リンナイ株式会社
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- まず見る1. 事業構造 — 何で稼ぐ会社か
- 次に読む金属製品 の業界ハブ
目次
- 1. 事業構造 — 何で稼ぐ会社か
- 熱源をまたぐ住宅設備のポートフォリオ
- FY2026/3地域別セグメント
- 競争優位性と取引関係
- 脱炭素への適応と固有事象
- 2. 財務の実力
- PL・BS・CF — 5期実績
- FY2027/3会社予想と運転資本
- 健全性チェック
- 3. 市場評価を読む — バリュエーション
- 時価総額・株価の基準
- NC 2軸とキャッシュニュートラル指標
- EV/EBITDA 分析
- 倍率ベース感応度(円建て列なし)
- 4. 同業比較 — 差分の論点
- FY2026/3実績・FY2027/3会社予想による比較
- 5. リスクと論点
- リスクマトリクス
- 6. バリュエーション統合と論点整理
- 乖離の構造分析
- 7. 学びのポイント
- 📚 着眼点1: 地域別の「売上成長」と「利益成長」を分ける
- 📚 着眼点2: ネットキャッシュは「余剰資金」ではなく資本配分の問い
- 📚 着眼点3: 指標ポジショニング(相場観テーブル)
- 参考情報
- ガバナンス要点
- 大株主構成(一次開示で確認できる主要保有者)
- データ時点
- 財務諸表・地域別セグメントは2026-03-31(FY2026/3)、FY2027/3第1四半期実績は2026-06-30、FY2027/3会社予想の期末は2027-03-31、株価・時価総額は2026-09-18を基準とする。大量保有比率は表中の各提出日基準である。
- 出典一覧
リンナイ株式会社(5947)銘柄分析レポート
FY2026/3実績は売上高470,392百万円、営業利益50,531百万円、親会社株主帰属純利益36,160百万円。
FY2027/3会社予想は売上高500,000百万円、営業利益50,500百万円、親会社株主帰属純利益36,300百万円である(TDNet決算短信、2026-08-06)。
2026-09-18時点の時価総額は4,832.4億円。
FY2027/3会社予想EPSに基づく予想PERは13.3倍、FY2026/3 EBITDAに基づく標準NC控除後EV/EBITDAは5.3倍である(市場データ、EDINET DB)。
予想配当106円に基づく配当利回りは3.03%。
標準NC比率は27.9%、広義NCAV比率は50.2%である(2026年3月期BS)。
1. 事業構造 — 何で稼ぐ会社か
業界全体の構造は業界基礎ガイド等を参照。本レポートはリンナイ株式会社固有の事業構造に絞る。
熱源をまたぐ住宅設備のポートフォリオ
リンナイは給湯、厨房、空調・温水暖房を地域別の生産・販売会社を通じて展開する。
FY2027/3第1四半期の機器別売上は給湯57.4%、厨房20.6%、空調4.4%、業用2.7%、その他15.0%で、更新・リフォームと高効率機種への置換が収益ドライバーである。
施工店、ガス事業者、修理網との継続接点が交換需要と保守を支える(FY2027/3第1四半期決算短信)。
コストは部材・エネルギー、物流、地域固定費、研究開発が中心で、FY2027/3第1四半期は原材料高と各種コストが利益を圧迫した。
運転資本はFY2026/3 CCC134.1日、資本集約度は減価償却費15,076百万円に表れる。
地域在庫と設備・開発負担を伴うため、販売数量による固定費吸収とキャッシュ創出を併せて見る必要がある。
FY2026/3地域別セグメント
| セグメント | 売上高(百万円) | 構成比 | 営業利益(百万円) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 207,201 | 44.1% | 27,115 | 13.1% |
| アメリカ | 72,134 | 15.3% | 1,856 | 2.6% |
| 中国 | 60,682 | 12.9% | 9,415 | 15.5% |
| オーストラリア | 44,044 | 9.4% | 2,110 | 4.8% |
| その他 | 34,489 | 7.3% | 5,179 | 15.0% |
| 韓国 | 34,284 | 7.3% | 1,094 | 3.2% |
| インドネシア | 17,555 | 3.7% | 3,843 | 21.9% |
注: FY2026/3の売上高はセグメント間取引相殺後。構成比は連結売上高470,392百万円に対する比率である(EDINET DB)。
FY2027/3第1四半期には、米国のコンデンシング給湯器は販売増でも研究開発投資と固定費負担により営業損失となった。
中国は景気低迷と販売減少で営業損失、対照的に豪州はSmart Energy Groupのクロスセルでヒートポンプ給湯器・蓄電池が伸び、営業利益も増加した。
地域別利益率の水準だけでなく、電化対応の進捗と買収後の販売シナジーが重要である。
競争優位性と取引関係
燃焼、熱交換、制御、安全設計を製品群へ横展開できる点が強みである。
給湯器は住宅の配管・熱源・保守網に組み込まれるため、設置・点検体制も参入障壁となる。
主要取引先の個社名は非開示だが、施工店、ガス事業者、住宅関連流通、海外販売会社が接点を担う。
政策保有株式も販売先・調達先との関係維持を目的に含む(FY2026/3有価証券報告書)。
脱炭素への適応と固有事象
中期経営計画「accelerate 2030」は北米のヒートポンプ、豪州の太陽光・蓄電池を含む電化商材を強化する(中期経営計画)。
給湯省エネ2026事業もヒートポンプ、ハイブリッド、家庭用燃料電池を対象とし、更新需要と電化競争の両方に作用する(事業概要)。
一方、2003年8月〜2020年8月製造の一部浴室暖房乾燥機372,398台では無償点検・修理を実施しており、安全対応の完遂率とブランド信頼が継続課題である(商品安全情報)。
2. 財務の実力
PL・BS・CF — 5期実績
| 区分 | 指標 | FY2022/3 | FY2023/3 | FY2024/3 | FY2025/3 | FY2026/3 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| PL | 売上高(百万円) | 366,185 | 425,229 | 430,186 | 460,319 | 470,392 |
| PL | 営業利益(百万円) | 35,864 | 41,418 | 39,362 | 46,005 | 50,531 |
| PL | 親会社株主帰属純利益(百万円) | 23,748 | 26,096 | 26,667 | 29,691 | 36,160 |
| PL | EPS(円) | 470.39 | 176.92 | 184.75 | 209.66 | 259.96 |
| PL | 営業利益率 | 9.8% | 9.7% | 9.1% | 10.0% | 10.7% |
| BS | 総資産(百万円) | 512,867 | 547,114 | 577,088 | 606,586 | 649,569 |
| BS | 流動資産(百万円) | 333,956 | 341,520 | 341,437 | 362,482 | 374,185 |
| BS | 負債合計(百万円) | 134,011 | 139,915 | 139,650 | 144,868 | 155,445 |
| BS | 自己資本比率 | 66.9% | 66.6% | 67.2% | 66.9% | 67.3% |
| BS | BPS(円) | 6,889.76 | 2,487.60 | 2,707.86 | 2,885.72 | 3,166.84 |
| CF | 営業CF(百万円) | 28,696 | 19,387 | 43,347 | 57,502 | 49,298 |
| CF | 投資CF(百万円) | -25,486 | -30,087 | -19,968 | -22,685 | -30,905 |
| CF | FCF(百万円) | 3,210 | -10,700 | 23,379 | 34,817 | 18,393 |
注: PL・BS・CFの末尾実績列は 財務データ基準日: 2026-03-31 と一致するFY2026/3。
FCF = 営業CF+投資CF。
FY2022/3 EPSは株式分割等の調整基準が他年度と異なる可能性がある。
FY2027/3会社予想と運転資本
| 指標 | 基準FY | 値 | 比較・注記 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | FY2027/3会社予想 | 500,000 | FY2026/3実績470,392 |
| 営業利益(百万円) | FY2027/3会社予想 | 50,500 | FY2026/3実績50,531 |
| 親会社株主帰属純利益(百万円) | FY2027/3会社予想 | 36,300 | FY2026/3実績36,160 |
| EPS(円) | FY2027/3会社予想 | 262.91 | 2026-08-06開示 |
| 1株配当(円) | FY2027/3会社予想 | 106 | FY2026/3実績100 |
| CCC(日) | FY2026/3実績 | 134.1 | FY2025/3実績129.0 |
| 減価償却費(百万円) | FY2026/3実績 | 15,076 | EBITDA算定に使用 |
FY2027/3会社予想は2026-08-06開示の第1四半期決算短信に基づき、最新開示基準日: 2027-03-31 と一致する。
CCCは売上債権を売上高、棚卸資産と仕入債務を売上原価で除し365日を乗じた。
FY2026/3は売上債権73.4日、棚卸資産95.7日、仕入債務35.0日である。
受注実績は非開示であり、受注産業としては扱わない。
健全性チェック
| 項目 | FY2026/3の数値・判定基準 | 判定 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 >40% | 67.3% | ✅ |
| 有利子負債 < 現預金 | 12,801百万円 < 134,506百万円 | ✅ |
| 流動比率 >150% | 338.3% | ✅ |
| 利益剰余金 >0 | 367,029百万円 | ✅ |
| 営業CF 3期連続黒字 | FY2024/3・FY2025/3・FY2026/3は43,347 / 57,502 / 49,298百万円 | ✅ |
| 配当 3期連続支払い | FY2024/3・FY2025/3・FY2026/3は60 / 80 / 100円 | ✅ |
| EPS増加 | FY2025/3の209.66円からFY2026/3の259.96円へ増加 | ✅ |
| ROE >8% | 8.6% | ✅ |
| 営業利益率 >10% | 10.7% | ✅ |
3. 市場評価を読む — バリュエーション
時価総額・株価の基準
バリュエーションは2026-09-18の株価3,500円、自己株控除後株式数138,069,612株、時価総額483,243,655,168円を用いる。
財務諸表は2026-03-31時点、会社予想は2026-08-06開示の2027年3月期第1四半期決算短信に基づく。
金額は入力の円単位を1,000,000で除した百万円表示である。
整合検算では、3,500円×138,069,612株=483,243,642,000円で取得時価総額との差は0.000003%未満。
13.3倍×262.91円=3,496.7円(株価差-0.09%)、1.11倍×3,166.84円=3,515.2円(同+0.43%)で、表示倍率の丸めを含めても差は1%未満である。
NC 2軸とキャッシュニュートラル指標
標準NCは 現預金+短期有価証券−有利子負債、広義NCAVは 流動資産+投資有価証券×0.7−負債合計 と定義する。比率の分母は2026-09-18時点の時価総額483,243.7百万円である。
| NC定義 | FY2025/3(百万円) | FY2026/3(百万円) | 時価総額比 | CN-PER | EV/EBITDA |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準NC | データ未確認 | 134,627 | 27.9% | 9.6倍 | 5.3倍 |
| 広義NCAV | 242,757 | 242,420 | 50.2% | 6.6倍 | 3.7倍 |
FY2026/3の標準NCは現預金134,506百万円、短期有価証券12,922百万円、有利子負債12,801百万円から算定した。
FY2025/3の有利子負債構成はデータ未確認。
CN-PERはFY2027/3会社予想純利益、EV/EBITDAはFY2026/3 EBITDA65,607百万円を用いる。
EV/EBITDA 分析
EV = 時価総額−標準NC、EBITDA = 営業利益+減価償却費。時価総額は2026-09-18、財務値はFY2026/3を用いる。
| 指標 | リンナイ | 三和HD | 文化シヤッター |
|---|---|---|---|
| 時価総額(億円) | 4,832.4 | 7,284.5 | 1,351.9 |
| 標準NC(億円) | 1,346.3 | 665.0 | 230.6 |
| EV(億円) | 3,486.2 | 6,619.5 | 1,121.3 |
| EBITDA(億円) | 656.1 | 938.3 | 210.3 |
| EV/EBITDA | 5.3倍 | 7.1倍 | 5.3倍 |
注: 三和HD・文化シヤッターの有利子負債も標準NC定義(短期借入金、1年内返済予定長期借入金、長期借入金、社債)に限定した。
倍率ベース感応度(円建て列なし)
| 評価軸 | レンジ下限 | リンナイ | レンジ上限 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| FY2027/3予想PER | 10.4倍 | 13.3倍 | 42.1倍 | 文化シヤッター/リンナイ/LIXIL。LIXILは利益水準の影響を受けた外れ値として読む |
| FY2026/3 EV/EBITDA | 5.3倍 | 5.3倍 | 7.1倍 | 文化シヤッター/リンナイ/三和HD |
| FY2026/3 PBR | 0.76倍 | 1.11倍 | 2.11倍 | LIXIL/リンナイ/三和HD |
4. 同業比較 — 差分の論点
LIXIL、三和HD、文化シヤッターを、EDINET上の同業種と2026-09-18時点の時価総額レンジを基準に比較する。
住宅設備・建材で製品構成は異なるため、倍率差は収益性、資本構成、製品市場の差と併読する。
FY2026/3実績・FY2027/3会社予想による比較
| 指標 | リンナイ | LIXIL | 三和HD | 文化シヤッター |
|---|---|---|---|---|
| 時価総額(億円) | 4,832.4 | 5,053.0 | 7,284.5 | 1,351.9 |
| 売上高(億円) | 4,703.9 | 15,107.0 | 6,607.1 | 2,362.8 |
| 営業利益率 | 10.7% | 1.9% | 12.0% | 6.6% |
| 自己資本比率 | 67.3% | 35.3% | 63.6% | 58.3% |
| 予想PER | 13.3倍 | 42.1倍 | 12.1倍 | 10.4倍 |
| PBR | 1.11倍 | 0.76倍 | 2.11倍 | 1.13倍 |
| ROE | 8.6% | 1.3% | 17.8% | 10.8% |
| 予想配当利回り | 3.03% | 5.12% | 4.16% | 3.85% |
| EV/EBITDA | 5.3倍 | — | 7.1倍 | 5.3倍 |
| 標準NC比率 | 27.9% | — | 9.1% | 17.1% |
注: 市価関連は2026-09-18時点、実績財務は各社FY2026/3、予想PER・予想配当利回りは各社FY2027/3会社予想を使用。
LIXILの標準NC関連指標は有利子負債構成がデータ未確認のため算出していない。
リンナイのFY2026/3営業利益率10.7%は三和HDの12.0%を下回り、文化シヤッターの6.6%とLIXILの1.9%を上回る。
予想PER13.3倍は三和HD12.1倍、文化シヤッター10.4倍より高く、LIXIL42.1倍より低い。
差は利益率だけでなく、海外電化投資、地域別採算、NCの厚みの評価を含む。
同一分母で算定したFY2026/3 CCCはリンナイ134.1日、LIXIL75.9日、三和HD66.5日、文化シヤッター86.2日である。
リンナイは棚卸資産95.7日と売上債権73.4日が重く、運転資本効率が同業3社より低い点が明確な差分である。
5. リスクと論点
リスクマトリクス
| リスク要因 | 影響度 | 発生可能性 | 具体的影響シナリオ | 対応状況 |
|---|---|---|---|---|
| 中国の住宅・消費低迷 | 高 | 高 | 販売数量減少が現地固定費を吸収できず、利益率が低下 | 現地開発・生産の原価低減、高付加価値化、販売施策 |
| 米国の住宅需要・規制変化 | 高 | 中 | 高金利・省エネ規制への対応遅れで、既存機種の販売・稼働率が弱含む | コンデンシング機器、ヒートポンプ開発、現地生産 |
| 原材料・エネルギー・物流費 | 中 | 高 | 増収でも材料価格と物流費の上昇が粗利を圧迫 | 価格改定、原価低減、生産性改善 |
| 製品安全・品質 | 高 | 中 | 長期使用製品の不具合対応が追加費用、ブランド・施工店信頼の毀損へ波及 | 無償点検・修理、品質保証・リスク管理体制 |
| 脱炭素による熱源転換 | 高 | 高 | ガス専用機器の置換が加速し、電化商材の品揃え・施工網整備が遅延 | ハイブリッド、ヒートポンプ、豪州での電化商材拡充 |
最大の定性リスクは、地域ごとの熱源転換と住宅需要変動が同時に起きる局面である。
特に中国では販売数量が固定費の吸収を左右し、米国ではコンデンシング給湯器の伸長と研究開発・現地生産の負担が並行する。
地域売上の合計だけでは、製品構成、価格、現地の損益分岐点の変化を捉えにくい。
資本効率の論点は、FY2026/3の標準NC比率27.9%、広義NCAV比率50.2%という厚い流動性と、海外展開・製品安全・電化投資をどう結びつけるかにある。
2026年3月期には自己株式取得10,001百万円、消却も実施したが、資本配分の評価は単年度の還元額ではなく、成長投資、安全品質への投入、政策保有株式を含めた資産構成と対話の継続性で判断する必要がある。
為替も地域損益を解釈する際の横断的な変数である。
連結実績の増減を円換算だけで説明せず、現地通貨建ての需要、価格、部材調達、生産拠点の組合せを決算説明資料で確認することが必要である。
加えて、災害・地政学リスクが物流・エネルギー価格へ波及する場合、複数地域にまたがる部材供給と施工部品の在庫管理が経営課題となる。
6. バリュエーション統合と論点整理
乖離の構造分析
標準NCベースのEV/EBITDAは5.3倍、CN-PERは9.6倍。
広義NCAVベースではEV/EBITDA3.7倍、CN-PER6.6倍である。
ただし広義NCAVは運転資産を含み、全額を事業外資金とはみなせない。
給湯需要、地域別採算、電化研究開発、製品安全対応が倍率の解釈を左右する。
FY2027/3会社予想は売上高500,000百万円、営業利益50,500百万円で、FY2026/3実績から増収・営業利益ほぼ横ばいである。
成長投資、コスト、地域構成の説明力と、ダルトンの株主提案を受けた資本配分・取締役会監督の開示が、資産評価とROIC評価のどちらを重く見るかを分ける。
条件分岐シナリオ
前提: 米国のコンデンシング機器とヒートポンプ開発が両立し、豪州のSmart Energyとのクロスセルが継続する。
中国では数量・固定費の関係が改善し、品質対応が計画内で推移する。
市場評価の変化: 資産評価に加え、海外電化とROIC改善を織り込む評価軸へ移り得る。
PERとEV/EBITDAの評価は収益性と資本配分の説明力が中心となる。
前提: 売上高500,000百万円、営業利益50,500百万円という会社予想に沿い、日本の更新需要が下支えする一方、中国の回復は限定的で、投資負担が残る。
市場評価の変化: 予想PER13.3倍、標準NCベースEV/EBITDA5.3倍を基礎に、資産の厚みと地域別利益を併せて見る評価が続く。
NCAV全額の控除には慎重さが残る。
前提: 中国の住宅・消費低迷が長引き、米国の住宅需要や規制対応コストも重なり、材料・物流費が価格転嫁を上回る。
製品安全対応の範囲・期間も拡大する。
市場評価の変化: 収益力に対する評価軸が低下し、資産価値にも安全対応、運転資本、海外事業の再構築コストを織り込む見方が強まる。
PERやEV/EBITDAは、同業比較の下限側を意識した利益の持続性の検証が中心となる。
監視ポイント
| 時期 | イベント | 開示で確認すべき点 |
|---|---|---|
| 2026年6月26日 | 第76回定時株主総会 | 株主提案への会社意見、報酬・ガバナンスの議論 |
| 2026年8月6日 | FY2027/3第1四半期決算 | 米国・中国の利益、豪州電化商材、通期予想の据置理由 |
| 2026年9月28日 | FY2027/3中間配当権利付き最終日 | 会社予想の中間配当53円と権利・支払日程の開示 |
| 2026年9月30日 | FY2027/3中間期末 | 棚卸資産・売上債権、為替、地域別の受注・販売動向 |
| 2026年11月2日 | FY2027/3第2四半期決算の開示予定確認 | 通期営業利益50,500百万円への進捗、地域別採算 |
| 2027年2月1日 | FY2027/3第3四半期決算の開示予定確認 | 中国需要、米国の固定費吸収、電化商品の販売構成 |
| 2027年3月29日 | FY2027/3期末配当権利付き最終日 | 期末配当53円予想、資本政策・自己株式に関する開示 |
| 2027年5月6日 | FY2027/3通期決算の開示予定確認 | 中期計画初年度のROIC、営業利益率、投資・還元の整合 |
M&A・出資検討の論点整理
M&A検討主体の許容EVは、現預金の用途、非支配株主持分、海外のれん、設備更新、製品保証負担で変わる。
豪州Smart Energyとの販売網・電化商材の補完がシナジーとなる一方、施工品質、在庫、人材統合はディスシナジーになり得る。
DDでは製品保証引当金、無償点検、海外税務、政策保有株式、流通網依存、認証対応、研究開発の回収仮説を確認する。
7. 学びのポイント
📚 着眼点1: 地域別の「売上成長」と「利益成長」を分ける
FY2026/3は日本が売上の44.1%を占める一方、FY2027/3第1四半期は米国がFY2026/3第1四半期比で増収でも営業損失、中国も営業損失、豪州は増収増益であった。
連結売上を一つの温度計とせず、地域別の数量、価格、固定費吸収を別々に読むことが重要である。
📚 着眼点2: ネットキャッシュは「余剰資金」ではなく資本配分の問い
FY2026/3の標準NC比率は27.9%、広義NCAV比率は50.2%である。
厚い資金は海外生産、研究開発、品質対応への耐性となる一方、全額を任意に動かせるとは限らない。
地域投資、安全品質、還元、政策保有株式の優先順位まで見て資本効率を判断する。
📚 着眼点3: 指標ポジショニング(相場観テーブル)
| 指標 | リンナイ | 同業3社 | 全上場中央値 | 評価コメント |
|---|---|---|---|---|
| FY2027/3予想PER | 13.3倍 | 10.4〜42.1倍 | データ未確認 | LIXILの高倍率を外れ値として分けて読む |
| PBR | 1.11倍 | 0.76〜2.11倍 | データ未確認 | ROEと資産構成を併読 |
| FY2026/3 EV/EBITDA | 5.3倍 | 5.3〜7.1倍(算定2社) | データ未確認 | NC定義の影響が大きい |
| 営業利益率 | 10.7% | 1.9〜12.0% | データ未確認 | 三和HDに次ぐ水準 |
| ROE | 8.6% | 1.3〜17.8% | データ未確認 | 資本配分の改善余地を示す |
| 自己資本比率 | 67.3% | 35.3〜63.6% | データ未確認 | 同業3社を上回る |
| FY2027/3予想配当利回り | 3.03% | 3.85〜5.12% | データ未確認 | 配当106円の会社予想ベース |
| 標準NC比率 | 27.9% | 9.1〜17.1%(算定2社) | データ未確認 | 資金配分の説明が重要 |
| CCC | 134.1日 | 66.5〜86.2日 | データ未確認 | 運転資本が相対的に重い |
出典: EDINET DB、2026-09-18市場データ。全上場中央値はデータ未確認であり、推測値を置いていない。
参考情報
ガバナンス要点
リンナイは1920年創業、1950年設立で、代表取締役社長は内藤弘康、FY2026/3連結従業員数は11,328人、会計監査人は有限責任監査法人トーマツである。
主要取引銀行はデータ未確認。
取締役会には社外取締役4名、監査役会には常勤2名と社外2名を置く。
海外の生産・販売体制は成長機会と管理複雑性を併せ持つ。
大株主構成(一次開示で確認できる主要保有者)
以下はFY2026/3有価証券報告書と大量保有報告書で確認できる保有者を比率順に並べた補完表であり、基準日の異なる比率を合算しない。
| 順位 | 株主名 | 保有比率 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 1 | 内藤株式会社 | 12.43% | 創業家関係会社(2023年8月1日変更報告書) |
| 2 | ダルトン・インベストメンツ・インク | 6.32% | 海外投資運用会社(2026年1月30日変更報告書) |
| 3 | 野村アセットマネジメント株式会社 | 4.55% | 資産運用会社(2025年9月18日変更報告書) |
| 4 | フィデリティ投信株式会社 | 3.55% | 資産運用会社(2023年8月22日変更報告書) |
| 5 | 錦成株式会社 | 0.90% | 創業家関係会社(2023年8月1日変更報告書) |
出典: FY2026/3有価証券報告書、各大量保有・変更報告書。ダルトンの2026年株主提案に対し、会社は反対意見を公表した(会社開示)。
データ時点
財務諸表・地域別セグメントは2026-03-31(FY2026/3)、FY2027/3第1四半期実績は2026-06-30、FY2027/3会社予想の期末は2027-03-31、株価・時価総額は2026-09-18を基準とする。大量保有比率は表中の各提出日基準である。
出典一覧
- リンナイ株式会社 決算情報
- リンナイ株式会社 FY2027/3第1四半期決算短信
- リンナイ株式会社 FY2026/3決算短信
- リンナイ株式会社 中期経営計画 accelerate 2030
- リンナイ株式会社 浴室暖房乾燥機の無償点検・修理
- リンナイ株式会社 株主提案に対する取締役会意見
- EDINET FY2026/3有価証券報告書
- 給湯省エネ2026事業 事業概要
- EDINET DB — 企業基本情報・健全性スコア・FY2022/3〜FY2026/3財務時系列・FY2026/3地域別セグメント・金属製品業種の競合企業データ
- TDNet決算短信 — 2027年3月期第1四半期決算短信(2026-08-06開示)の通期会社予想
- 現値マーケットデータ — 2026-09-18の株価・時価総額・自己株控除後株式数