベースの計算
2026-09-30終値は2,436円、現値時価総額は958,126百万円。
価格2,436円×自己株式控除後393,319,508株=958,126百万円で、価格データの時価総額と一致する。
FY2027/3会社計画純利益59,000百万円に対する予想PERは16.24倍。
EPS149.18円から算出した2,436÷149.18=16.33倍との差は0.56%である。
FY2026/3 BPS1,365.78円によるPBRは1.78倍、年間配当予想56円による利回りは2.30%。
標準NCベースの企業価値は時価総額958,126百万円から標準NC117,483百万円を引いた840,643百万円。
FY2026/3 EBITDAは営業利益84,935百万円と減価償却費16,985百万円の合計101,920百万円であり、EV/EBITDAは8.25倍となる。
FY2027/3予想利益とFY2026/3実績EBITDAを組み合わせているため、評価時点の異なる値を含む。
広義NCAVを控除した場合の企業価値は748,097百万円、EV/EBITDAは7.34倍。
標準NCを用いたキャッシュニュートラルPERは14.25倍、広義NCAVベースでは12.68倍。
両者の幅は、投資有価証券・在庫・債権を現金同等とみなすかで評価が変わることを表し、資産の換金価値を保証するものではない。
同業との評価差
比較対象はスギHD(7649)とサンドラッグ(9989)。
いずれも小売業・JGAAP、時価総額は対象の0.3〜5倍内。
実績はFY2026/2(スギ)・FY2026/3(対象・サンドラッグ)、PERは最新会社計画、EV/EBITDAは直近通期実績。
株価・時価総額は2026-09-30基準で、スギは同年9月1日効力発生の1:2株式分割後。スギHD EDINET DB・サンドラッグ EDINET DB
| 指標 | 3088 | スギHD 7649 | サンドラッグ 9989 | 選定peer平均 | 全上場中央値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 1,117,440 | 1,010,336 | 842,512 | 926,424 | 未取得 |
| 営業利益率 | 7.60% | 4.81% | 5.56% | 5.18% | 未取得 |
| 自己資本比率 | 71.9% | 47.3% | 60.1% | 53.7% | 未取得 |
| 予想PER | 16.24倍 | 14.22倍 | 13.02倍 | 13.62倍 | 未取得 |
| PBR | 1.78倍 | 1.56倍 | 1.46倍 | 1.51倍 | 未取得 |
| ROE | 10.5% | 16.6% | 11.3% | 14.0% | 未取得 |
| EV/EBITDA | 8.25倍 | 6.78倍 | 6.04倍 | 6.41倍 | 未取得 |
| 予想配当利回り | 2.30% | 1.40% | 3.69% | 2.54% | 未取得 |
| 標準NC比率 | 12.26% | 3.67% | 5.33% | 4.50% | 未取得 |
| 広義NCAV比率 | 21.92% | 2.14% | 17.09% | 9.61% | 未取得 |
| FCF利回り | 4.07% | 3.68% | 2.68% | 3.18% | 未取得 |
| CCC | 45.13日 | -5.49日 | 30.10日 | 12.31日 | 未取得 |
選定peer平均は2社の単純平均で、業界全体を代表しない。店舗構成・調剤比率・決算月・買収履歴・株式分割・借入構成の違いも残る。比較可能な全上場中央値は一次データがなく未取得。
適用倍率の感応度
選定peerの会社計画PERは13.02〜14.22倍(平均13.62倍)、直近実績EV/EBITDAは6.04〜6.78倍。
対象の予想PER16.24倍・EV/EBITDA8.25倍は上回る。
対象の期末PERはFY2022/3〜FY2026/3で15.4〜24.3倍だが、期末株価と利益基準が異なる参考系列。
現行評価は利益率、ブランド・PB、客数、統合効果への期待を含む。
4. 同業他社比較
売上・利益率は3社中で最上位だが、ROEはpeer平均未満。
| 企業 | 通期比較期間 | 売上高(百万円、FY順) | 営業利益率(FY順) |
|---|---|---|---|
| 3088 | FY2024/3・FY2025/3・FY2026/3 | 1,022,531 → 1,061,626 → 1,117,440 | 7.40% → 7.73% → 7.60% |
| スギHD 7649 | FY2024/2・FY2025/2・FY2026/2 | 744,477 → 878,021 → 1,010,336 | 4.92% → 4.85% → 4.81% |
| サンドラッグ 9989 | FY2024/3・FY2025/3・FY2026/3 | 751,777 → 801,811 → 842,512 | 5.45% → 5.55% → 5.56% |
FY2026/3 ROE10.5%はpeer平均14.0%を下回る。高い利益率は資本効率と同義ではなく、スギは2月期、他2社は3月期。
第2章と同じ簡便式で算出したCCCは、対象FY2026/3末45.13日、スギFY2026/2末-5.49日、サンドラッグFY2026/3末30.10日。
スギは仕入債務81.69日が棚卸50.02日と債権26.18日を上回る。
支払条件・業態差があるため単純比較はできず、対象の在庫回転がFY2025/3の41.78日からどう変化したかを見る。
5. リスクと論点
最大のリスクは客数減を単価・粗利で補えなくなること。
| リスク要因 | 影響度 | 発生可能性 | 具体的な影響経路 | 現状の対応・確認点 |
|---|---|---|---|---|
| 既存店の客数減少・競争 | 高 | 中〜高 | 客数減少が続き単価上昇で補えない場合、既存店売上と固定費吸収力が落ちる。 | 月次で客数、客単価、既存店売上、店舗数を分解。FY2027/3 4〜8月は客数-2.1%。 |
| 薬価・調剤報酬改定 | 高 | 中 | 改定が処方部門の単価・採算を変え、薬剤師人件費や設備費を吸収しづらくする。 | 有報で制度改定を主要リスクとして認識。調剤薬局の機能・生産性を確認。 |
| 賃金・賃料・物流費上昇 | 中〜高 | 中 | 人件費・地代家賃等が粗利増加を上回ると、店舗営業利益率が縮小する。 | FY2026/3人件費112,616百万円、地代家賃79,337百万円。省人化・DX投資の効果を見る。 |
| M&A後の統合・のれん | 中〜高 | 中 | 新生堂薬局等の統合が遅れ、利益・顧客・人材が定着しない場合、のれん減損や統合費が増える。 | FY2026/3末のれん98,308百万円。償却・減損の継続と統合成果を追う。 |
| 在庫・供給網・災害・情報管理 | 中 | 中 | 在庫の滞留、仕入れ停滞、災害やサイバー事故が店舗と調剤・顧客データの運営を妨げる。 | 在庫日数の上昇と、供給網・災害・情報セキュリティの開示を継続確認。 |
最大の論点は客数と粗利の両立
FY2027/3 4〜8月は客単価上昇が売上を支えたが、来店頻度・買上点数が下がれば成長は弱まる。
FY2027/3上期決算ではFY2026/3上期比の客数・平均購買額、カテゴリー別粗利、販促後の粗利率、人員・賃料負担を確認する。
バリュートラップの見方
標準NC117,483百万円(時価総額比12.26%)、広義NCAV210,030百万円(21.92%)は資産面の下支えだが、余剰現金だけで同社を説明する水準ではない。
中期計画は営業キャッシュ(運転資本増加除く)の45%を成長投資、45%を株主還元、10%を財務基盤へ配分する。
配当は累進配当を基本とし、FY2031/3までに配当性向50%、DOE6%を目指す。
CCC長期化とのれん98,308百万円を踏まえ、在庫評価、店舗賃貸、M&A資産が利益・CFへ結びつくかが論点となる。
6. バリュエーション統合
利益率プレミアムと成長の検証
現値予想PER16.24倍、EV/EBITDA8.25倍は選定peerより高い。
**対象会社は営業利益率7.60%で上回る一方、ROE10.5%ではpeer平均14.0%を下回る。
**FY2026/3営業利益成長3.5%、FY2027/3計画3.0%のため、化粧品・PBの構成や販売力による利益率差だけでは倍率差を説明しきれない。
倍率差を支えるには、FY2027/3 4〜8月の客数減の抑制、既存店採算の維持、新生堂薬局・And Companyの統合成果が必要である。
標準NC比率は12.26%で、企業価値の差は継続利益と利益率の評価に依存する。
現状は単純な資産割引では説明できず、需要・資本効率・買収後の利益化を市場がどう見るかが論点となる。
条件分岐シナリオ
上方シナリオ
前提: FY2027/3計画(売上1,155,000、営業利益87,500、純利益59,000百万円)に沿って着地し、客数が安定・反転、営業利益率がFY2026/3の7.60%近辺を維持。
新生堂薬局統合やDX投資が利益・在庫回転に表れる。
評価軸: 現行PER16.24倍がpeer13.02〜14.22倍を上回る根拠が強まる。EV/EBITDA8.25倍とpeer6.04〜6.78倍との差を、利益率と投資回収が支えるかを見る。
ベースシナリオ
前提: FY2027/3は会社計画に近い増収増益だが、客単価が客数減を補う構図が続き、営業利益率は大きく変わらない。
評価軸: PER16.24倍・EV/EBITDA8.25倍とpeerの13.02〜14.22倍・6.04〜6.78倍の差が続く。成長が計画並みにとどまればpeer倍率との比較が強まりうる。
下方シナリオ
前提: 客数減で既存店売上がマイナス化する、販促で粗利率が低下する、賃金・賃料が上昇する、または買収先の統合遅延で通期利益が計画未達となる。
評価軸: 利益率プレミアムが弱まり、PERはpeer下限13.02倍、EV/EBITDAは6.04倍に近づく可能性がある。のれん減損や在庫評価損が出る場合、PBR・CF・資産回収性の比重が高まる。
監視ポイント
| 時期・基準日 | イベント | 開示で確認する内容 |
|---|---|---|
| 2026年9月30日 | FY2027/3上期末・9月月次期間末 | 既存店客数・客単価、粗利率、上期営業利益と会社計画。9月月次の公表日は未公表 |
| 2026年10月31日 | FY2027/3 10月月次期間末 | 既存店売上、客数、客単価、全店成長と店舗数。月次公表日は未公表 |
| 2026年11月13日 | FY2027/3第2四半期決算短信 | 上期実績、通期計画の変更、商品構成、在庫、利益率 |
| 2026年11月30日 | FY2027/3 11月月次期間末 | 客数の反転・継続、既存店売上と販促後の粗利。月次公表日は未公表 |
| 2026年12月31日 | FY2027/3第3四半期末・12月月次期間末 | 年末需要、調剤・化粧品・日用品のミックス、棚卸資産。月次公表日は未公表 |
| 2027年1月31日 | FY2027/3 1月月次期間末 | 年末商戦後の客数・単価、全店と既存店の差。月次公表日は未公表 |
| 2027年2月28日 | FY2027/3第3四半期決算の確認時期・2月月次期間末 | 決算・月次公表日は未公表。通期計画の進捗、CCC、統合費、減損 |
| 2027年3月29日 | FY2027/3期末配当の権利付最終日 | 年間DPS、配当性向・DOE目標の進捗。3月31日基準日の2営業日前 |
| 2027年3月31日 | FY2027/3期末 | 通期売上、営業利益率、営業CF、設備投資、のれん、買収事業の寄与 |
M&A・出資の取得側の視点
取得EVでは標準NCだけでなく、借入金、リース、資産除去債務、退職給付、偶発債務を含む純負債を確認する。FY2026/3末ののれん98,308百万円も統合価値の判断材料となる。
シナジー候補は共同仕入れ、PB、会員ID・アプリ、物流、店舗改装、薬剤師網、調剤機能。
商圏重複、ブランド競合、販促による顧客離れ、システム統合、人材流出は相殺要因である。
DDでは店舗別粗利・客数・在庫鮮度、処方箋、許認可・人員、賃貸契約、棚卸差異、個人情報、仕入条件、係争・環境債務、キーマン依存、取得価格配分を確認する。
大規模案件では負債活用も検討する。中期経営計画
7. 学びのポイント
小売は客数・単価、利益率・運転資本を組み合わせて読む。
客数と客単価の分解が売上成長の質を示す
FY2027/3 4〜8月の既存店売上+1.6%だけを見ると需要が底堅く見えるが、客数-2.1%と客単価+3.8%に分けると、売上増加の背景が異なる。
高単価商品や価格変更は売上を支える一方、来店頻度や買上点数が減ると、将来の販売余地や販促効率が変わる。
小売企業を見るときは、全店売上、既存店、客数、単価、店舗数を分けて追うことが重要である。
利益率と運転資本は一緒に読む
FY2026/3営業利益率は7.60%とpeerより高い一方、CCCはFY2025/3の41.78日からFY2026/3の45.13日へ伸び、棚卸日数の増加が仕入債務日数を上回った。
在庫増は現金拘束と値下げ・廃棄リスクを高めるため、利益率と在庫回転を併せて見て、利益が現金創出につながるかを確かめる。
利益率プレミアムが資本効率につながるか
FY2026/3は営業利益率7.60%、ROE10.5%。利益率が資本効率に結びつかない場合、のれん・店舗資産・運転資金の影響を調べる。peer平均は2社のみで、事業構成差もある参考値。
参考情報
ガバナンス
会社公式情報によると監査役会設置会社で、取締役14名中6名、監査役4名中3名が社外。
社外役員9名は独立役員。
代表取締役社長は松本清雄氏、設立は2007年10月、監査法人はEY新日本。
FY2026/3末の連結従業員は14,293人で、マレーシアに拠点を持つ。
指名・報酬諮問、コンプライアンス・リスク、サステナビリティの各委員会を設置し、取締役任期は1年。
FY2026/3末の政策保有上場株式は27銘柄・簿価20,143百万円で、保有意義を点検し売却する方針。
主要取引銀行は確認資料から特定できなかった。会社概要・役員一覧・ガバナンス
大株主(FY2026/3末)
| 順位 | 株主名 | 保有比率 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 1 | 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.24% | 信託銀行 |
| 2 | 日本カストディ銀行(信託口) | 5.32% | 信託銀行 |
| 3 | 千葉銀行 | 3.40% | 金融機関 |
| 4 | 南海興産 | 3.23% | 事業会社 |
| 5 | State Street Bank and Trust Company 505038 | 2.68% | 海外金融機関 |
順位・比率はFY2026/3末の大株主一覧。信託口を通じた保有を含み、名義上の保有者が最終受益者や議決権行使方針を示すとは限らない。EDINET DBの大株主一覧
データ時点と出典
財務はFY2026/3末、有価証券報告書は2026-06-18提出。業績は2026-08-10開示のFY2027/3第1四半期、株価・時価総額は2026-09-30基準。会社計画と実績を区別した。
- FY2026/3有価証券報告書(EDINET、S100YD1I)
- 月次販売状況、中期経営計画
- 会社概要、役員一覧、ガバナンス
- FY2026/3大株主一覧、スギHD、サンドラッグ
- 日本チェーンドラッグストア協会
- 2026-09-30市場価格: 3088、7649、9989