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Umios株式会社

【経済・水産・農林業】水産・農林業企業バリュエーション分析更新 2026-10-03

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目次
  1. 1. 事業構造 — 調達網の広さを利益率へ結びつけられるか
  2. 2. 財務 — 増収の一方で利益率と資金回転は改善途上
  3. 四半期の変化と運転資本
  4. 3. バリュエーション — 予想利益と資産の質を分けて見る
  5. 4. 同業比較 — 規模より収益性・資金負担の差に注目
  6. 5. リスク — 粗利と資金回収が同時に悪化する可能性
  7. 6. バリュエーション統合 — 中計の実現条件を数字で追う
  8. (a) 評価差を生む要素
  9. (b) 条件別の事業・評価シナリオ
  10. (c) 監視する開示と日程
  11. (d) M&A・出資の採算検証
  12. 7. 学びのポイント — 資産・利益・現金を別々に読む
  13. 着眼点1:広義NCAVが正でも返済資金と同じではない
  14. 着眼点2:売上の伸びと利益の伸びは一致しない
  15. 着眼点3:運転資本の圧縮はROIC改善の経路になる
  16. 相場観と比較の限界
  17. ガバナンスと大株主
  18. データ時点・定義
  19. 出典一覧

Umios株式会社(1333)銘柄レポート

事業・財務・最大論点
  • 何で稼ぐ会社か: 水産物の調達・養殖から卸売、加工食品、冷蔵物流、ペットフードまでを持つ食品グループで、FY2026/3売上の69.6%を食材流通が占めた。
  • 財務の要点: FY2026/3売上高は1兆1,058.90億円、営業利益311.91億円、営業利益率2.82%。現預金529.31億円に対して有利子負債は3,068.80億円で、標準NCはマイナス2,539.49億円。
  • 分析の最大論点: FY2027/3 Q1はFY2026/3 Q1比で売上高5.3%増、営業利益29.4%減となり、FY2026/3 CCCもFY2025/3から延伸した。価格転嫁・利益率・運転資本の改善が中期計画と評価をつなぐ焦点となる。

1. 事業構造 — 調達網の広さを利益率へ結びつけられるか

Umiosは漁業・養殖・買付、水産物の卸、冷凍・常温加工、冷蔵物流、ペットフードを扱う総合食品グループである。
2026年3月1日にマルハニチロから社名を変更した。
連結子会社98社、持分法適用会社53社を抱え、原料調達から販売までの機能を複数地域・商品で組み合わせている。社名変更資料 FY2026/3有価証券報告書

FY2026/3の売上構成では食材流通が約7割を占めるが、売上規模だけでは採算の差が見えにくい。セグメント利益合計と連結営業利益には本社費用などの調整が含まれる。

FY2026/3 売上高(億円) 構成比 営業利益(億円) 利益率 売上高(FY2025/3比) 営業利益(FY2025/3比)
食材流通 7,699.43 69.62% 157.77 2.05% +2.51% −12.45%
加工食品 1,857.52 16.80% 100.74 5.42% +3.34% −27.67%
水産資源 1,293.71 11.70% 24.45 1.89% +1.36% 黒字化
その他 208.22 1.88% 37.22 17.88% +3.19% −10.85%

売上規模だけでは採算の差が見えにくい。 食材流通は販売単価、欧州食品流通、畜産商品の構成で採算が動く。
FY2026/3は増収だったがコスト上昇などで利益が減った。
加工食品は工場稼働率、販促費、原料・為替、価格改定の時間差が利益に響く。
水産資源は不採算事業整理、北米拠点統合、養殖歩留まり改善によりFY2025/3の営業損失から黒字化したが、海水温・漁獲・餌料費・燃油の変動を受ける。

表の増減率はFY2025/3の組替後実績比。FY2026/3に売上高の10%超の単一顧客はなかった。有価証券報告書

2. 財務 — 増収の一方で利益率と資金回転は改善途上

以下は連結・日本基準の年次実績で、金額は億円。
FY2027/3列は会社予想であり、実績と区別した。
2026年1月1日の1株を3株とする株式分割に合わせ、FY2022/3〜FY2025/3のEPS・BPS・DPSを3分の1に調整した。
FY2026/3 DPSは中間16.67円と期末28円の合計44.67円である。FY2026/3決算短信 FY2026/3有価証券報告書

指標 FY2022/3 FY2023/3 FY2024/3 FY2025/3 FY2026/3 FY2027/3会社予想
売上高 8,667.02 10,204.56 10,306.74 10,786.31 11,058.90 11,100.00
営業利益 238.19 295.75 265.34 303.81 311.91 320.00
経常利益 275.96 335.00 311.06 322.54 312.51 300.00
親会社株主帰属利益 168.98 185.96 208.53 232.64 221.82 150.00
営業利益率 2.75% 2.90% 2.57% 2.82% 2.82% 2.88%
EPS(円) 107.04 121.23 137.87 153.97 146.75 99.22
BPS(円) 1,014.65 1,178.13 1,370.88 1,519.24 1,635.34 —
DPS(円) 18.33 21.67 28.33 36.67 44.67 45.00
総資産 5,486.03 6,372.27 6,718.01 6,812.11 7,517.02 —
流動資産 3,243.04 3,926.39 4,049.85 4,145.76 4,574.68 —
負債合計 3,607.08 4,247.05 4,263.21 4,058.15 4,602.15 —
純資産(非支配株主持分込み) 1,878.95 2,125.22 2,454.80 2,753.96 2,914.87 —
自己資本比率(会社開示) 29.2% 28.0% 30.8% 33.7% 32.9% —
現預金 244.30 333.60 369.05 484.22 529.31 —
有利子負債(確認できた額) 2,506.03 3,011.38 2,843.50 2,709.11 3,068.80 —
営業CF 192.49 −0.24 536.04 391.79 248.04 —
投資CF −102.58 −238.60 −189.27 −18.86 −211.64 —
財務CF −172.00 302.88 −329.43 −293.52 −8.08 —
FCF(営業CF+投資CF) 89.91 −238.84 346.77 372.93 36.40 —
減価償却費 163.72 150.83 162.16 173.28 183.18 —
設備投資 155.16 306.81 189.14 220.43 289.73 —
売上債権 1,153.91 1,317.69 1,384.18 1,332.59 1,437.22 —
棚卸資産 1,726.91 2,166.98 2,153.33 2,180.05 2,447.33 —
仕入債務 362.26 417.01 437.34 449.72 540.78 —
標準NC −2,261.73 −2,677.78 −2,474.45 −2,224.89 −2,539.49 —
広義NCAV −85.90 −47.46 156.05 400.31 312.07 —

FY2022/3〜FY2026/3に売上高は年平均約6.3%増えたが、営業利益率は2.6〜2.9%にとどまる。 FY2026/3は売上総利益率13.92%から営業利益率2.82%となった。
事業変革費用41億円(営業費用20億円、特別損失21億円)があり、会社説明資料の調整後営業利益332億円は報告営業利益311.91億円と区別する。
価格転嫁・商品構成・稼働率が増収の採算を左右する。決算説明資料

FY2026/3は営業CF248.04億円、投資CFマイナス211.64億円、FCF36.40億円で、FY2024/3・FY2025/3から縮小した。
設備投資289.73億円は減価償却費183.18億円を上回る。
営業CFは3期連続プラスだが、年ごとの振れは大きい。

FY2026/3末の流動比率は162.6%、利益剰余金は1,579.47億円、会社開示ROEは9.3%。
自己資本比率は32.9%で、現預金を有利子負債が大きく上回る。
次表は9指標の確認結果。
EDINET基本情報の75/100と別分析の70/100は定義が揃わない参考値である。

チェック項目 FY2026/3値 判定 読み方
自己資本比率40%超 32.9% 未達 FY2025/3の33.7%から低下
有利子負債が現預金未満 3,068.80億円 対 529.31億円 未達 純有利子負債は2,539.49億円
流動比率150%超 162.6% 達成 流動資産を流動負債で除した値
利益剰余金が正 1,579.47億円 達成 累積利益は正値
営業CFが3期連続黒字 FY2024/3〜FY2026/3 達成 536.04、391.79、248.04億円
3期連続配当 FY2024/3〜FY2026/3 達成 分割調整後DPSは28.33、36.67、44.67円
EPSがFY2025/3を上回る 146.75円 対 153.97円 未達 FY2026/3に低下
ROE8%超 9.3% 達成 会社開示値
営業利益率が同業2社平均を上回る 2.82% 対 3.77% 未達 FY2026/3実績比較

9項目中5項目を満たす。自己資本比率・借入負担に加え、在庫、営業CF、設備投資後のFCFを合わせて見る。

四半期の変化と運転資本

最新のFY2027/3 Q1(2026年4月1日〜6月30日、8月4日公表)は、売上高2,775.95億円(FY2026/3 Q1比+5.3%)、営業利益66.56億円(−29.4%)、経常利益64.22億円(−31.3%)、親会社株主帰属利益34.24億円(−47.3%)。
通期予想は売上高1兆1,100億円、営業利益320億円、経常利益300億円、純利益150億円、EPS99.22円、DPS45円で据え置かれた。Q1決算短信 Q1補足資料

Q1セグメント金額の括弧内はFY2026/3 Q1比。
水産資源は売上299億円(+14.9%)・営業利益4億円(−50.4%)、食材流通は1,962億円(+5.7%)・37億円(−17.8%)、加工食品は463億円(−1.1%)・21億円(−45.2%)。
会社資料は価格転嫁の遅れ、原料・為替、販売時期を要因に挙げた。

CCCはFY2026/3に120.5日(FY2025/3は112.8日)。
算式は売上債権÷売上高×365+棚卸資産÷売上原価×365−仕入債務÷売上原価×365。
FY2026/3末在庫は2,447.33億円、売上債権は1,437.22億円。
棚卸資産回転日数93.8日、債権回転日数47.4日である。

FY2028/3中計目標は営業利益400億円、EBITDA640億円、ROIC5%、ROE9%、海外経常利益比率54%、ネットD/E1.0倍。
FY2026/3に確認できる実績は営業利益311.91億円、会社説明資料ベースEBITDA531億円、ROIC4.1%、ROE9.3%、ネットD/E1.0倍。
海外経常利益比率の比較実績は今回確認した資料で見つからない。
成長投資は計1,400億円、FY2026/3・FY2027/3の資産効率化キャッシュイン目標は計500億円(FY2026/3実績165億円)。
中計期間は配当性向30%以上を前提とした累進配当方針。
会社提示のWACC約4%、株主資本コスト5.3〜7.5%は経営資料の参考値。中期経営計画 決算説明資料

確認できた通期予想対実績はFY2026/3の1期分。
2026年2月9日時点のFY2026/3会社予想(売上高10,800億円、営業利益300億円、経常利益290億円、親会社株主帰属利益195億円)に対し、実績はそれぞれ11,058.90億円、311.91億円、312.51億円、221.82億円。
実績差率(実績−予想)÷予想は+2.4%、+4.0%、+7.8%、+13.8%。
複数年の予想精度へ外挿しない。

3. バリュエーション — 予想利益と資産の質を分けて見る

市場データは2026年10月2日終値。
10月3日は土曜のため直近取引日を採用し、Umios株価1,209.5円は複数ページで照合した。
2026年8月時点の発行済151,736,511株から自己株1,883,417株を引いた149,853,094株を用いると時価総額は1,812.47億円。
発行済全株ベースの1,835.25億円との差は1.26%。株価履歴(LIMO)

指標 値 算式・基準
終値 1,209.5円 2026-10-02
時価総額 1,812.47億円 1,209.5円×自己株控除後149,853,094株
予想PER 12.19倍 1,209.5円÷FY2027/3予想EPS99.22円
PBR 0.740倍 1,209.5円÷FY2026/3 BPS1,635.34円
予想配当利回り 3.72% FY2027/3予想DPS45円÷1,209.5円
予想配当性向 45.4% FY2027/3予想DPS45円÷EPS99.22円
標準NC −2,539.49億円 現預金529.31億円−有利子負債3,068.80億円
標準NC比率 −140.1% 標準NC÷現時価総額
広義NCAV 312.07億円 流動資産4,574.68億円+投資有価証券485.05億円×70%−負債4,602.15億円
広義NCAV比率 17.2% 広義NCAV÷現時価総額
CN-PER(標準NC) 29.01倍 (時価総額−標準NC)÷FY2027/3予想純利益150億円
CN-PER(広義NCAV) 10.00倍 (時価総額−広義NCAV)÷FY2027/3予想純利益150億円
EV/EBITDA(FY2026/3実績) 8.79倍 EV4,351.96億円÷EBITDA495.09億円
EV/EBITDA(FY2027/3参考値) 8.65倍 EV÷(予想営業利益320億円+FY2026/3減価償却費183.18億円)

標準NCの有利子負債には短期借入金1,373.86億円、長期借入金894.94億円、社債510億円、CP290億円を含む。
過年度の社債・CP欄が取得データにない年度はゼロと置かず、確認できた負債額だけである。
広義NCAVは売上債権や棚卸資産を含む流動資産と投資有価証券70%評価を仮定し、同額の現金や即時返済資金を意味しない。

広義NCAVは現預金と同じではない

FY2026/3広義NCAV312.07億円には売上債権1,437.22億円、棚卸資産2,447.33億円などが含まれる。
標準NCはマイナス2,539.49億円であり、流動資産の帳簿額をそのまま返済余力とみなせない。

EVは時価総額−標準NC。
表のFY2026/3 EBITDA495.09億円は本稿の営業利益311.91億円+減価償却費183.18億円という簡易算定。
会社説明資料のEBITDA531億円は別の会社定義である。
FY2027/3 EV/EBITDAも予想営業利益+FY2026/3実績D&Aによる参考値で、予想D&Aではない。
標準NC・広義NCAVによるCN-PERの差は売掛債権・在庫の換金性前提の違いを示す。

FY2022/3〜FY2026/3の期末PERは7.46、6.53、7.19、7.06、9.93倍で、現在の予想PER12.19倍より低い。
FY2027/3予想EPSはFY2026/3実績より低く、期間が異なる。
水産・農林業の2026年9月末加重平均はPER11.4倍、PBR1.0倍、ROE8.4%だが、実績・予想の差を含む参考値。業種指標

各年度末時価総額に対する標準NC比率はFY2022/3〜FY2026/3で−179.3%、−222.9%、−164.5%、−134.9%、−114.8%。
広義NCAV比率は−6.8%、−4.0%、10.4%、24.3%、14.1%。
これは各期末株価を使う系列で、2026年10月2日現値ベースの標準NC比率−140.1%・広義NCAV比率17.2%とは分けて読む。

DCFは掲載しない。会社提示のWACCなど一部前提はあるものの、企業固有のβ、無リスク金利、根拠ある永続成長率と5期分のFCF予測を同じ基準で揃えられず、評価結果を再現可能な形にできないためである。

4. 同業比較 — 規模より収益性・資金負担の差に注目

同業として、水産物の調達・加工・流通を持つニッスイと極洋を選んだ。
価格は2026年10月2日終値、時価総額は直近四半期の自己株控除後株数で算出。
利益率・ROE・EV/EBITDAはFY2026/3実績、PER・配当利回りはFY2027/3予想。ニッスイ株価履歴 極洋株価履歴 ニッスイFY2026/3決算 極洋FY2026/3決算

指標 Umios ニッスイ 極洋
2026-10-02終値 1,209.5円 1,097円 4,500円
時価総額(億円) 1,812.5 3,327.2 534.6
FY2024/3 売上高(億円)/利益率 10,306.7 / 2.57% 8,313.8 / 3.57% 2,616.0 / 3.37%
FY2025/3 売上高(億円)/利益率 10,786.3 / 2.82% 8,861.3 / 3.58% 3,026.8 / 3.66%
FY2026/3 売上高(億円)/利益率 11,058.9 / 2.82% 9,312.7 / 4.34% 3,346.1 / 3.21%
FY2026/3自己資本比率 32.9% 40.04% 36.1%
FY2026/3 ROE 9.3% 9.54% 9.5%
FY2027/3予想PER 12.19倍 11.47倍 7.42倍
PBR 0.740倍 1.109倍 0.691倍
FY2027/3予想配当利回り 3.72% 2.92% 3.56%
FY2026/3 EV/EBITDA 8.79倍 8.55倍 9.74倍
FY2026/3営業CF(億円) 248.0 532.4 −7.5
FY2026/3 FCF(億円) 36.4 −81.6 −59.6
FY2026/3 CCC(日) 120.5 113.6 136.0
標準NC(億円) −2,539.5 −2,396.9 −805.7

売上が3社とも増えるなか、FY2026/3営業利益率はニッスイが上昇、極洋が低下、Umiosが横ばいだった。 ROEは近い一方、Umiosの利益率・自己資本比率は同業平均を下回る。
PERはFY2027/3予想、EV/EBITDAはFY2026/3実績。

5. リスク — 粗利と資金回収が同時に悪化する可能性

リスク要因 影響 業績・財務への経路 開示された対応・確認点
海水温・漁獲量・養殖疾病 大 魚種・海域ごとの供給量、歩留まり、餌料・燃油費が水産資源の採算に波及 調達地域の分散、不採算事業整理、拠点統合の効果を追う
原料・為替と価格転嫁 大 輸入食品・冷凍食品・ペットフードの仕入費が上がり、値上げの遅れが低い営業利益率をさらに圧迫 商品構成、価格改定、工場稼働とセグメント利益率を確認
在庫・売上債権と金利 大 CCCが長引けば借入需要と支払利息が増え、資産効率化とネット負債改善が遅れる 在庫、売上債権、営業CF、ネットD/Eを並べて確認
海外M&A・品質・規制 中〜大 PMI、為替、食品安全、現地規制、少数株主との意思決定が計画収益を損なう可能性 買収後の連結実績、品質保証、投資対価と資本効率を追う

FY2027/3 Q1は増収減益、FY2026/3 CCCは延伸し、在庫は2,180.05億円から2,447.33億円へ増えた。
価格転嫁の遅れと在庫資金の増加が重なると損益・キャッシュ双方を圧迫する。

会社は運転資本の圧縮、政策保有株・不動産の売却、成長投資を掲げる。
2026年5月にUmiosロジ株51%をセンコーへ譲渡し持分法会社へ移行する決定を公表、物流サービスは継続予定。
営業CF・ROICへの効果を追う。物流子会社譲渡

6. バリュエーション統合 — 中計の実現条件を数字で追う

(a) 評価差を生む要素

FY2027/3予想PER12.19倍は同業平均9.45倍より高く、PBR0.740倍は同業平均約0.90倍より低い。
ROEは9.3%対9.52%で近い。
低PBRには食材流通の利益率、CCC、予想純利益の32.4%減、有利子負債3,068.80億円が影響している可能性がある。

営業利益400億円の中計目標はFY2026/3報告値311.91億円から約28%増を要する。
進捗条件は価格転嫁、生産性・商品構成、CCC、買収後の資本収益性。
広義NCAVは正でも標準NCは負で、在庫・債権を現金同様には扱えない。

(b) 条件別の事業・評価シナリオ

上方ケース — 利益率と運転資本が改善

食材流通・加工食品で価格転嫁と稼働率が改善し、CCCが短縮する。
Pet Worldの取得・連結後の採算が計画に沿い、FY2028/3営業利益400億円・ROIC5%へ進めば、利益の持続性と資本回転が同業倍率の比較軸となる。

基準ケース — 通期計画を維持

FY2027/3売上高1兆1,100億円、営業利益320億円、純利益150億円の会社予想を維持し、資産効率化と配当方針を続ける。
現状倍率は予想PER12.19倍、FY2026/3実績EV/EBITDA8.79倍。
ROE・営業CF・CCCの推移が評価を左右する。

下方ケース — 原価上昇と値上げの遅れ

水産物・畜産・加工食品の仕入コスト上昇と値上げの遅れで利益率が下がり、在庫・売上債権・借入も増える。会社予想EPSのPERだけでは説明しにくくなり、ネット有利子負債と運転資本の質が重要となる。

(c) 監視する開示と日程

会社IRが確定したFY2027/3 Q2日程は2026年11月9日・10日。
期末・権利日計算・既公表の社名変更日は確認可能な日付。
2027年2月・5月は過年度日程を参考にした確認日で、会社公表の将来決算日ではない。IRカレンダー JPX権利日案内

日付 イベント 開示で確認する点
2026-11-09 FY2027/3 Q2決算(会社IR確定日) セグメント利益率、在庫、CCC、通期予想、Pet World連結範囲
2026-11-10 FY2027/3 Q2説明会(会社IR確定日) 水産資源の採算、価格転嫁、Pataya提携、資産効率化
2026-12-31 FY2027/3第3四半期末 9か月累計の営業CF、在庫・売上債権、需要期前後の運転資本
2027-02-09 FY2027/3 Q3開示の確認日(会社未公表) IRカレンダーの更新、純利益予想、特別損益と配当方針。過年度のQ3公表日は2026-02-09
2027-03-29 FY2027/3期末配当の権利付最終日(算定日) 年間DPS、自己株式、配当方針の変更。3月31日基準日から2営業日前として算定
2027-03-31 FY2027/3期末・配当基準日 年間業績、営業CF・FCF、純有利子負債、ROIC、在庫・債権効率
2027-04-01 グループ会社の社名変更予定日(会社公表) ブランド統一、商品表示・取引先・物流の移行費用と統合効果
2027-05-11 FY2027/3通期決算の確認日(会社未公表) 実際の発表日をIRカレンダーで確認。FY2028/3計画、買収寄与、利益率・ROIC。過年度公表日は2026-05-11

(d) M&A・出資の採算検証

2026年6月29日、UmiosはマレーシアのPet World International(PWI)株式51%を約114億円で取得する計画を発表した。
会社発表では2026年9月実行予定、FY2027/3 Q2連結開始予定だったが、2026-10-03時点で完了発表を確認できていない。
対象FY2025/9売上高は123.77億円、営業利益は11.86億円。
取得対価を持分比率に比例させた100%換算株主価値は約223.5億円で、EVではない。
この株主価値を営業利益で割った粗い株主価値/EBIT比は約18.8倍。
一方、実際の取得対価114億円÷営業利益11.86億円は約9.6倍。
対象会社の現預金、有利子負債、リース、EBITDAが不明なためEV/EBITDAは算出できない。取得発表

買い手側の上限価値は、対象の独立キャッシュフローと実現確度の高いシナジー現在価値の合計から、ネットデット、必要設備投資、追加運転資本、統合費用、少数株主持分の制約を控除して考える。
会社提示のWACC約4%を海外対象へそのまま適用せず、通貨・国・事業集中・統合リスクを反映した資本コストが要る。

想定シナジーは既存のウェットフードと対象の犬猫用ドライフード、魚由来原料、アジア製造・販売網、商品開発の連携。
ディスシナジーにはSKU増加による在庫負担、既存ブランドとの重複、品質・表示規制、為替、意思決定、工場増産投資がある。
DDではネットデット・リース、季節運転資本、顧客別粗利、稼働率、品質事故・回収履歴、原料契約、現地税務・規制、統合費用、少数株主権を確認する。

2026年9月14日、UmiosとKingfisher HoldingsはPataya Food Industries株式25.1%の取得を伴う資本業務提携を公表した。
常温ツナ、ペットフード、タイ・ベトナムの製造拠点とアジア販売網が連携領域だが、発表資料から投資額、取得日、利益寄与の目安は確認できない。
持分法利益とガバナンスを後続開示で確認する。Pataya提携発表

7. 学びのポイント — 資産・利益・現金を別々に読む

着眼点1:広義NCAVが正でも返済資金と同じではない

FY2026/3広義NCAVは312.07億円で正だが、現金529.31億円に対し有利子負債は3,068.80億円、標準NCは−2,539.49億円。
広義NCAVには売上債権1,437.22億円と在庫2,447.33億円が含まれ、全てを返済資金にできない。
資産価値は標準NC・CCCと併せて読む。

着眼点2:売上の伸びと利益の伸びは一致しない

FY2026/3営業利益率は2.82%。
FY2027/3 Q1は売上+5.3%に対し営業利益−29.4%だった。
原料・為替と価格改定の時差が利益を動かすため、売上だけでなく利益率、在庫日数、売上債権、営業CFを合わせて見る。

着眼点3:運転資本の圧縮はROIC改善の経路になる

会社はFY2028/3 ROIC5%を掲げ、在庫・債権の圧縮、株式・不動産売却、物流子会社譲渡を進める。
FY2026/3 CCCは7.8日延伸し、在庫は2,447.33億円。
利益増に加え資本回転を通じたROIC・営業CF改善を確認する。

相場観と比較の限界

同業平均はニッスイ・極洋の単純平均。全上場の同一定義中央値を確認できない項目には、別母集団の参考値を記載し、中央値とは区別した。

指標 Umios 同業2社平均 全上場中央値または広域参考 比較上の読み方
予想PER 12.19倍 9.45倍 中央値未確認(日経225加重平均17.25倍) 利益期間・集計母集団が異なる参考値
PBR 0.740倍 0.900倍 中央値未確認(日経225加重平均1.89倍) 日経225加重値を全上場中央値とは呼ばない
ROE 9.3% 9.52% 9.7%(3,696社スクリーニング) 2026-09-25株価基準の掲載企業サンプル
営業利益率 2.82% 3.77% 比較可能な中央値未確認 食材流通の低い利益率が連結値に影響
自己資本比率 32.9% 38.07% 比較可能な中央値未確認 同業平均より低い
EV/EBITDA 8.79倍 9.15倍 比較可能な中央値未確認 FY2026/3実績値
予想配当利回り 3.72% 3.24% 中央値未確認(日経225単純平均1.75%) 会社予想DPS45円を使用
営業CF(億円) 248.0 262.5 比較可能な中央値未確認 FY2026/3実績。ニッスイの規模が平均を押し上げる
FCF(億円) 36.4 −70.6 比較可能な中央値未確認 FY2025/3から大幅に縮小
CCC(日) 120.5 124.8 比較可能な中央値未確認 同業平均より短いがFY2025/3から延伸

水産・農林業の業種参考は2026年9月末、日経225は同月30日、ROE中央値は9月25日基準。母集団・集計法・予想/実績の差があり、単純比較できない。業種指標 ROE 日経225

ガバナンスと大株主

代表取締役社長執行役員は安田大助氏。
有価証券報告書記載の連結従業員は12,479人、単体1,738人。
2025年6月に監査等委員会設置会社へ移行し、独立社外取締役は6名、監査法人は有限責任あずさ監査法人。
ガバナンス資料に三菱UFJ銀行・農林中央金庫の記載があるが、融資額順の主要貸手を示すものとは限らないため、融資順位の説明には使わない。

順位 2026-03-31時点の株主 保有比率 区分
1 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.34% 信託銀行
2 大東通商株式会社 9.76% 事業会社
3 日本カストディ銀行(信託口) 6.27% 信託銀行
4 State Street Bank and Trust Company 505223 2.85% 外国カストディアン
5 農林中央金庫 1.84% 金融機関

上表はFY2026/3期末の株主名簿に基づく。
2026年7月23日提出の大量保有報告では、みずほグループ共同保有5.05%が報告されているが、会社の期末株主名簿に記載された単独株主比率とは集計範囲が異なる。株主状況

データ時点・定義

年次はFY2026/3末、最新四半期はFY2027/3 Q1(6月30日終了、8月4日公表)。
株主構成はFY2026/3末、株価は10月2日。
DPSは中間16.67円+期末28円、自己資本比率・ROEは会社開示値。

出典一覧

財務・経営計画はFY2026/3有価証券報告書、決算短信、FY2027/3 Q1短信、中期計画を基礎資料とした。取引・株主・価格・統計の根拠は各記述の直後にリンクした。